社会人になると、「成長意欲がわかない」「打破しようがない困難がある」などさまざまな場面に直面して、「何か学びたい」「現状を変えたい」という気持ちになることがたくさんありますよね。
アキ
今回は、社会人のあなたにおすすめしたいビジネスの良書を紹介します。
アキ
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マーケター西野
西野です。
マーケター西野
アキ
マーケター西野
それから、「あんな立派な人でも失敗の経験があるんだな」というのはささやかな慰めにもなる。
アキ
マーケター西野
というわけで、今回は下のテーマごとにおすすめの本をピックアップしていこう。
- 経営論
- キャリア
- 経済分析
- 競争戦略
- IT・テ久ノロジー
社会人がまず読むべき経営者論・経営論
マーケター西野
「思い邪なし」北康利
京セラ創業者稲盛和夫氏の自伝の決定版。稲盛氏の立志伝と言えば日本経済新聞「私の履歴書」などさまざまなものがあるが、本書はそういった書籍をベースに作家の北氏がさらに取材・インタビューを重ね、500ページ以上にまとめあげた力作。
批評本ではなく稲盛氏の半生を追体験できる。
ベストセラーに「生き方」があるが、本書の方がより具体的なので、ビジネスパーソンの実践に向いている。
京セラという50年以上黒字の超優良企業を育て上げ、日本屈指の経営者として数えられている人物の半生はヒントの宝庫だ。
値決めは経営
手の切れるのような製品でなければならない
入社した会社が潰れかけで独立したものの従業員から待遇改善を迫られたのを機に「全従業員の物心両面の幸福を追求する」と転換したエピソードや、取引先である松下グループからの買い叩きをきっかけとした熾烈な原価圧縮の取り組みなどなど。
1つひとつの出来事に血が流れているように感じる。
特に第3章「世界の京セラへ」では苦闘しながらも技術力を磨き、財務規律も整えて世界企業になっていく経緯が細かく描かれている。
アイデアと行動、情熱には何度読んでも驚きがある。
「マネジメント」ピーター・ドラッガー
経営学者のピーター・ドラッガー氏の代表的著作。経営という個人技を、体系化したのが本書だ。
原理原則として心に留めておきたい金言のオンパレードだ。
企業の目的は顧客の創造
シェアは最大より最適
本書の最大の特徴は、経営や企業といった概念を、抽象化して哲学化した点。
これ以上分解できないレベルにまで落とし込まれており本質的なので、迷った時には何度も読み返したい。
企業経営は組織や人的リソースのマネジメントが最重要事項であり、本書でも主に組織戦略やマネージャーの姿勢といったテーマに多くのページが割かれている。
前半では「企業とは」「労働とは」といったテーマについても触れられているが、ここだけでも一度は読んでおきたい。
「ユダヤの商法」藤田田
日本マクドナルド創業者の藤田田(ふじた・でん)氏。日本で外食文化を切り開いた経営者の1人として名を馳せてきた。
マクドナルドの第1号店は郊外ではなく銀座三越
商売の原則は口と女
こういった時代を超える名言がいくつも散りばめられている。
全てが実践に基づく具体的なレッスンで、歯に布着せないストレートな言い方。
強引な手法、ワンマン経営などに批判はあったが、マクドナルド文化の伝導者としての考え方は参考になるものが数多い。
ところで、旧版にはやや過激な表現があったが、新版では削除されている。
率直な考え方を知りたい人は旧版が最適。
「伝えることから始めよう」髙田明
ジャパネットたかた創業者の髙田明氏。言わずもがな、セールスの達人だ。
講演などで「もし一冊だけ本を出すとしたら、伝え方について書く」と常々語っていたが、それが実現したのが本書。
セールスは商品の魅力を語るよりも前に、相手の感動やメリットを想像する
コミュニケーションで大切なのは伝えるではなくて伝わること
セールスの原則や技法が存分に語られており、伝え方に関する悩みが消えて行く。
また、セールスだけでなく経営についても多くのページが割かれている。
もとは長崎県の町のカメラ屋から、ラジオでのプロモーションで販売実績を重ね、テレビ通販に展開していった。
たった一代で売上1000億円規模の企業を育てたわけだ。
この成長の軌跡が細部まで語られている。
また、注目されないが重要なこととして、あえて自社スタジオを抱えたり、メディアミックス戦略に取り組んだりなど、ジャパネットのプロモーションを支えるシステムも詳しく分かる。
「伝わらない」と悩んだ時のために手元に置いておきたい一冊。
キャリア・経営者伝記
マーケター西野
マーケター西野
そこで、先人たちがどのようなキャリアを歩んできたのかを知ることは大きなヒントになる。
