SEの仕事と年収 | SEの仕事で年収は残酷に違う

it-system

Pocket

私は大学では経営、マーケティング、ファイナンスを学びましたが、全く縁遠かった大手SE(システムエンジニア)元請に就職しました。

今までの経験から、私なりのSEキャリア論をまとめましたので、公開します。
この記事を公開する理由のひとつは、自戒の意味を込めて私自身が初心を忘れないための備忘録にするためです。
もうひとつは、同じSEでキャリアや転職に悩んでいる方や、これからSEになりたい就活生、転職のビジネスパーソンの方にも役立つ内容になっていると思うからです。

少なくともこの部分は非常に重要です。
早く本題を知りたいと言う方は、こちらまでジャンプしてください。
SEの給料と請負型ITベンダの下請け構造

SEの仕事と年収は希望と不安

SE(システムエンジニア)と一口に言っても、待遇や仕事内容で大きな差があります。
ここ最近はAI、IoT、フィンテック、ブロックチェーンなど新しい流れが次々と生まれており、エンジニアも多様化しています。

そんな中、いまSEとして働いている方や、SEに就職・転職したい方は、新しい流れへの希望と、将来の不安を抱えているのが本音ではないでしょうか。

SE下請けとして働いている方は、給料の低さやキャリアの面で不安があるかもしれません。
SE元請けでも、派遣や常駐で仕事をこなす事を求められ技術力が身につかない悩みを感じているかもしれません。
IT企業経営者は、今後の大きな時代の変化でどのようなプロダクト・サービスを提供していけば良いのか日々悩む事でしょう。

私はSEとして自分のキャリアを考えることもあります。
また、同時に経営・経済を学んできて株式投資をしている身として世の中の経済の大きな流れも意識します。

ですので多くのSEの希望も悩みも自分ごとのようにわかります。
一方、いちビジネスパーソンとして、どのようにSEの経験や技術を活用できるのかも常に考えています。

そこで、この記事ではSEとして客観視したリアルなキャリアを考えていきます。


私は正直、SEになるとは夢にも思ってはいませんでした。

株式投資は大好きで財務諸表などはいくら読んでも飽きない人間です。
しかし、残念ながら株だけで食べていくにはまだまだ時間とお金が必要で、大卒で就職することにしました。

地元での就職希望だったので、地元の金融の会社に就職したいと考えていました。
しかし、残念ながら私が希望する東京にあるような証券会社・投資銀行などのエキスパート職は無く、ファイナンスの知識を生かせる職場はなかったため、いっそのこと別の業種にしました。

一番面白そうだと考えたのが、大手SE元請のとある地方子会社です。
地方子会社といってもニアショアでは無く、地場中心に顧客企業との直接取引をしており、自社プロダクトも開発しているというツワモノ企業でした。

親会社の財務諸表を見てもかなり堅実に稼いでおり、もちろん子会社もかなり順調な経営状態です。
地方では十分な高待遇と、地場の直接取引(元請)、そして新しいプロダクトを独自に開発してしまう技術力に惹かれて入社しました。

これがSEキャリアのスタートです。

SEシステムエンジニアの種類

まずはSEにはどんな種類の仕事があるのかをお伝えします。
SEと一口に言ってもたくさんありますし、待遇も技術力もピンキリです。

(基本的な内容なので、必要ない方は読み飛ばしてください。)

一般的なSE職を大まかに分けると、下のような種類があります。

  • 元請け
  • 下請け・フリー(2次〜孫)
  • WEB系
その他、高度な技術力が求められるデーターセンター・クラウドの構築などインフラ系エンジニアや、WEBデザイン( javascript・html・cssなど)、サイバーセキュリティのエキスパートなども入れればキリがないのですが、あえてこの3つに分けて話を進めます。

元請けSE

元請けSEが一番イメージのしやすいシステムエンジニアです。

クライアントのA社が勤怠をタイムカードで管理していたのをICカードで電子化したいとします。
導入するには、その会社の実態に即したシステムにする必要があります。
もちろん、システムやプログラミングの知識と技術力が必要です。

