教養を身につけるメリットや、役に立つ教養の種類、そしてオススメの本を紹介します。
アキ
村田さん、よろしくお願いします!
アキ
目次
3分でわかる、ビジネスパーソンが教養を身につける必要性とは?
アナリスト村田
実用書やビジネススキルだけでは不十分なのか?
社会人・学生が教養を身につけると良い3つのメリットを紹介します。
教養はビジネスの決断で役立つ
アナリスト村田
私がお目にかかってきた経営者は年商も年齢も様々ですが、ビジネスパーソンとして座右の書をお持ちの方が多かったです。
ビジネスでは決断の連続で、日常でも小さな決断の積み重ねです。
できることなら悩み苦しみたくないし、後で良かったと思える決断をしたい。
教養があればどうでしょう。
例えば似たような境遇の人のケース、過去の歴史や、思想家の考えを参考にすることができます。
全てを自分で考える負担を減らすことができます。
自分の知見だけで考えるよりも視野が広がり、決断の精度が上がります。
教養とは、負担を減らして成功確率を高める、ビジネスの決断の友です。
愚者は経験に学び賢者は歴史に学ぶ
ーービスマルク
教養とはAI時代に生き残るキャリアの武器
アナリスト村田
ベストセラー数学者の新井紀子氏が言うには、
AIでできることは膨大な情報の処理です。
例えば得意中の得意技は、膨大なCTスキャン画像から人間では見分けられないほどの小さなパターンを抽出してガン細胞を発見することや、過去の株価データから次の動きを予測するなど。
一方でAIが苦手なことは、言語処理や文脈の理解です。
「AI東大合格プロジェクト」を断念したのは、言葉の理解がどうしても難しかったからだと言います。
また、アートの分野でも音楽や絵の表現はできますが「それっぽい」だけで全く鑑賞に値するレベルではない、と言うか今後も困難だろうと言います。
そもそも人間は、論理や感性で理解したり感動することができます。
AIは文脈がわからないので、歴史や感性、時代の流れを踏まえて作品を創り出すことは苦手なのです。
できることは、ヒットチャートのデータをインプットして、帰納的にヒット曲の特徴を抽出し、新しくできた曲が成功する確率を「計算」することです。
芸術が得意なわけではありません。
よって、 AI時代に生き残るための条件が見えてきます。
結局は、人間性が大切。
人間性を追求するには、感性や教養が最高の助けです。
感性とは人とのコミュニケーションや、自然体験、経験によって深みが出てきます。
教養とは、文学、音楽、絵画、映画などの文化に触れるのも良し、歴史、思想、哲学を学ぶことでも身につけることができます。
教養は、間違いなくキャリアを支えてくれます。
教養は能力・意思を最大限に生かす
アナリスト村田
京セラ創業者の稲盛和夫氏は「成果=能力×熱量×考え方」と言っています。
能力や熱量が強くても思慮に欠けていれば逆に強い悪影響を及ぼすかもしれません。
世の中で受け入れられないかもしれません。
一方、教養を身につければ、多様な価値観の中で、周りとのバランスも考えながら自分の価値観を発揮できる最大公約数を探し当てることができます。
アナリスト村田
社会性を無視して自分の思いを貫くことは、良からぬ結果を引き起こす可能性があります。
例えば、日本の土地バブル。
1980年代半ば円高不況で景気刺激策として低金利政策を打ちそこまでは良かったものの、金融機関、個人が収益源を求めて土地・株式へと過剰にマネーを流し込む暴走がありました。
これは財テクをする能力やマネーを求める願望があっても、社会性という考え方が欠けていたばかりに引き起こされた構造的な崩壊だと私は見ています。
アナリスト村田
生き残るビジネスを作ったり、個人のキャリア戦略としても必ず助けになります。
- 教養はビジネスの決断で役立つ
- 教養とはAI時代に生き残るキャリアの武器
- 教養は能力・意思を最大限に生かす
ビジネスパーソンにはどんな種類の教養が役に立つ?
