【IT業界の裏】SEの単価・給料・派遣・残業…IT業界の今後を語ろう

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こんにちは!
ライターのアキです!

アキ

最近ある宿題SE業界について調べていると、初めて人月という言葉知りました。
英語では Time and Materialというらしいです
気になって色々なIT企業を調べてみると、「脱人月商売、次はサービス型へ」と多くの企業がうたっていました。

アキ

全くその言葉の意味が分からなかったので、困ったときは専門家に!
というわけでこのページでは元SE(システムエンジニア)の西野さんに、SEの仕事と人月商売、そしてサービス型について、現状をうかがいます!

アキ

【前回まで】
実は以前、西野さんにはSEの仕事とIT業界の商売について初心者向けに解説をしてもらいました。
その時に、エンジニアのキャリアを考えるなら、「請負型でもWEB系でもない、第3の強い商売がある」とうかがいました。

アキ

その秘密を知りたかったのですが西野さんにはぐらかされ……
「強烈な自社サービス」というヒントと、「グーグル、Facebook、NTTデータの営業利益率を調べる」という宿題だけをもらいました。

アキ

その宿題を調べていて「人月」という言葉に出会ったんですが、何の関係があるんだろう。。

アキ

西野さん、あらためてよろしくお願いします。

アキ

マーケター西野

どうもー。
満員電車を逃れるようにしてSEを辞めた西野です。
よろしくね。
西野さんは謎だらけなのですが、元々は大手IT企業でエンジニアをなさっていたんですよね?

アキ

マーケター西野

そう、東京の海の近くにオフィスがあるSIerでね。
元請けなら、給料は悪くない。
働き方も最近は良くなってきている。

でも、やっぱり仕事の中身と、将来性を考えて辞めた!

それでお祭りのテキ屋デビューしたわけですね?

アキ

マーケター西野

いや屋台は趣味!(笑)
本業はアフィリエイトとWEBマーケティングなんでね。
失礼しました(笑)

アキ

マーケター西野

ところで宿題は調べてきたかい?
調べました!

アキ

マーケター西野

マジメだねえ。
では、後で人月と、第3の商売のサービス型について話すことにしよう。
ではそんな経験者の西野さんに、SEの人月商売、そして魅力と現実を教えていただこうと思います!

アキ

IT業界の単価「人月」の意味とは

西野さん、宿題を調べていると人月という言葉に出会ったのですが、この意味を教えてください。

アキ

人月とは工数とSEの人件費

マーケター西野

いいだろう。
人月とは、ひとりのエンジニアが一ヶ月働いた成果物に対して、1ヶ月分の工数賃を支払う商売のことだ。
人月の工数と単価の計算
例えばエンジニア一人当たりの人件費が月80万円かかるとする。
クライアントからは、プロジェクトに投入する人数×単価分を報酬として貰う。

 

「あるシステムを作るのに5人月ぶんかかる」が意味することは、1人が5ヶ月仕事をして完成すると言うこと。
もし1ヶ月で仕上げるなら、5人がかりで取り組めば良い。
どちらにしても、ひとり1ヶ月分の仕事量×5人で終わるプロジェクトだ。

 

会社の収入は、80万円×5人=400万円になる。

マーケター西野

つまり人一人当たりの生産性(生み出せる成果物の量)は決まっていて、プロジェクトの作業人数と時間に応じて対価をもらうと言うビジネスだな。
ということは、クライアントとの契約の時に、このシステムを導入するための作業量はこれくらい、それにかかる人数はこれくらい、というように見積金額を出すわけですか?

アキ

マーケター西野

ちゃんと調べてるねえ。
その通り。

マーケター西野

プロジェクトに必要な作業量のことを「工数」というが、工数と納期に応じて投入する人数を決める。
人数には人件費がかかるので、ひとりの月あたりのコストを人月と呼ぶわけだ。

マーケター西野

さてここでSEの給料はどうやって計算されて、どこから出るのかわかったかな?
わかりました。
このプロジェクトに参加するエンジニアの生産性と時間で決まるんですね。

アキ

マーケター西野

そう。
つまり、SIerはクライアントから人月単価を貰い、会社の間接費など経費を差し引いて、SEの給料が計算されるわけだ。

請負SEの仕事は人月商売

マーケター西野

請負型ビジネスの本質がわかったかな?
わかりました、
請負型の仕事は、人月商売だということですね。

アキ

マーケター西野

その通りだ。

ところで、この人月商売は悪くないように聞こえます。
人数を投入して仕事をすれば、収入が保証されるんですよね?

