中村教授
コーポレートガバナンスの課題は企業価値の向上に尽きるのではないかと思います。
ただし、そのためには監査やIR、委員会制度の導入など、様々な具体的な施策が必要。
ここではあれこれ手を広げず、基本や仕組みを学ぶことができる本を集めました。
ビジネスパーソン、経営者、投資家、学生向けがコーポレートガバナンスはこういうものだと掴むのに役に立つのでは無いかと思います。
- コーポレートガバナンスを初めて学ぶ初心者
- 会社の統治の仕組みを学びたい
- 投資家や経営者として企業価値向上を考えたい方
コーポレートガバナンス「バフェットからの手紙」
中村教授
ゼロから読むにはやや難しいところはありますが、それを差し引いて、
倫理面でも、実務の面でも役に立つヒントがたくさんあります。
できれば上場企業の経営層やIR担当、機関投資家はぜひとも何度も読み返してほしい内容です。
ウオーレン・バフェットは世界で最も成功した投資家です。
株式投資で成功しましたが、同時に事業会社を束ねる巨大コングロマリットの経営者でもあります。
投資家(株主)として、そして経営者として、どちらの立場からも企業経営と株主の付き合い方を考えてきました。
この本「バフェットからの手紙」は、バフェットが経営者として率いるバークシャー・ハザウェイ社の株主に宛てた、レポートをまとめたものです。
よく見かけるような決算説明書・有価証券報告書のような堅っ苦しいレポートではなく、バフェットがまるで家族や友人に宛てる「手紙」のように、なるべくわかりやすい言葉で語りかけるように書いています。
同時に、ファイナンスや投資の専門家が読んでも経営方針がよくわかり読みごたえがあります。
投資家が望むものは、有能な経営者が素晴らしい財務状態で運営する企業の株式を、それに見合った価格で買うことです。勝ってしまえば、あとはその企業が良い状態を保っていることを監視してさえいればよいのです。
こうした投資手法をきちんと実行できていれば、初めは少量の株式が、ほとんどの場合いずれはその投資家のポートフォリオの非常に大きな部分を占める銘柄に成長するものです。
バフェットのコーポレートガバナンスへの思いは、実績・考え方ともにとても明快です。
時に当たり前すぎる主張もあるのですが、それは投資・経営の世界には内部の常識があって、株式市場で常に倫理的・合理的な当たり前の行動が難しいことを意味しています。
中村教授
- 株主は敵ではなく家族のようにパートナー
- 経営者は株主の代理人として株主価値の最大化が務め
- 企業価値の最大化のためには長期目線の経営方針を貫く
バフェットは投資家ならではの発想だと思うのですが、経営者は株主の代理人(エージェント)で、株主の価値の最大化に務めるよう徹底しています。
バークシャーにおいては、ほとんどの役員はその財産の大部分をバークシャー株に投資しています。
自分たちで作った料理を自分たちで食べているわけです。
中村教授
- コーポレートガバナンスについて
- ファイナンスと投資について
- 投資の選択肢について
となっており、コーポレートガバナンスについて多くのページが割かれています。
最近話題の社外取締役や株式の種類にも、ファイナンスと投資の専門家の立場から独自の見解を主張していて、とても参考になります。
中村教授
1株式会社という形態をとっていても、バークシャーはパートナーシップであると私たちは考えています。
チャーリー・マンガーと私は、株主を有限責任のオーナーパートナーとして、また私たち自身のことを無限責任のマネージングパートナーとして位置づけています。
中村教授
「一目でわかる会社のしくみ」
中村教授
中村教授
- 会社と株主の関係
- 株主と経営者の立場の違い
- 会社法が決めている会社とは
このような基本の話を素早く知りたいという方には、とても読みやすくおススメです。
ビジネスパーソンなら最低限知っておくと便利な用語がざっとわかります。
「会社はだれのものか」
中村教授
少し古い話ですが、堀江貴文氏の率いるライブドアがニッポン放送を買収しようと試みたことがありました。
その時世の中では「お金にモノを言わせて企業を征服しようとしている」という批判的な意見と、
「会社は株主のものだから買収は妨げられるべきではない」という賛成的な意見に割れました。
日本で外国人投資家が増えている背景もあり、「株主はお金を出しているのだから会社は株主の意見を重視すべきだ」という株主主権論と、「会社は株主だけでなく経営者・従業員・取引先・顧客など幅広いステークホルダーのものだ」というステークホルダー論の論争も起こりました。
そのようなコーポレートガバナンスをめぐる論争を眺めて生まれたのが、この本です。
会社の仕組みもわかりやすく解説されていますし、資本主義の成り立ちなどの背景も語られており、実務にも教養にも効く内容です。
「株主はモノとしての会社を所有するが、会社は同時に法人としてヒトとして社会の一員で、つまり会社はモノとヒトの二重構造にある」という考え方は、目からうろこです。
岩井克人氏は、「会社はだれのものか」の数年後にも、コーポレートガバナンスをより掘り下げた本を書いています。
また、グーグルやアップルのような巨大IT企業が活躍する背景や、これからの会社の生き残りの道を深く論じていて、経営者・投資家ならぜひ読んでほしい一冊です。
コーポレートガバナンスをファイナンスで読み解く本
中村教授
先ほどは学者肌の岩井克人氏の本2冊を紹介しましたが、よりファイナンスや実務の面でのコーポレートガバナンスを知りたい方はおススメです。
とくに投資家とコミュニケーションする上場企業の経営者・役員・IR担当者にオススメです。
ファイナンスの専門家から見たバフェットの経営・投資方針をわかりやすく解説し、日本企業が学ぶべきコーポレートガバナンスを展開しています。
手島直樹氏の主張の特徴は、「ファイナンス理論を駆使して財務諸表や経営指標を少しでもよく見せる努力よりも、本業でしっかりキャッシュを稼ぐこと」です。
それも、単なる理想論ではなく、実務やファイナンスの専門家である立場から、本業のキャッシュの重要性を説いているのがユニークです。
M&Aやコーポレートファイナンスなどで悩む経営者は、ぜひ読むことをおススメします。
結局、企業の価値を決めるのは業績です。それ以外の外見をどう変えようが、大した影響は与えません。ファイナンスなどという”経営の余事”に振り回されることなく、そろそろ商売を再開する時ではないか、と私は感じています。利益を上げればすべては解決するのです。
(引用)まだ「ファイナンス理論」を使いますか?-MBA依存症が企業価値を壊す
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