ここでは名物連載と、一冊の本を紹介したい。
「私の履歴書」
日本経済新聞の裏面に掲載されている人気連載「私の履歴書」。経済人や政治人、文化人など、その道で一定の成功を収めた人物が自身の半生を振り返るという月替わり企画。
例えば、これまでは以下のような面々だ。
- 稲盛和夫(京セラ)
- 似鳥昭雄(ニトリ)
- 小倉昌男(ヤマト運輸)
- 伊藤雅俊(イトーヨーカドー)
- 坂根正弘(コマツ)
- 大賀典雄(ソニー)
大会社を創業したり経営したりする人物が、どのような歩んできたのかを知ることは、自分のキャリアを考える上で大いに参考になる。
今だからこそ語れる、葛藤や戦略なども赤裸々にされているのはありがたい限りだ。
偉人と呼ばれる人でも、なるべくしてなっている要素もあるが、人並みに悩んでいるし、運も味方につけているというのは俺のような平凡人にとって希望の兆しを感じる。
困難な時は、上の方々の話は何度も読み返してきた。
ところで、日本経済新聞社は「経済人」の連載を数人ずつまとめて単行本化しているが、稲盛和夫氏や似鳥氏のように個人の連載が1冊として収録されている書籍もある。
加筆修正されており、そちらの方が読みやすいかなとも思う。
「苦しかった時の話をしようか」森岡毅
私の履歴書はキャリアを知る上でとても良い教科書だと思うが、あえてそれ以外にも挙げるとすれば、マーケター森岡毅氏の本書がおすすめだ。P&GでキャリアをスタートさせUSJ復活、マーケティングのスペシャリストとして独立に至った森岡氏。
この本の特徴は、どんな職業でも共通するキャリアの歩み方について、世の中の構造やファクトをベースに噛み砕いて説明していることだ。
何よりも職能を鍛えることが大切だとした上で、プロとして以下3つを追求するために、具体的にどういう戦略を実行すれば良いのかを解説している。
- 将来性
- 収入
- 幸福度
マーケターお得意のフレームワークも用いられており、すぐに応用可能だ。
なお、P&G時代の個人的な失敗や苦労を振り返っており、同じ苦労を抱える人にとってはグッとくるものがある。
マクロ経済が分かるアナリスト・エコノミストの書籍
マーケター西野
経営や事業を行う立場のビジネスパーソンなら、こういった経済全体の動向や長期的な流れを知っておくことが大切だ。
そこで、ここではおすすめのアナリスト、経済学者を2人紹介しよう。
デイビッド・アトキンソン
元ゴールドマンサックスのイギリス出身アナリスト。オックスフォード大学で「日本学」を専攻し、バブル時代から日本の金融分析レポートで業界を何度も賑わせてきた名アナリストだ。
高い教育を受け勤勉である日本人だが、実は生産性が低く先進国の中でも所得水準は低レベル。
そして待ち受けるのは人口減少、高齢化という未来。
著作では、まず日本経済のマクロ的分析をしており、日本経済の現状や課題が示されている。
その上で、何が課題なのか、どうすれば勝算があるのか提言もされている。
マクロ的な経済に興味がある人だけでなく、経営というミクロな世界に生きる人にも役立つだろう。
ところで、データ、エビデンス、ロジック、そこから導き出される結論。
この展開の鮮やかさにはいつも惚れ惚れする。
野口悠紀雄
著名経済学者の野口悠紀雄氏。都立日比谷高校で首席であり、東大法学部出身者が当たり前である中、東京大学工学部から大蔵省(現・財務省)に入省したという異色の人物。
著書では金融経済や経済史などについての分析をしている。
工学部出身ということもあり数学を駆使したデータ分析やファイナンス論は深く鋭い。
と言っても、平易な言葉での解説が多く、文系でも身構える必要はない。
なお、野口氏はアトキンソン氏と同じく日本経済や国家財政・金融政策に対しては悲観的な見方をしている。
ただし、それはデータに基づいた冷静な分析の結果だ。
アキ
競争戦略の学習や実践に役立つ良書3選
マーケター西野
ビジネスは競争に晒され続ける中で生存しなければならず、戦略は不可欠だ。
ここではそんな競争戦略が学べる良書を紹介しよう。
「ストーリーとしての競争戦略」楠木建
競争戦略の研究者、一橋大学の楠木建教授による競争戦略のわかりやすい解説書。そもそも競争戦略とは競争がある中で資源を有効活用して勝つための道筋であるとした上で、ストーリーとして面白くて筋の良い戦略こそが優位性が高いと説明している。
戦略ストーリーの筋の良さとは、戦略のシンセシスを支える因果論理がしっかりしており、ストーリーとしての一貫性が高いということを意味しています。
楠木氏はフィールドワーカーで、ごく当たり前のシンプルな本質をわかりやすく伝えることでビジネスパーソンから人気の学者でもある。
分厚い本だが面白くて長さを感じない戦略の入門書。