アナリスト村田
「リベラルアーツ」というように、教養には、人間性、感性、知識など幅広いものがあると思います。
分厚くて難しい本を読むことだけが教養ではありません。
人間性とは、人とのコミュニケーションや、経験によって深みが出てきます。
感性とは、自然体験や文学、音楽、絵画、映画などの文化に触れると研ぎ澄まされていきます。
例えば、村上春樹氏は自分の心の奥底を掘り下げた、一見私的で個人的な世界観を小説にしているのに世界的に受け入れられるのは、個と社会性のバランスが絶妙だからだと思います。
知識とは、歴史、思想、哲学、学問で身につけることができます。
アナリスト村田
ビジネスパーソンが身につけるとよい知識について
- 思想
- 歴史
- 学問
の3つを紹介します。
アキ
思想
アナリスト村田
自由経済の根幹思想 アダムスミス
アナリスト村田
アダムスミス思想はいまの資本主義の基盤になっています。
例えば分業の効率性。
グローバル化で国際分業が進む背景には、「分業の方が経済合理性が高い」という命題があるからです。
産業革命時代から、今の日系グローバル製造業に至るまで、分業思想が基本になっています。
それから、市場の価格調整機能。
「見えざる手」はあまりにも有名ですね。
経済や金融の世界で「マーケットは自由に任せておくべだ」「いや、秩序を守るために政府が介入すべきだ」という論争はいつの時代も行われますが、基本的に自由派はアダムスミスが根拠になっています。
このような内容が網羅されている著作の「国富論」は、ひとつひとつのテーマが核心をついていて、驚きの連続です。
「一流の経済学者の本100冊よりも、超一流のアダムスミス」というのを聞いたことがありますが、資本主義で生きるいま、その土台を知ることは最高の教養だと思います。
「共感」についても深い洞察をしている「道徳感情論」もオススメです。
社会は経済合理性だけではなく、人間性でも動くからです。
資本主義の思想的土台 ジョンロック
アナリスト村田
「統治二論」の後編の、第2章〜第5章だけでもオススメです。
国家システムを支える法律、経済、政治がどうあるべきかという話をしています。
一番のポイントは「私的財産権」です。
それまでの王権神授説で「王や神が絶対で個人の所有権は認めない」という考えを覆しました。
その要点はこうです。
人間は労働によって獲得した財産を私的に所有する権利がある。
そして、所有者は、財産を他者の盗みや略奪によって侵害されない権利を持つ。
国家政府は、国民が財産を不当に侵害されないような機能を抱えるべきだ。
という三段論法です。
いかがでしょうか。
例えば今の日本社会でも、公共の山で自分で木の実を取って食べても良いですが、他人のものを無断で食べると盗みになり罰せられます。
コーポレートガバナンス制度は、企業経営者は株主の財産を預かる身として、しっかり働かければ「特別背任」や「善管注意義務違反」として排除される仕組みです。
今の社会制度で、ジョンロック思想があちこちに根付いていることがわかります。
ジョンロックはアダムスミスの生まれる20年前に亡くなりましたが、そのあとアダムスミス思想の土台になった人物でもあります。
歴史
アナリスト村田
「歴史は繰り返される」ので、歴史に学ぶことは大きな意義があります。
経済評論家 堺屋太一
アナリスト村田
社会の歴史や経済の本質を知っておけば、大きな決断で失敗する確率を下げられます。
経済の本質は交換と分配で、市場の役割は交換と価格形成と需給調整です。
農耕、度量衡がどのように文明化に役立ったのか、業界の構造、貿易の構造など経済の仕組みがよくわかります。
「知価社会」という言葉が出てきますが、
これは20世紀的な工業中心ではなく、21世紀的な情報中心の考えが大切だということです。
製造業よりもITサービス業が力を持っている現代、必要な考え方です。