そこでA社から注文を受けて、専門技術を武器にシステムを導入するのが元請けSEです。

つまり顧客からの相談・注文を直接受けて完成イメージを固め(要件定義)、システムの構造を設計し(外部設計・内部設計)、プログラミング開発をし、テストをし、いざリリースしたあと、監視・バージョンアップ・微調整などの運用・保守を行います。

細かい用語は置いといて、顧客から直接注文を受け、直接相談をされ、開発もして顧客への責任を負うのが元請けです。

大工やテーラーなどの職人と同じで、受注も製造もやるわけです。

ニュートン

下請けSE

では下請SEけはというと、顧客と直接取引をすることはありません。

顧客の取引相手は元請けSEであり、下請けSEが契約を結んでいるのは、元請けに対してです。

もちろんプロジェクトによっては要件定義や保守運用の段階で下請けSEが顧客とやり取りをしますし、そもそも顧客のオフィスに常駐してシステム開発をすることはあります。

しかし基本的には開発要因・テスト要員が多く、あくまでも元請け会社の協力者という立ち位置が多いです。
ですので顧客に対して元請け会社を名乗ってコミュニケーションをとるのに、実質的な決定権は元請け会社に委ねられるわけです。

業務の面では、元請けも下請けも、ひとつひとつの仕事の内容にそれほど違いがあるわけではありません。
開発の工程やテストの工程だけを見れば、ほとんど同じように見えます。

しかし決定的な違いは、

 

  • プロジェクトの主導権を握るのは常に元請けSEである。
  • 顧客と直接取引するのは元請けSEであり、下請けSEは元請けからの委託先である。
必然的に、顧客との契約に関する重要なやり取りは元請けが、実際のプログラミングなどの開発は下請けがメインで行うことになります。

ニュートン

WEB系SE

WEB系のSEはこれまで解説した請負型という考え方とは根本から違います。

WEB系は、その名の通りWEBサイトを製作、運用して顧客に商品やサービスを提供する形態です。

例えばヤフーのポータルサイトや、楽天のようなECサイトがそれに当たります。
アベマTV、アメブロを運営するサイバーエージェントもそうです。

WEB系SEと、上の元請け・下請けSEとの違いは顧客との関係にあります。

誰を相手に仕事をしているのか?
請負型SEはそもそも企業が相手です。
顧客企業が必要に駆られて何かの解決策を必要とするので、ITの力で解決策を提供する。
ですので極論すればエンジニアは顧客企業のことさえ見ていれば報酬が貰えます。
開発プロジェクト以外のことは考える必要がありません。

しかし、WEB系エンジニアだと全く異なります。
楽天、アメブロ、電通、ヤフーもグーグルも、ほとんどが私たちのような個人が相手です。

つまり顧客は私たちなので、WEB系のエンジニアは市場調査や他者との差別化などシビアなマーケティング戦略も練りながら、同時にITでサービスを実現するためのシステム開発という技術的な課題と向き合わなければなりません。

一般的には、請負型ビジネスは企業向けであることからB2B(Business to Business:企業対企業)、WEB系はB2C(Business to Customer:企業対個人消費者)と呼ばれます。

請負型とWEB型の課題
請負型とWEB型にはどちらも難しさがあります。

請負型は企業相手であり、品質、納期、コストがシビアに求められるのはもちろんです。
もちろん、他社と比べた時の条件の良さも重要です。

一方、WEB系もそのような基準は求められることに加えて、気まぐれで個性のある多くの個人顧客を相手に、継続して自社のサービスを選んでもらわなければならないのです。

B2Bを得意とする野村総合研究所、NTTデータ、新日鉄住金ソリューションズなどはテレビCMでほとんど見かけることはありませんが、楽天、グーグル、アマゾン、リクルートなどB2C企業は頻繁に見かけます。

ニュートン

かなり乱暴な言い方ですが、請負型はあくまでも発注元企業の言う事さえ聞いていれば良いのに対して、WEB系は技術力に加えてマーケティング力が求められると言う点でシビアなのです。

請負型SEとWEB系SEの残酷な差

請負型とWEB系では、ビジネスモデルが違うだけで、どちらの人材が優れていると言う話ではありません。
請負ビジネスでは、技術力を持ちつつ、それに加えて顧客企業との調整能力の二刀流に長けた素晴らしい人材も居ます。
ただ、個人消費者に近く、ビジネスの幅が広いのがWEB系だと言う話です。