「最高の戦略教科書 孫子」守屋淳
「孫子の兵法」として有名な中国の軍師・孫子の考え方を解説した本。戦争で勝利することを最大唯一の目標として、その具体的な戦い方が説明されている。
戦わずに勝つことこそ最良の戦略
1対10でも、敵を10分割して同等に持ち込めば戦える
ビジネスでは常にライバル社とのシェア争いをしており、ニッチ分野であっても新規参入者が現れれば競争になる。
競争で生き残るためには、資本力、人的リソース、地の利など、あらゆるリソースを有効活用しなければならない。
しかし、戦い方次第では、力の強い相手に対しても勝てる可能性がある。
これはワクワクしないだろうか。
戦略的知見を広げ、可能性に気づかせてくれる良書。
「確率思考の戦略論」森岡毅
USJ復活のマーケター森岡毅氏と、パートナーである今西聖貴氏の共著。事業戦略の中でも、マーケティング面でのアプローチを強化したいならこの本。
前半は森岡氏が戦略というものの本質を解説している。
市場には構造があり一定の確率に収れんしていくもので、シェアを高めるには構造に従って自社ブランドのプレファレンス(選好度)を高めるしかないというシンプルな結論。
市場構造を決定づけているDNAは、消費者のプレファレンスである。
後半では、数学者である今西氏が数学的な考え方を用いて、需要分析や市場予測などを行い、目標数値を達成するためのアプローチが詳しく述べられている。
市場調査の考え方や方法の章は、事業責任者にとって役立つヒントが詰まっている。
市場調査の本質は、プレファレンス(相対的好意度)とその仕組みを解明して、マーケティングの決定者に提供することで、成功確率の高い戦略を選択できるようにすることです。
IT・テクノロジー業界
マーケター西野
製造業やサービス業など業種業態を問わずテクノロジーの知識は必須と言える。
ビジネスの基礎的な教養として、ITやテクノロジー業界が理解できる本を2つだけ紹介しよう
「フリー」クリス・アンダーソン
無料から始まる21世紀型ビジネスの解説本。
無料を軸にしたビジネスモデルをここまでわかりやすく解説した本の中では、おそらくナンバーワンだ。
どうしてグーグルではフローがあたりまえなのだろう。なぜなら、それが最大の市場にリーチして、大量の顧客をつかまえる最良の方法だからだ。
消費者として何かサービスに触れる時は、「サービス利用料無料」「コンテンツ閲覧無料」「会員登録無料」といったあらゆる「無料」があり、それが当たり前になっている。
その無料は集客材料にすぎず、マネタイズするわけだが、その手法がケーススタディとして紹介されている。
もちろん、念頭はGAFAなどのネット企業だ。
2010年頃の本だが古さを全く感じないし、競争戦略やマーケティング、プロモーションに携わる人なら読んでおいて損はないと思う。
「GAFA」スコット・ギャロウェイ
GAFAと言えばIT巨人の4社を指す。- グーグル
- アップル
- フェイスブック
- アマゾン
時価総額では世界トップクラスだが、当然ながらユーザーを増やして儲かるような構造がある。
もちろん、GAFAの中でも、グーグルとフェイスブックは広告業、アップルはブランド品販売、アマゾンは流通業+ITサービスという違いこそある。
本書では、それぞれの革新的なビジネスモデルや勝つべくして勝つ戦略を体系的に明らかにしている。
グーグルとフェイスブックは(中略)情報流通のコストが下がり続けていることをうまく活用した。以前は高価だった情報の世界にユーザーを近づけ、新たな門番となることで何十億ドルもの価値を引き出したのだ。
誰でも、どんな企業でもGAFAのプラットフォームを利用せずにビジネスは成り立たない訳で、この状況はおそらく今後しばらく続くだろう。
GAFAをビジネスの味方にするためにも、次の新しいビジネスを創造するためにも、研究しておくことは役立つ。
まとめ
今回紹介したものの中から、「困った時に戻れる」「言葉が血肉になる」という本が見つかれば嬉しいです。
アキ
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「マネジメント」ピーター・ドラッガー
「ユダヤの商法」藤田田
「伝えることから始めよう」髙田明
「私の履歴書」
「苦しかった時の話をしようか」森岡毅
「日本人の勝算」デイビッド・アトキンソン
「日本経済入門」野口悠紀雄
「ストーリーとしての競争戦略」楠木建
「最高の戦略教科書 孫子」守屋淳
「確率思考の戦略論」森岡毅
「フリー」クリス・アンダーソン
「GAFA」スコット・ギャロウェイ
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