堺屋太一氏は元通産官僚で経済企画庁長官。
他にも良い本がたくさんあります。
アナリスト村田
残念です。
歴史学者 網野善彦
先ほどのアダムスミスは、資本主義という世界的な価値観の支えでしたが、
網野善彦氏は日本歴史への洞察が深く刺激的です。
天皇制や経済文化、貨幣流通、身分制度など、今でも根付いているものから変化してきたものまで、幅広いテーマです。
平成が終わり、伝統的な価値観がグローバル化で変化を迫られている中、私たち日本人の親や祖父、祖先が辿ってきた歴史を知ることは重要なのではないでしょうか。
とても本質的なのに、わかりやすく、歴史の知識が欠けていても面白く読めるという優れた本です。
歴史小説 ローマ人の物語
アナリスト村田
政治思想や哲学の先駆けが古代ギリシアの地です。
プラトンもアリストテレスも、この地で議論を戦わせました。
著者の塩野七生氏は過去の偉人に惹かれてイタリアに移住したほどです。
過去のヨーロッパでは統治、内乱、戦争など、ありとあらゆる出来事が起こります。
国家の栄華と衰退を見れば、今の時代にも活かせる教訓がたくさんあります。
非常に長篇なので全て読むのは大変ですが、文章は平易でとても読みやすいです。
学問
経済学者 岩井克人
アナリスト村田
「会社はこれからどうなるのか」はコーポレートガバナンス論の高まりを受け、「会社は誰のものか」というテーマについて思想的、法律的、実務的な視点から考えた良書です。
資本主義と会社の「これまで」と「これから」がわかり、これから生き残る企業の条件も分析しています。
岩井克人氏の考え方で非常に勉強になったポイントがあります。
「利潤の源泉は差異の裁定取引である」という原理があり、
資本主義は「商業」「産業」「ポスト産業」の三段階を辿ってきた。商業は異なる地点のものを結びつける交易・貿易に価値があり、
産業は安い労働力と大量集積でものを作る大規模製造に価値があり、
ポスト産業は情報による付加価値に価値がある。
という考えです。
今の時代はポスト産業資本主義時代で、情報こそが大切という考えでは先ほどの堺屋太一氏の「知価社会」と同じです。
「利潤とは差異の裁定取引である」というシンプルな真実は、経営でも投資でも応用が効きます。
私もアナリストとして企業を見るときは、「差異は何だ」「差異はどのように作り出すのか」を観察するようにしています。
貨幣や利潤の本質については、こちらの本「ヴェニスの商人の資本論」もオススメです。
「利己的な遺伝子」リチャード・ドーキンス
アナリスト村田
この本では、
生物学の立場から、生存競争の厳しい現実と、それでも子孫を残し続ける種の条件を研究しています。
企業経営やキャリアとは生存競争です。
私たちは、過酷な競争で会社の生き残りの手段を考えなければなりません。
遺伝子も同じで、この本には多くの教訓があります。
生物学の本がベストセラーになり多くのビジネスパーソンにも読まれてきたのには理由があります。
アナリスト村田
多様性が大切なのは、外部環境の変化に適応しやすいからです。
人間でも動物でも、並外れて大きい・小さい子供が生まれることがあります。
環境が変化しなければ平均的な体型が有利かもしれませんが、
仮に氷河期が再来して食料が足りなくなれば小さな体なら栄養が少なく済むので有利です。
逆に、大きな体を持つ外敵が大量に現れた時は、大きな体が有利でしょう。
このように、遺伝子の多様性は環境の変化に有利です。
名門企業GEは、いまや祖業の電機事業ではなく金融、医療機器、エネルギーで稼いでいます。
時代の流れに適応しているわけです。
ダーウィンは「強いものではなく、変化したものが残った」と言いました。
アナリスト村田
- 教養には人間性、感性、知識など幅広くある
- ビジネスパーソンとして役立つ知識は、思想、歴史、学問など
学ぶ時間がない社会人の解決策
アナリスト村田
そこで、すぐにできる解決策を提案をします。