しかし、もちろん、経済は個人消費を中心に動きます。
日本のGDPのうち個人消費は55〜60%、企業の設備投資は20%です。
米国ではもう少し個人消費の比率が高いです。
WEB系は個人消費、請負系は企業の設備投資に入りますから、そもそも市場規模が大きく違うことがわかります。

利益率も大きく違います。
国内の有力な請負型ITベンダーの典型的な経常利益率は5〜15%ですが、WEB系のフェイスブック、グーグル、ヤフージャパンは20〜30%です。

この背景には個人向け・企業向けの市場規模が違うことと、もうひとつ変動費に注目したビジネスモデルの差があります。(後者の方が重要なので、のちに詳しく解説します。)

もちろん従業員の賃金も違います。
日本の有力ITベンダーのエンジニアは年収1000万円で高い部類ですが、GAFA(グーグル、アップル、アマゾン、フェイスブック)は2000〜3000万円のエンジニアがゴロゴロいます。

請負型ITベンダとWEB系サービスでは、ビジネスモデルがそもそも違うのです。

ここまでのまとめ

  • 一般的にSE(システムエンジニア)には、請負型ベンダとWEB系の2つに分かれる。
  • 請負型は顧客企業のシステム開発中心で、顧客と直接取引するのは元請け、実際の開発は下請けに協力委託する。
  • WEB系は自社でサービスを作り、主に個人顧客向けに直接アプローチする。
  • 請負型とWEB系ではビジネスモデルが違い、利益率にも賃金にも大きな差がある。

SEの給料と請負型ITベンダの下請け構造

ここからは、請負型のシステム企業がどのようなビジネスをしているのかを解説します。
なぜ、下請けが儲からないのか、給料が低いのかがわかります。

すでにSEの方には「そんなこと知っている」という内容です。
しかし、SE希望の就活生や転職したいビジネスパーソンには絶対に知っておいて欲しい内容です。

元請けSEの仕事とは

元請けITベンダは、顧客企業から案件を受注します。

元請けSEは顧客の悩みを聞き、どのようなシステムが必要になるのか検討し、要件や納期、コストなどを顧客とすり合わせます。

いざゴーが出たら開発に取り掛かる訳ですが、元請けのプロパー社員が自社内で全てプログラミングなど開発の実務をこなすケースは稀です。

プロパーとは、自社の社員の意味ですね。

ニュートン

建設仕事と同じでシステム開発には人数が必要です。
プロパーだけではとても足りません。
また、専門技術も必要です。

ビルを建てるにも全て1社で行うことは不可能で、水道、電気工事、空調などは専門業者が行う分業体制です。
ですから、元請けが下請けを使うのはごく自然なことです。

しかし、この分業体制に目をつける経営者も出てきます。

企業活動で、付加価値を産む部分は、企画・研究などの上流部分と、販売・営業などの下流部分です。
その中間にある生産工程は、品質と納期さえ満たすことができれば誰に頼んでも一緒です。
作業は労働集約的なものである以上、早さ、品質、納期には物理的な制約があり大きな差別化は難しいでしょう。

生産工程が付加価値を産まないならば考えるべきは生産コストだけであり、人件費をなるべく抑えようとするのは当然です。

この付加価値を産む部門の構造を見ると、上流と下流が付加価値が高く、中間の製造が窪んで見えるので、スマイルカーブと呼ぶこともあります。

ニュートン

IT業界は巨大な下請け委託構造

IT業界では、サービスの研究・開発やリサーチ、顧客への営業・調整・提案のような工程こそが付加価値を産み、開発・テストの生産工程は誰がやっても同じものができる「付加価値を産まない」部門です。

