経営者が読む本 | 経営層ビジネスパーソン必携の教養ならこの本

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一流の経営者には共通点があります。
独自の哲学を持ち、決断が早いということです。

経営者は、ビジネスパーソンとして実践の経験で身につけてきた教養もあるでしょうが、必ず思考の肥やしになっている本があります。

私が出会ってきた経営者は年商も年齢も様々ですが、ほとんどの方々が座右の書を挙げられていました。

ビジネスや経営に生きる良い本は、迷いをなくしてくれます。
私も多くの本を読んで来ましたが、読む前と後では、見える世界が全く変わりました。

「こんなに良い本をなぜ今まで知らずに生きてきたのだろう」

と自分の不勉強に驚き、何度か読み返して消化できてきたところでまた次の良書に出合い、

「他にもまだ、こんなに良い本があったのか」

とさらに驚くという経験をしてきました。

決断力のないリーダーも、教養のないリーダーも生き残れません。
正しい経営判断ができないばかりか、人間としての奥深さがないと見抜かれた時点で、人も付いてきません。

孫正義氏も稲盛和夫氏も、いまの地位や実績があるのは死ぬほど勉強してきたからで、その言葉には迷いのない説得力があります。

このページでは、経営者の方、これから経営者になるビジネスパーソンに自信を持ってオススメできる良書をオススメします。

「国富論」アダムスミス

経済がどのように回るのか、人は市場で何を考え行動するのか。
経済から人間の奥深くまでを最も深く追求した思想書です。

分業の有効性、市場の効率性など経済活動の根本的な意義を、見事な洞察で説いています。
今や分業が効率的なのは誰でもわかりますが、その普遍の真理を初めに突き止め、わかりやすく言葉にしたのは天才としか言いようがありません。

分業により生産性が上がれば、ますますの富を生み、資本家は一国の王を超えるほどの資産を気づくことができるとしています。
アップル社やグーグルの時価総額は50兆円を超えますが、それ以下の国家予算の国がどれほどあることか。
専門人材を組織化することでいかに生産性があがるのか、アダムスミスの思想はいまの資本主義でも根付いています。

国富論は、新自由主義や資本主義思想の土台です。
リベラル派(経済自由派)は、アダムスミスの市場効率の考え方を引き合いに「儲けたい人は儲ければよい」と自由な経済活動を促進し、妨げる規制を疎ましく思っています。

国富論だけを読めば確かにそのようにも読めるのですが、一方でアダムスミスはもう一冊、興味深い「道徳感情論」という名著を残しています。
(アダムスミスが残したのはこの2冊だけです。)

道徳感情論」は、人間の共感のメカニズムを分析した本です。
自由経済を訴えたアダムスミスが、感情や倫理についても深く洞察しているのは興味深いです。
「人間の本質は経済だけではない。倫理観も重要」というアダムスミスの人間性も感じる事ができます。

「国富論」がアクセルなら、「道徳感情論」はブレーキ。
どちらも併せて読みたい本です。
(道徳感情論は、講談社学術文庫からの訳が読みやすいです。)

ライフネット生命 出口治明氏のオススメ本。

「ローマ人の物語」塩野七生

歴史好きの経営者で読んでいる人が多いのが「ローマ人の物語」です。

政治思想や哲学の先駆けが古代ギリシアの地です。
プラトンもアリストテレスも、この地で議論を戦わせました。

著者の塩野七生氏は過去の偉人に惹かれてイタリアにまで移住したほどです。
統治、内乱、戦争など、国家を舞台にありとあらゆる出来事が起こります。

過去の栄華と衰退を見れば、今のどんな組織でも、生存競争や組織管理の難しさ、ヒントで得られる教訓がたくさんあると思います。

非常に長篇なので全て読むのは大変ですが、文章は平易でとても読みやすいです。
過去数100年の出来事を一気に知ることができるという点では、コストパフォーマンスはとても良いと思います。

