登場する重要な用語は、この通り!
アキ
- GDP
- 生産性
- 物価
- 雇用
- 失業率
教授、よろしくお願いします!
アキ
中村教授
「GDP」や「生産性」は新聞ニュースだけでなく、ビジネスでも頻繁に使われる重要な用語です。
中村教授
そこでこの記事では非常に重要な用語だけ、極力ポイントを絞り紹介します。
中村教授
アキ
アキ
目次
GDP(国内総生産)
中村教授
「その国で、どれほどの付加価値が生み出されたのか」を示す数字です。
例えばカナダから小麦を100円で仕入れて、人件費30円、工場コストを50円かけて利益40円で、220円で売れば、GDPは120円(30+50+40)と計算されます。
100円で仕入れた商品を100円で売っても付加価値は増えないため、GDPはゼロです。
民泊などシェアリングエコノミーが普及しても付加価値が増えづらい理由はここにあります。
日本のGDPはやや上向き
日本のGDPはリーマンショック以降、500兆円を上回り徐々に伸びを見せています。
物価の伸びを調整した指標を「実質GDP」と言うが、こちらも徐々に伸びています。
(参考)厚生労働省「一般経済の動向」(2017年)
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/17/dl/17-1-1-1_01.pdf
伸びの内訳は、企業の設備投資や輸出で、個人の消費は伸びていません。
(参考)厚生労働省「一般経済の動向」(2017年)
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/17/dl/17-1-1-1_01.pdf
GDPの内訳は個人消費が大きい
GDPの内訳です。
GDP=個人消費+設備投資+政府支出+(輸出ー輸入)
- 個人消費とは、個人がスーパーやネットで買い物したりマンションを購入すること。
- 設備投資とは、企業が備品や社用車、工場などを購入すること。
- 政府支出とは、官公庁などで備品を購入したり、道路やインフラなどへの支出。
- 輸出と輸入の関係は、主に貿易の収支。
日本の場合、このような数字です。
531兆円=316兆円+84兆円+132兆円ー1兆円
(参考)内閣府「平成29年度国民経済計算 年次推計 (支出側系列等)」
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/gaiyou/pdf/point_20181210.pdf
内訳からわかるのは、個人消費が大半を占めているということです。
景気を支えるには、一番多くを占める個人消費が鍵を握っています。
日本のGDPは、米国、中国に次ぐ3位
日本はかつて米国に次ぐ2位でしたが、今や中国に抜かれ、3位になっています。
(参考)財務省 経済局国際経済課「主要経済指標2018年12月」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000018853.pdf
- GDPとは、個人消費、企業の設備投資、政府の支出、貿易の合計。
- 日本は消費が60%、設備投資が15%、政府支出が24%、貿易は収支ゼロ付近。
GDPの支出面、生産面、分配面とは?
ここからの説明は興味がある人だけ読んでください。
GDPは支出面、生産面、分配面という三つの計算方法があります。
先ほど説明したのはもっとも多く使われる支出面です。
基本的にこれだけでもニュースを理解するには問題ありませんが、一応他の方法もしょうかいします。
GDPの分配面
GDPの分配面とは、こうなっています。
GDP=雇用者報酬+固定資本減耗+営業余剰+間接税ー補助金
難しく考える必要はありません。
式を単純化するとこうなります。
GDP=労働者賃金+設備投資+利益
間接税や補助金などは財政政策の話で、民間企業の本質的な活動ではないため無視をして他の用語を簡単に言い換えました。
これを簡単に説明しましょう。
「GDPは国内で生産された付加価値を表す指標」ですが、
この式を見ると、「GDP=付加価値=労働者賃金+設備投資+営業余剰」だとわかります。
先ほどの例だと、「GDP120円=人件費30円+設備代50円+利益40円」というわけです。
よく「この商品は付加価値が高い」という表現を使いますが、経済学では人件費をかけることも、付加価値です。
今の日本の大企業は人件費を抑え、設備投資も抑え、利益や内部留保が積み上がり、投資家や会社役員など富裕層に分配が偏っている傾向があります。
(参考)厚生労働省「一般経済の動向」(2017年)
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/17/dl/17-1-1-1_01.pdf