大手ベンダの経営者は付加価値部門を強化し、開発は極力下請けに安いコストで委託したいというのが本音です。
その流れで、ニアショアオフショアが拡大するわけです。

ニアショアとは国内の人件費・土地代の安い地域に開発拠点を構えて開発コストを抑えること、オフショアはその海外版です。

札幌や沖縄九州などは土地代が安く生活費も抑えられるため東京で1人雇うのと比較しても半分程度のコストで抑えられることもあります。

オフショアは、最近だと中国、ベトナムなどが活用されています。
アジアの人材は優秀な上に人件費が格安です。
プログラミングなど開発技術はもちろん、母国語に加えて英語と日本語を習得するなど熱心です。
日本人の開発要員を雇うのに月50〜100万円はかかりますが、オフショアのベトナム人だと5万円で済んでしまいます。

今後も、ニアショアや特にオフショアの流れは拡大するでしょう。

ニュートン

付加価値を産まないシステム開発部門やテスト部門は、品質・納期で大きな差別化は難しいのでコストだけが勝負であり下請け委託は当たり前です。

ITベンダの仕事は右肩上がりで増えており、大量の案件をこなす必要があるのに、自社のSEを確保するのは難しく慢性的な人手不足です。

そこで、顧客企業からは発注費用を受け取り、技術的な開発はより安い委託費で下請けに丸投げしてしまえば、自社は顧客企業から仕事を取って流すだけで差額を稼ぐことができます。

開発要員のプロパーSEを自社内で大量に確保する必要もありません。

ある意味で合理的ですが、この構図が2次請け、3次請け、その先へ・・・と、開発実務の下流しがこの業界では主流です。

下請けSE構造の問題

ITベンダの下請け委託の問題点がお分かりでしょう。

請負ビジネスは、それが何次請負いであっても、より上位請けから下に仕事を流し、受注費と委託費の差額を粗利にします。

と言うことは下請けになればなるほど、粗利を中抜きされた報酬額しか受け取ることができず、会社が受け取る金額は減っていきます。

例えば一次請負はプロジェクトにSEを1人投入すれば、月80万〜150万円ほど貰います。
一時請負は20万円中抜きして、2次請には1人60万円で開発を委託します。2次請は10万円中抜きして、50万円で3次請に委託します。

当然のことながら、下請けは限られた予算の中でやりくりしなければなりません。

その結果、ITの下請けSEは基本給が安い上に、残業代もろくに払われないと言う構造になっています。

このように、下請け会社が満足な報酬を得られないのは当然なのですが、下請けの経営者も社員も、仕事が無くなるよりは良いと、生活のために割り切ってそのような状況に甘んじているのが実情です。

高い給料が欲しい、もっと休みが欲しい、人材教育を手厚くして欲しいなら、予算が限られている2次請、3次請では難しいでしょう。

ニュートン

人事が聞かれたくないSE派遣

そしてこの状況に拍車をかける要因が、下請けのSE派遣です。

いくら元請けが委託せざるを得ないとしても、安い給料で誰も人材が集まらないならば、元請けは待遇を改善して人材を集めるしかありません。

しかし、就職難から安売りをするIT人材もいれば、それに目をつけて給料の安い人材を囲って、開発プロジェクトに派遣をするだけの経営者も現れます。

つまりあるプロジェクトの開発のために客先に派遣され常駐して開発し、それが終わったら、また次のプロジェクトへ派遣される繰り返しです。
渡り鳥のような派遣SEです。

一応、雇用契約は会社と結んでいるものの、会社というより上位請負会社と仕事をしており、しかも派遣先はコロコロ変わります。
落ち着いて働けないし、自社への帰属意識も感じられないわけです。

SEに就職するなら、ぜひ「人事にどのくらいの割合で派遣されますか?」と聞くのがオススメです。大抵嫌な顔をされますが、直接取引の元請け企業ならほとんど派遣はありませんので自信を持って答えてくれるはずです。

ニュートン

いずれにせよ、元請けの開発委託と、それを支えるSE労働者派遣がマッチして、今の巨大IT産業が成り立ってきました。

背景には、バブル崩壊と就職氷河期、リーマンショックなど経済の停滞と長いデフレの中で、転職市場でIT人材が安売りせざるを得なかった切実な事情がありました。

キャリア面でも下請けは不利

キャリアでも、待遇面でも下請けは不利です。
今まで解説してきたように、ITの仕事の構造を見ると、一番高い給料を得ているのは元請けのプロパー人材です。

元請けプロパーSEは、開発は協力会社に委託するものの、ある程度は下積みで開発の経験もあり、またプロジェクトのマネジメント能力、顧客との調整能力が身につきます。
ですので元請けプロパーは、管理能力、顧客とのコミュニケーション能力という点で開発要員よりも優れており、顧客に一番近いところにいるため高い報酬を得られます。