アキ

マーケター西野

そこがポイントだ。
このビジネスにはメリットとデメリットがある

IT業界人月商売のメリット

マーケター西野

メリットは、必ず事前に契約した金額がもらえるので会社の収入が安定しやすい
プロジェクトの遅延や追加作業など大きなトラブルがなければ会社の取り分である利益も保証される。
それは良いですよね。
予算も業績計画も立てやすそうです。

アキ

マーケター西野

そう。
会社の収入は、クライアントとの契約が全てだ。
一旦契約が済めば、後でクライアント都合の変更でもない限り、SIerが考えるべきは自社のコストだけ。
コストとは、開発にかける人件費がメインだ。
後はPCなどの備品などの間接費や、ライセンス・ソフトウエアなどの原価もあるが、長くなるのでこれは省こう。

マーケター西野

だから、プロジェクトのリーダーの関心ごとは、いかにトラブルなく、遅延なく、予算内に納品するかだ。
契約が済んでプロジェクトの工程が進んで行った後は、プロジェクトの管理に集中できるわけですね!

アキ

IT業界人月商売のリスク

マーケター西野

デメリットは、思わぬアクシデントなどで追加の作業が発生した場合、利益が消えるどころか費用の持ち出しになるリスクがあることだ。
クライアントと直接契約しているSIerは常にこのリスクを背負っている。

マーケター西野

人月単価100万円としてSEの人件費が70万円、会社の取り分を30万円とするとピンハネされているように感じるかもしれないが、この会社の取り分とは、残業代や急な人員アップ、トラブルでの損害リスクに備えた会社のバッファー(予備)と見ることができるわけだ。
SEの給料を保証し、いざという時の責任は会社が負うための仕組みとも解釈できる。
単純なピンハネとは違うんですね。

アキ

マーケター西野

その通り。
人月の意味
  • 人月とはひとりのエンジニアがひと月で行える生産性と単価
  • 人月商売は投入した人数に対して安定した収入を得られる
  • 月数十万円の人月単価から会社は取り分が引かれてSEの給料になる

 

それでも人月の請負SEが仕事も給料もキツい理由

人月商売のメリットとリスクについては、よくわかりました。
そこで次はSIerのSEの働き方についてうかがいたいです。

アキ

SEの仕事がよく残業や派遣でキツいと聞きますが、この人月商売が関係しているのでしょうか?

アキ

マーケター西野

鋭いねえ
まさにそう。

マーケター西野

理由は人月商売の特徴と関係する。
働き方でキツくなる理由は主に、この3つの理由があるだろう。
  • 予算の制約
  • 人手不足
  • プロジェクトの異動・派遣・常駐

予算の制約

マーケター西野

最初の契約の段階で、予算の上限が決まっていて、納期もガッチガチに決まっている。
例えば流通会社が消費税が変わるのに合わせて会計システムを変更したいのに、消費税の増税日に間に合わなかったら大事だろう?
そうですね!

アキ

マーケター西野

「後からやっぱり3人月ではなく、4人月必要でした、その分、クライアントが予算を上乗せしてください!」というのは通用しない。
その場合、会社からすれば、なるべく人件費を抑えて、今いる人材で働いてもらうしかない。

SEの人手不足

マーケター西野

SEに限らず、エンジニアは今、全く足りていない。
誰でもすぐにエンジニアになれるのなら良いのだが、プログラミングも、データベースも、インフラ構築も、セキュリティも高度な知識や技術が求められる。
私も聞いたことがあります!

アキ

マーケター西野

募集は強化して、待遇も以前より魅力的にはなってきているが……
それでも省力化やデータ活用などでシステムの需要はかなり増えているのに対して、人材が少なすぎるので今いるエンジニアだけで頑張るしかない。

マーケター西野

以前ブラックの代名詞だったSEが最近はホワイト化してきているのも、待遇が上がって来ているのも、全ては需要に対して人材が不足していることが背景にある。
待遇が上がっていけばSEになりたい人も増えそうですね!