この図を見ると、GDPは徐々に伸びているものの、2016年以降、雇用者への分配額が横ばいであることがわかります。
いかに労働者の生産性を高め、付加価値を高めていけるかが課題です。
生産面とは、業種ごとの統計を積み重ねていく方法でわかりやすいので、ここでは省きます。
生産性
中村教授
細かい計算方法はいろいろありますが、「全体の成果÷人数」で割るのが基本です。
日本のGDP労働生産性は35カ国中20位
日本のGDPと労働者の人数から計算した、労働者の時間あたり労働生産性は46ドルで5,000円程度です。(2016年度)
これはOECD加盟国35カ国中で20位です。
(引用)公益財団法人 日本生産性本部「労働生産性の国際比較 2017 年版」
https://www.jpc-net.jp/intl_comparison/intl_comparison_2017_press.pdf
日本は世界と比較して高いか、低いか?と言えば、低いでしょう。
世界トップの常連のルクセンブルクやアイルランドは時間あたり95ドルと1万円ほどです。
どちらの国も、法人税の安さを武器に金融や法務、コンサルタントなど高付加価値のサービス業を主軸にしています。
そもそも合併する目的は法人税の安いアイルランドを本拠にすることでの節税狙いでした。
それを米国当局が止めたというわけです。
グローバル企業にとって、アイルランドは魅力的なのです。
日本の生産性は、アジアではシンガポールや香港以下です。
上の表はOECD加盟国が対象のため、掲載されていませんが。
半導体で強い台湾や、スマホに強い韓国にもジリジリ追い上げられています。
戦後日本は製造業依存のまま
世界はITや金融などの高付加価値サービス業で生産性を高めているなか、日本は……
日本は一貫して戦後製造業が主役です。
飲食・介護などサービス業でも人手不足でイノベーションが生まれて生産性が上がるかと思いきや、次の一手は外国人労働者の増加という、生産性ではなく労働者の頭数を増やす対策です。
これでは生産性も賃金も上がる期待が持てません。
就活生に役立つ生産性
ところで就活生なら、会社の売り上げを従業員数で割ればざっくり一人当たり生産性がわかるのでオススメです。
仮に売上高50億円で従業員が1000人で一人当たり生産性が500万円だとすれば、原材料費、光熱費、設備投資や支払い利息、税金もろもろ引かれて給料になるわけですから、給与水準の参考がわかります。
物価上昇率
中村教授
物価上昇をインフレーションと言い、その逆の物価下落をデフレーションと言います。
100円の商品が翌年102円になれば、前年比2%の物価上昇(インフレ)です。
(参考)総務省 統計局「PSI(ポケット統計情報) 消費者物価指数(全国)の前年同月比の推移」
http://www.stat.go.jp/data/psi/3-5.html
2008年(平成20年)頃の物価上昇の理由は、原油価格が上昇したためです。
これを「コストプッシュ型」と言います。
そして2014年(平成26年)頃は、消費増税(5%→8%)が要因です。
それ以外は、「デフレではないが、インフレでもなく、ほとんど横ばい」と言えます。
2013年にアベノミクスが本格始動し、黒田日本銀行総裁が就任して「異次元の金融緩和」で2%のインフレを目指しました。
その内容は凄まじいもので、日本国債の40%を日銀が保有、マイナス金利、イールドカーブコントロール、上場投資信託の買い支えなどあらゆる手段を活用しています。
しかし予定はなんども先送りされており、目標は達成されていません。
事実から冷静に考えれば、現状の日本では金融政策による物価上昇には限界があると言わざるを得ません。
ちなみに原油価格の上昇は強制的に物価を上げる要因になりますが、「コストプッシュ」型であり、家計や企業を圧迫するため「良いインフレ」ではありません。
物価上昇率の計算方法
物価上昇率の計算方法は、主に3通りがあります。
- 総合
- 生鮮食品を除く総合
- 生鮮食品及びエネルギーを除く総合
総務省統計局のHPには、それぞれの数値が公表されています。
(参考)総務省統計局「2015年基準 消費者物価指数 全国 平成30年(2018年)11月分 (2018年12月21日公表)」
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html
「総合」は良いとして…
二番目、生鮮食品を除く理由は、生鮮ものは漁・農業の結果に左右されますし、天候や災害の影響も受けて、値段が変わりやすいためです。
三番目のエネルギーも、原油価格は非常にブレやすい数字。
そこで三種類に分けた統計方法をとっています。
なぜインフレを目指すのか?