一方、下請けSEは基本的に開発要員です。
プロジェクトが終わるたびに次のプロジェクトに投入されるため、専門能力も身につかず、いつもプロジェクトを管理するのはプロパーであるためマネジメント能力も身につきません。
基本的に顧客調整もプロパーが行うため、顧客とのコミュニケーション能力も身につきません。

下請けSEはずっと開発ばかりをするしかなく、キャリアの幅がとても限られてしまうことになります。

最終的な決定権を持っているのは顧客であり、ITベンダーの中でも顧客に一番近い元請けプロパーが一番高い報酬を得るのは必然です。

下請けはそのチャンスが初めからとても狭い、ということです。

  • 開発委託とIT人材派遣のマッチが巨大なIT産業を支えてきた
  • 委託でマージンが中抜き(ピンハネ)されていき下請けは絶対に儲からない。
  • キャリアでも待遇でも下請けSEは圧倒的に不利

年収の低い下請け型SEのキャリア

ここからは、高い年収を得ることのできる、市場価値の高いSEになるための方法を提案します。

ここまで請負型SEの構造とお金の流れを解説してきましたが、ここからは自戒の意味も込めて書き残します。

私は稼げるSEとして絶対に外せない要件は2つあると思っています。

  • 商売力
  • マーケティング力

SEと商売のセオリー

まず、SEに限らず、あえて商売の一般論をお話しましょう。

会社は結局のところ営利団体です。
経営者はヒト・モノ・カネ・情報など経営資源を上手に使って、顧客の課題を解決すれば対価を貰えるシンプルなゲームです。

顧客に価値を提供し、コストをほどほどにおさえて、市場で適切な価格で取引されれば、嫌でも利益が出るのが商売です。

ただしそのためには、商売の勘所の良さと、金銭勘定の力が必要です。

商売の基本は、顧客の悩みを解決し、適切な対価を貰い、コストを抑える、というプロセスです。

聞いてみれば当然なのですが、具体的に考えるとなかなか大変な作業です。

商売力のステップを見てみましょう。

  1. どんな顧客のどんな悩み事を解決するのか?(ターゲティング)
  2. どうやって解決するのか?(プロダクト・サービス)
  3. 価格設定をどうするのか(対価とコスト)
  4. 競合他社と比べて魅力を出すにはどうするのか?(競争戦略)
  5. 顧客にどのようにアプローチするのか?(マーケティング)

基本的にこのプロセスをクリアすれば、商売は成り立ってしまいます。

しかしだからと言って、誰もが成功するわけではありません。
なぜなら多くの経営者がこのようなことを常に考えているからです。

しかし、下請け思考だと、ついつい最終的な顧客の考えを忘れてしまいます。
元請けプロパーでも、常にプロジェクトで忙しくしていると目先のプロジェクトや任務を遂行することばかりに集中してしまい、商売の基本に関心が行きません。

典型的な請負思考をこの5ステップに当てはめるとどうなるのか見てみましょう。

1顧客の悩みというよりも、与えられた要件をこなすことが第一。
→もしかしたらそもそも顧客が求めているサービスは違うものかもしれないが、そんなことを考えていてはプロジェクトが成り立たないので目先の案件をこなす。

2納品するシステムの大枠は元請けが指示してくれるので、納期と品質に気をつけながら細部の構築をすることに注力。

3元請けがいくら支払ってくれるかに関心。元請けも予算は決まっているので、無理してでもその中に収める。

4他社とは下請け仕事の取り合い。
→コスト・納期・品質でアピールするもそれほど差を打ち出せないので、コネや資本関係に頼るしかない。最終的な顧客よりも、仕事をくれる元請けに注目。(中国やベトナムのオフショアが増えてきたらコスト面で対抗できるのか不安)