思考の軸になる座右の書を決める
アナリスト村田
そこで、最も大切な本だけを精読し、他は時間をかけないのが現実的な対策方法です。
初めの方で、経営者には座右の書があるとお話ししました。
何度も読むことで理解が進むとか、それほど大切な本は他に何冊もないとか、色々な理由があると思いますが……
時間を有効活用するためにも思考の軸としての座右の書を持つことは理にかなっています。
それからアダムスミス思想のような影響力がある本は、その後色々な本で再利用されていったので、あれもこれも読むよりも原書を読んでしまった方が早いという事情もあります。
まずは数冊、バイブルを見つけて徹底的に読むのは1つの手段です。
読み上げ機能・オーディオを使う
アナリスト村田
忙しくても、移動中、家事をしながら、寝る前などいつでもできるのが良いですね。
ほとんどのスマートフォンは「音声読み上げ機能」がついています。
日経電子版アプリやWEBサイトだけでなく、アマゾンキンドルでも読み上げができます。
たいていの本はキンドル対応していますから、スマホで電子書籍の音声を聴くことができます。
アナリスト村田
移動時間や運動時間を情報収集や勉強の時間にできるわけですから……
アナリスト村田
するとスマホのバッテリーがものの1時間ほどでなくなりましたノ)゚Д゚(ヽ
アナリスト村田
撃沈です。
アナリスト村田
「アマゾンオーディブル」の衝撃です。
声優さんやナレーターさんなどプロが本を読み上げてくれる、いわばオーディオブックのアプリなのですが、スマホ・PC・タブレットで聴くことができます。
スマホの読み上げ音声は、漢字の読み間違いもありイントネーションも多少の違和感がありますが、
プロのオーディオブックは流れるような聴きやすさ、心地よい間の取り方が魅力です。
何度も読み返したい本こそ、こうして手軽に聴けるのは嬉しいです。
アナリスト村田
一冊だけ無料で何度も聴くことができるので興味がある方は使ってみてください。
オーディブルのオススメは、この辺りでしょうか。
とくに「世界を変えた10冊の本」。
聖書やマックス・ウェーバーなど、教養として非常に重要だが読むのは正直大変な本がテーマ。
しかし池上彰氏ならではのわかりやすい解説をしていて、何度も聴きたい本です。
もちろん、音声でなく本もオススメです。
残念ながら、上で紹介したアダムスミスなどはまだ無いですが、岩井克人氏の本はあります。
読み上げ機能やオーディオブックの話あたりに一番熱がこもっていた気が。
本当に本がお好きなんですねぇ。
アキ
- 座右の書・バイブルを数冊に厳選する
- スマホの自動音声読み上げ機能を活用する
- アマゾンキンドル・オーディブルを利用する
まとめ
アキ
「教養」というと広くてざっくりした概念でしたが、
社会人・学生がビジネスパーソンとして身につけるべき教養の種類や、勉強するメリットがわかりました。
正直仕事で忙しいと勉強するのも大変ですが、AI時代に負けないためにも、できることから少しづつ、というのが現実的な方法かもしれないと感じました。
この内容があなたのキャリアやビジネスで何かの役に立てればと感じています。
- 「国富論」アダムスミス
- 「道徳感情論」アダムスミス
- 「統治二論」ジョンロック
- 「東大講義録 文明を解く」堺屋太一
- 「日本の歴史をよみなおす」網野善彦
- 「ローマ人の物語」塩野七生
- 「会社はこれからどうなるのか」岩井 克人
- 「ヴェニスの商人の資本論」岩井克人
- 「利己的な遺伝子」リチャード・ドーキンス
無料でプロの読み上げ音声を入手
- 「世界を変えた10冊の本」池上彰
- 「この社会で戦う君に「知の世界地図」をあげよう」池上彰
- 「リーダーの教養書」出口治明
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