アキ

マーケター西野

ところがそう単純ではない。

プロジェクトの異動・派遣・常駐

マーケター西野

プロジェクトが終わったら、次は全く関係ないプロジェクトでいちから、というのは当たり前だ。
まあ、嫌なプロジェクトに長年いるのも大変だがな。

マーケター西野

また、重要なことだが派遣常駐は元請けであろうが、下請けであろうが業界では当たり前だ。
全国を飛び回ってプロジェクトに参加し、その時は転勤かマンスリーマンションに住み込み、プロジェクトが終われば別のエリアへ、ということは良くある。
なぜSEはそんなにあちこち行かなければならないんですか?
クライアントとの調整ならまだしも、開発などの業務なら、PCさえあればどこでもできるような気もするんですが…

アキ

マーケター西野

結局のところ、システム開発は労働集約的な仕事だ。

マーケター西野

クライアントには社内に情報部門があって、そこに専属のエンジニアがいる。
しかしそれだけではまかなえないので、多くのベンダ会社から多くのエンジニアを集めて一括作業をする。
その時に声がかかるのがSIerだ。

マーケター西野

社内のエンジニアとコミュニケーションを図りながら仕事をする必要があるので、クライアント先で仕事をするのが一番効率が良い
また、クライアントのシステムを取り扱う以上、クライアント先でなければわからない事もあるし、またセキュリティの問題で外部にデータを持ち出しできないという制約があるからだ。

マーケター西野

大手SIerで働いている従業員のうち、自社のオフィスに出勤してる人は半分以下もザラだ。
これは就職や転職する前に、ぜひ知っておいて欲しい現実だ。
SEって、PCがあればどこでもという訳ではなくって、意外と他の仕事と変わらない、チームでの地道な作業の連続なんですね。
出張やあちこち飛び回って多くの人と会うのが好きなら良いけど、そうでないなら大変そうですね。

アキ

(西野さんが辞めた理由が、少しずつわかってきた気がする。)

アキ

SEが給料も仕事もキツい理由
  • 人月ビジネス特有の予算制約
  • 慢性的なSEの不足
  • 出張、派遣、常駐などが当たり前の働き方

なぜ私は人月の請負SEを辞めたのか

人月商売の請負SEの大変さはよくわかりました……。
それでも、西野さんは大手SIerで待遇は悪い方では無かったんですよね?

アキ

マーケター西野

もちろん。
派遣や常駐とか、頻繁な転勤はあったが、それでも待遇は決して悪く無かった。
それに、請負ベンダの仕事は引き合い(問い合わせや受注)が多くて安定していた。
なのに、なぜSEを辞めたんですか?
待遇よりも、大切なことがあったからでしょうか。

アキ

マーケター西野

ビジネスの限界を感じたからだ。

SEを抱えるSIer成長のジレンマ

マーケター西野

売上規模を拡大するには、どうすれば良いと思う?
それは、プロジェクトの受注を増やせば良いと思います。

アキ

マーケター西野

そう。
先ほども言ったが、今はシステム化の需要は本当に多い。
受注は取ろうと思えばいつでも取れる状況にある。

マーケター西野

では、そんな中で一番の課題はなんだろう。
人手不足、ですね?

アキ

マーケター西野

その通りだ。

どんな大きなプロジェクトでも小さくても、必要な工数があって、工数をこなすエンジニアの頭数が必要だ。
だから単純に考えて売上を倍に増やすには、倍の人数を集めるしかない。

「自社だけで賄いきれないなら、下請けを雇えば良いのでは?」
という声が聞こえそうですが。

アキ

マーケター西野

それはたしかだ。
実際、大手のSIerはプロパー社員(自社の社員)に加えて、多くの下請けを使っている。
だが、俺が言いたいのはそういう話ではない。

マーケター西野

この人月商売の問題点は、売上を拡大するには、同じくらい人件費が増えてしまうということだ。
そして人を増やせば増やすほど、市場で手が空いているエンジニアを探しづらくなる。
すると、より高い人件費を払わなければ募集ができない。
ということは……

アキ

マーケター西野

そう。
つまり、普通の企業にとって、売上の拡大は好ましいことだが、深刻な人手不足ではそれ以上にコストが増えてしまい、会社の利益が減ることになりかねない。
成長が逆効果になる皮肉な状況ですね。