5顧客はよくわからない。
→そもそも自分の開発しているシステムが何に使われるものなのかすらわからない。とにかく元請けとの繋がりが大切。

繰り返しますが、下請けが悪いと言いたいわけではありません。
元請けは顧客対応とプロジェクト管理に、下請けは開発に特化した分業体制があるから日本のITベンダーは膨大な案件を効率的に吸収できるのは事実です。

もちろん、技術職が大好きで、開発に特化して仕事をすることに誇りを持っているプログラマーがたくさんいらっしゃるのは知っています。
例えば工業地帯の東京都大田区では、最終的に何に使われるのかわからない部品を製造する職人もいて、その高い技術力は日本の製造業に大いに貢献しています。

ただ、若いビジネスパーソンが、キャリアの幅を狭めるのはもったいないと思うので、このような現状を話しています。

さて、請負思考を見ると、顧客思考とは離れていることがわかります。
一番稼げるのは、顧客に近いところにいるSEです。
商売力も、顧客目線があればあるほど磨かれていくのも現実です。

高年収のSEのスキルとキャリア

では下請け思考、請負思考が選択の範囲を狭めると考えたところで、稼げるSEにはどのような仕事があるのかを紹介します。

待遇の良い会社で働きたい、顧客と近いところでビジネスの実感を持ちながら仕事をしたいなら、参考になると思います。

専門技術SE

高い技術力と専門知識の力で難易度の高い開発業務を実行できるSEです。
例えば私の勤めている会社には自宅にサーバーを構築するほどの猛者もおり、彼はアプリケーション開発と言う主流の業務に加え、同時にサーバー構築などのインフラ業務も行なっています。

プロジェクト管理SE

大手SIerでは多いパターンです。
要件定義、設計、プログラミングなどの開発、テスト、保守、経験を持ち、プロジェクトを納期内、コスト内、品質基準内でまとめ上げる管理のプロです。

ただし、ただでさえ枯渇しているIT人材を確保する難しさがあります。
また、基本的に請負型ベンダでは設計書や顧客の要望があれば、建築と同じでどの業者が仕事をしても同じものが出来上がります。
ライバルとの差別化は納期、品質、コストがメインですが、人間が行う作業である以上、急激な作業時間の削減には物理的な制約があり、差別化が難しいところです。

スーパーマンモデルSE

スーパーマンモデルとは、システム開発のような技術的な能力を持ちながら、同時に顧客との調整もこなす二刀流の人材です。

大手ITベンダーの中でも、このような人材は少ないのが現状です。

というのも、ここまで解説してきた通り、ITベンダーは分業が進んでいます。

入社してから2〜3年はプロジェクトに配属されて、システム設計、開発(プログラミング)やテスト、運用、保守のような技術的なことを一通りこなして経験を積みます。

その後、一通りの知識がつけば、プロジェクトの管理や顧客との調整を任されるようになり、開発など技術的な仕事からは離れて行きます。

これは分業という意味でたしかに効率が良いのですが、IT技術は日進月歩です。
開発から離れると、3年もすれば知識は古くなってしまいます。
キャッチアップをできないと、現場の細かいことはわからないのに技術力のあるエンジニアを適切にまとめていけるかというと難しいでしょう。

理想を言えば、自分もエンジニアとして常に技術力は磨きをかけつつ、同時に顧客調整・プロジェクト管理ができる人材が望ましいです。

しかし、かなり分業が進んだ今の業界で、そのような二刀流はなかなか居ないのが現状です。

昔だと1人でどっちもという職人はたくさん居たのですが。そのような優秀な人材は今はほとんど経営者になっています。

大手SIerも、顧客調整寄りなのか、それとも開発寄りなのかで入社時点から分けられ、中堅企業でも会社の方針として顧客コンサル寄りなのか開発寄りなのかで分かれるところがほとんどです。

かなり大変ではありますが、もし二刀流ができれば、かなり市場価値の高い人材になり稼げるようになります。

B2Cモデル

B2Cモデルとは上で解説したような、WEB系エンジニアです。

グーグルの検索・マップ・広告などのWEBサービス、楽天市場のようなECサイト、アリババペイのような個人向け決済システム でも良いのですが、とにかく単なる企業相手ではなく、顧客向けに直接サービスを提供することです。