アベノミクスで黒田東彦日本銀行総裁が就任し、「物価目標2%増加」を掲げました。
しかし、「そもそもなぜインフレが良いのか?」と疑問に感じる人もいるかもしれません。
インフレでは、今年よりも来年の方がモノが高くなります。
ということは、買い控えをせずに、今のうちにモノを買おうという心理になります。
また、物価が上がれば、現金をそのまま持っていると不利になります。
例えば、100円があって、物価が二倍になれば来年にはその100円は半分の価値しか持たないことになります。
それなら消費をしたり、投資をしようという気になります。
それを見て、企業も「モノが売れるなら」と設備投資をしたり、従業員を雇ったり給料を上げます。
すると儲かった経営者、投資家や従業員にもさらにお金が循環するスパイラルになります。
このように、インフレでは、お金が循環しやすいという効果があります。
デフレは絶対悪い
一方、デフレは完全に悪影響です。
来年の方がモノの値段が下がるなら、消費の先送りが起こります。
また、現金をそのまま持っているだけで、そのお金の価値が増えていくことになります。
つまり、消費者の買い控えが起こります。
それを見て、企業は従業員を雇わず、設備投資もせず、投資家・経営者・従業員へお金が回らなくなります。
もちろん、お金を借りている場合は、利息分に加えて、デフレ分も負担することになります。
例えば、利息は年率10%で1,000円借りて、100円の商品を売る商売をしているケース。
一年後には、1,100円を返さなければなりません。
物価が10%上昇すれば、100円のモノが110円で売れるので、1,100円を返済するために、商品を10個売れば十分です。
物価が10%下落すれば、100円のモノが90円で売れるので、1,100円を返済するために、商品を12個以上売らなければなりません。
「中国は物価上昇率が高いので、少しくらい下がっても平気だ」と思うでしょうか?
実はそうではありません。
現行の物価上昇率を見込んで経済活動が成り立っているため、当てが外れると金利負担や買い控えで経済全体が苦しくなります。
ジンバブエやベネズエラのハイパーインフレのように、悪いインフレはありますが、適度なインフレもあります。
一方、デフレは世の中のあらゆるところで負担が増えるため、良いデフレはなく、絶対に悪いわけです。
雇用・失業率
中村教授
第二条 日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。
「日本銀行法 第一章 総則 第二条」
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=409AC0000000089
失業率が高ければ経済的理由で貧困が増え、犯罪率、自殺率の増加につながると心配されます。
一方で、景気が悪くても仕事があって失業率が低ければ、国民の生活はとりあえずは大丈夫なのでまだ持ちこたえられると言えます。
これほど、雇用や失業率は大切な数字です。
現状の日本の失業率は
今の日本の失業率は歴史的な低水準です。
(引用)厚生労働省「完全失業率と有効求人倍率の推移」
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/17/backdata/1-2-01.html
どれほど雇用状態が良くても、転職活動をする人はいるため、このくらいの数字は一時的に失業しても不思議ではないと考えると、今の水準は働きたい人全員が仕事に就けている完全雇用に近い状態だと分析する経済学者もいます。
失業率が重視されているのはFRBを見ればわかる
失業率や雇用状況が重視されていること示す良いケースは、米国の中央銀行にあたるFRBと株価の関係です。
米国では失業率や雇用状況の統計が出るたびに株価が敏感に反応します。
その理由は、雇用統計によって中央銀行FRBの金融政策が変わることを知っているからです。
実際、雇用統計が良すぎると、中央銀行は「景気が過熱してバブルになる前に少し冷ましておこう」と考え、金利上げ・緩和の縮小、景気の沈静化、株価下落という流れを辿ることもしばしばです。
失業率統計の課題は
失業率は「就職活動をしている人」を追跡するため、「本当は仕事をしたいがどうせ見つからないから、と諦めて就活すらしない人」がいても、それは計算に入らないというデメリットもあります。
なので米国は、雇用の実態を正確に表す指標として、失業率と一緒に「新規就労者数」も重視しています。
ちなみに好調の目安は1ヶ月20万人です。
キャノンの連結従業員数が19万人(国内9位)、富士通が15万人(10位)ですから、1ヶ月に20万人が新しい仕事に就くのはすごいことです。
(参考)東洋経済オンライン「最新!これが正社員数の多いトップ500社だ」
https://toyokeizai.net/articles/-/215020?page=2
まとめ
中村教授
中村教授
この用語や数字を少し知るだけでもニュースや新聞の理解度が違うと思います。
中村教授
どう感じたでしょうか?
ここで提起した課題は、今メディアで主要な論点ばかりです。
ぜひ調べてみて、色々な人の意見に触れてみてください。
アキ
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