アキ

マーケター西野

人数頼みのビジネスは、人数集めに泣く!
人月ビジネスはエンジニアを投入しさえすれば単価がもらえる安定した商売だが、裏を返せばエンジニアの数に依存してしまう。

資産を抱えないビジネスの辛さと終焉

マーケター西野

初めは技術力が上がって、成長が実感できていたがよかったが、長年繰り返すうちに、こう思った。

「俺はいつも自分の時間を切り売りして、誰かのためにシステムを作って、そのシステムは資産としてクライアントに利益をもたらしている。」

 

「しかし、俺自身は作って終わり。
自分に資産は残らない!」

資産ですか?
もっと詳しく教えてください。

アキ

西野流!資産とは

マーケター西野

むずかしい話ではない。
資産とは、自分が少ししか働かない、あるいは全く働かなくても自分に収入をもたらしてくれるものだ。
たとえば特許や著作権、ライセンスがわかりやすいだろう。

 

「金持ち父さん、貧乏父さん」 のロバート・キヨサキは「自分のポケットにキャッシュをもたらすものを資産、お金が出て行くものを負債」と呼んでいる。

マーケター西野

クライアントはどうだろう。
たとえば会計システムがあれば、人手作業が自動化でき人件費が浮く。
顧客データ分析システムがあれば、次の戦略策定に役立ちビジネスがより成功する。
つまり、SEが作っているシステムは、紛れもなくクライアントの利益に貢献する。
それに、そのシステムは一旦構築してしまえば、手を加えなくてもお金をかけなくても資産として稼働し続ける……。

アキ

マーケター西野

わかってきたねえ。

マーケター西野

では、SEとして俺はどうだろう。
誰かの資産を増やすことを繰り返してきて、確かに自分の中に技術は蓄積されてきた。
クライアントにも感謝されてきた。
しかし、俺自身の資産を築いてきたわけではない。

マーケター西野

飯を食うには、経験や技術それだけではダメで、また次のプロジェクトで体を動かして働かなければならない。
SEは時間を切り売りし続けて働くしかないんだ。

マーケター西野

SEは日進月歩の技術についていくのも大変だし体力的な限界もある。
将来を考えた時、人月ビジネスに人生をかける気にはなれなかった。

マーケター西野

一方で、ライセンス、権利やサービスなど、自らの資産を築いて、それがキャッシュを生み出し続けてくれる商売をしている人がいる。
自分が働くのではない。
アイデアを考え、資産に働いてもらうんだ。
俺のSE商売とは大違いだ。

たしかに、よく聞こえますが、でも難しさもあると思います。
それでも西野さんがSEを飛び出したのは、勝算があったからですね?
(魔法の杖について教えてもらわないと)

アキ

マーケター西野

そう。
正しい戦略があれば、規模は小さいにしても勝てるはずだと思った。

そこに、宿題の魔法の杖が関わってくるわけだが、

マーケター西野

おっと、今日も話し過ぎてしまったようだ。
次の予定があるんで、俺はこれで失礼するよ。
えー!
今日こそは宿題の答えを教えてくれるってお話だったのに!

アキ

マーケター西野

悪いな、次こそ話すよ。
約束する。
ってわけで、また!
ちょっと、西野さん!
待ってください!

アキ

……行っちゃった。

アキ

というわけで、大変申し訳ありません!
西野さんがいなくなってしまったので、宿題の答え、人月ではなく、強烈な自社サービスとビジネスの勝率が上がる魔法の杖の戦略については、次回必ずうかがいます!

アキ

でも、これまでのお話でライセンス特許権利など、何か重要なヒントは出てきた気がします。
あとは具体的にどのような戦略になるのか…やっぱりまた西野さんに聞かなければなりません。

アキ

でもでも、この記事のテーマである、請負SIerのお仕事と、人月の考え方についてはよくわかりました!
チームでの仕事や安定した収入という魅力も、移動の多い働き方の大変さも知りました。
もし今から就活をやり直せるとしたら…興味はあっても迷うと思います。

アキ

ITベンダは多いし、働く人も増えているはず。。
みなさんはどう感じましたか?
次回をお楽しみに!

アキ

 

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