下請けの場合、初めから予算の上限が決まっており価格交渉の余地はほぼありません。
また、仕事の受注も元請けからの待ちであり市場開拓の機会を作りづらいです。

一方、顧客と直接取引ができれば価格設定を自分で行うことができます。
また、自分で市場を拡大することができるので機会は広がります。

もちろん簡単ではありません。
飽きやすい顧客相手のマーケティングはとても大変です。
しかしだからこそ差別化を産み、付加価値に繋がります。

B2Cで成功している企業例をあげます。

フェイスブック、グーグル、メルカリ、ネットフリックス、ウーバーテクノロジーズ、アマゾン、アップル、リクルート、ライン、テンセント、百度、DeNA、ヤフー、エムスリー、マイクロソフトなどなど。

これらの企業は、サービスの企画・研究開発の人材を高待遇で確保し、マーケティングや市場分析も行なっています。同時に、優秀なエンジニアを抱えながらある程度の開発も自社内でこなします。

開発エンジニアとしての技術力も持ち、市場分析してマーケティングもできるスーパーマンを多数抱えています。

極端な例ですが、マサチューセッツ工科大学では、技術系のゼミで新たなシステムやサービスを開発した学生に対して、教授や仲間が「いくらで売るんだ」「ターゲット顧客は誰だ」「どうやってプロモーションするんだ」といったマーケティング戦略も問う場面が山ほどあります。

ふつう、単なる技術職の開発要員にはまず無い発想です。

ニュートン

そうして技術力と商売感覚を鍛えられた人材をシリコンバレーで多数抱えている企業が、世界で最も成功しているという事実を知るだけでもキャリアが変わります。

マーケティングに優れたエンジニアは枯渇しており報酬も青天井というのが現状です。

もう一つ、なぜWEB系が儲かりやすいのかです。

いたってシンプルで、固定費を増やして変動費を減らすパッケージ型のビジネスだからです。

パッケージ型とはオーダーメイドでなく、ゲームソフトのように全顧客に同じものを売ることです。

例えばマイクロソフトのOSやオフィス(ワード・エクセルなど)などのソフト。
これはいったん作ってしまえば、何人に売っても原価が上がる訳ではありません。

ファッションや家電であれば、そうはいきません。
必ず原材料を仕入れる必要があり、製造のコストもかかります。

一方で完成されたソフトは10個しか売れなくても100万個売れても、仕入れが要らない完成品であるため製造の原価はかかりません。
すでにパッケージは完成されており、それをコピーして売ればお金に変わります。
つまり変動費を考える必要がないのです。

フェイスブックも同じで、いったんWEBサイトを立ち上げて内部のシステムを構築するまではコストがかかります。シェアを拡大するまでのプロモーションも確かに大変です。
しかし、いったん完成してしまえば、20億人のユーザーが同様のサービスを利用するため、利用者が何人増えても追加コストは発生しないのです。

もちろん、システムやサービスのアップデートは常に発生しますしそのための人手も必要です。
しかしそれは他のビジネスも同様です。
ビジネスの維持にかかるコストが同じなら、売上に対する原価の低いパッケージ型WEB系ビジネスが有利なのは明らかです。

21世紀の主役は製造業ではなくITの巨人です。
最高利益をあげているのはシリコンバレー系の個人向けWEB系ビジネスです。

トヨタの1年間の売上高は28兆円程度、純利益は1〜2兆円程度です。
一方、グーグルの売上高は12兆円程度、純利益は3兆円程度です。

トヨタの半分以下の売上で、倍の純利益を得ています。

 

国内のITベンダもこのような格差に焦っています。
ITベンダのビジネスはほとんどの主力は、各顧客企業むけのオーダーメイド型のシステムの構築です。
つまり開発にも顧客調整にもメンテナンスにも人手がかかるのです。

既製品パッケージを売ることはもちろんありますが、それでもその顧客企業に合うよう調整する必要はありますので、開発に人手は絶対にかかります。

つまり請負型ビジネスは売れば売るほどコスト(人件費)がかかります。
開発要員を確保しなければならないという物理的な制約もあります。
コスト面でも、また人手の確保という点でも、個人向けパッケージビジネスよりも不利です。


 

そこで多くの国内ITベンダは人手のかかる人月ビジネスから、サービス型へ転換する目標を掲げています。

顧客に言われた開発さえしていれば良い、という開発「だけ」志向のエンジニアは、開発現場ではある程度重宝されるでしょうが、間違いなくキャリアの幅が狭まるでしょう。

高い年収を得るためにはWEB系エンジニア、その中でも特に顧客向けの普遍的パッケージサービスこそが活路になります。

B2B2Cモデル

B2B2Cモデルとは、ITコンサル兼技術職です。

ITベンダは主に企業相手のビジネスで、顧客企業のことに意識が行きがちなのですが、実際のところ顧客企業はビジネスを効率的に運営するためのツールとしてITを利用したい訳で、ITそのものが目的ではありません。

ITを売り込む訳ではなく、経営コンサルタントとして経営の解決策を提案し、解決の手段として何かしらのITサービスを提供するスタンスの企業があれば重宝されます。

経営者の立場に立って、ビジネスの品質・納期・効率などの質を向上させるという目的を理解し、そのツールとして技術屋の立場から最適なIT構築を行うことができる存在です。

経営コンサルタント兼IT技術者という意味で、これもスーパーマンのような存在です。

 

しかし経営に限らず、人事×IT、会計×IT、品質管理×IT、データ分析×ITなど、的を絞れば組み合わせは無限です。

北海道帯広には、酪農×ITといって、牛にセンサーを取り付けてアイパットと融合し、リアルタイムで体温、血圧、脈拍などのデータを管理できる画期的なサービスを開発したベンチャー企業があります。
これのすごいところは牛の体調不良や発情周期などを見える化し、最適な体調管理・搾乳ができるところです。従来のような牛の体調を毎日チェックするという手間を大幅に減らすことができます。

IoT、AI、フィンテック、ドローンに限らず、身近なところにビジネスの芽はたくさんあります。

何かに特化した専門家の力はどんな大企業でも喉から手が出るほど借りたいです。
誰かにコンサルタントをできるほどのスペシャリストは、ITの世界でも重宝され高い報酬が期待できます。

「商売感覚」と言いましたが、マーケティングではなくても何かひとつの武器があれば同じことです。
例えばビッグデータを扱うデータサイエンティストでも良いですし、金融工学の知識でも、動画編集の技術でも良いでしょう。
いずれにせよ、ITの技術力ともう一つの軸のある人材は、対顧客ビジネスで大きな武器になります。

高収入で生き残るSEの未来

 

  • 商売力
  • マーケティング力

この2点が大切だと言いましたが、つまりは顧客のニーズを満たしながら、利益を継続して産むビジネスを作る力に他なりません。

世の中の流れを見て、時代の要求に応えるのはSEに限らず、どんなビジネスパーソンでも求められることです。

エンジニアとして生きて行こうと決めると、どうしても技術やプロジェクトのことばかりに意識が行きがちになりますが、「そもそも儲かる土俵で戦っているのだろうか」と自分のビジネスを客観視できれば、キャリアにも収入にも大きく影響します。

儲かるビジネスのパターンは言われてみればシンプルなのですが、いざやろうとすると方法論にはとても多くの選択肢があり戸惑うこと思います。

そもそも業種だけでも会計・製造・流通などたくさんあり、顧客も企業向け・個人向け、サービスもオーダーメイド・パッケージ型と無限に分かれます。

しかし、ここまで読み切った方には、稼げるエンジニアの素質があります。
今の職場で頑張るも、転職するも、起業するも良いですが、どれも外的な環境の話でしかなく、結局はどこにいても自分がどうするのか?がキャリアを一番左右します。

転職や起業は、キャリアの手段のひとつにすぎないという点に注意ください。

私は金融に就職したいと思っていましたが、地元は金融は瀕死の状態。
活気があるのはIT業界、ということで思わぬ結果エンジニアになりました。

しかし、よく業界を知っていくうちにキャリアと報酬の可能性に惹かれ、今はあれこれとビジネスの可能性を考えています。
今ではSEになったことは最高の結果だったと考えています。

皆さんも、ぜひ最適解を見つけてください。

自戒の意味を込めて。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。