元富士通の社長、黒川博昭氏のオススメ本。

「東大講義録」堺屋太一

時代は変わっても、社会の構造はそう簡単には変わりません。
その意味で、社会の歴史や経済の本質を知っておけば、大きな経営判断で失敗する確率を下げられます。

たとえば経済の本質は交換と分配で、市場の役割は交換と価格形成と需給調整です。
農耕、度量衡がどのように文明化に役立ったのか、なぜ知価社会なのかがわかりやすく語られています。

この本を読んでから、業界の構造、貿易の構造など経済の仕組みへの理解度が全く変わりました。

「生き方」稲盛和夫

経営者のベストセラー本です。

人生方程式 人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力

という考え方は秀逸です。


アダムスミスが道徳感情論で倫理や共感を説いたように、稲盛氏も稼ぐだけではなく、考え方が悪ならば人生の結果はマイナスになることさえあると言っているわけです。

メソッド的な仕事論だけではなく、人間性にも踏み込んでいる点が、共感できるところです。

元アクセンチュアの役員、現ITベンチャー社長のおすすめ。

稲盛和夫の実学」は、哲学的な内容だけではなく、より実務に近い内容も知りたいという方におすすめです。
有名なアメーバ経営や管理会計の重要性、そして既存のルールになぜ?を問い続けることを解いています。

会計ルールは複雑で現実のキャッシュの動きを全て記述できる訳ではありませんが、社長になった稲盛氏が会計のプロを雇った時の、会計のおかしさと戦い、「もっと良い方法はないのか」と試行錯誤した経験は興味深く読みました。

大学時代、会計学の教授に勧められて読みました。
個人的には、「生き方」と合わせて読むと、哲学と実学バランス良く、稲盛和夫の考え方を理解することができると思います。

「会社はこれからどうなるのか」岩井克人

コーポレートガバナンス論の高まりを受け、「会社は誰のものか」を思想的、法律的、実務的な点から経済学者が本気で考えた良書です。

投資家や上場企業の経営者はもちろんコーポレートガバナンスの知識を深めることができます。
しかしこの本はそれだけではありません。
「会社は誰のものか」に答えた上で、資本主義と会社の「これまで」と「これから」を分析して、今後生き残っていく企業、淘汰されている企業を断言してしています。

全ビジネス人必見「会社はこれからどうなるのか」岩井克人著の感想 | 生き残るビジネスの条件

岩井克人氏によれば、資本主義は3段階に分けられます。
1 商業資本主義
同じ商品でも異なる地点なら価格が違うことを利用して、「異地点間での交易によって利潤を得る」のが商業資本主義です。
大航海時代やシルクロードなども、地元で取れるものを別の地域で売れば儲かるから交易が栄えた訳ですね。

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私の地元は札幌ですが、隣街の小樽は戦前は経済的に大繁栄していました。地元で獲れたニシンなど海産物を、北前船で北陸などと交易して成功したのです。
(有名な小樽運河と石倉倉庫は、海から船のまま陸に乗り入れて交易したり、生鮮モノを保存するための非常に優れたシステムです。)

人口20万人の小さな街に、現在の資産価値で100億円〜1兆円クラスの資産家が100人以上いたと考えられています。
今でも瀟洒な豪邸がいくつか残っています。

これも全て、「異地点間の価格の差異が利潤になる」という商業資本主義です。

2 産業資本主義
次に産まれたのが、「賃金の差異が利潤になる」という産業資本主義です。
つまり人件費の安い場所に工業の拠点を構え、アダムスミスの分業を参考に効率的な生産体制を組織します。
そうすれば生産性が上がり、低賃金のためコストも抑えられ、結果として安価大量生産が可能になる訳です。

蒸気機関による産業革命でこの流れが生まれ、人口増加で一般消費需要が増加し、同時に世界大戦によって重工業需要の高まりを受けて、産業資本主義は大きな成功を収めました。
日本の高度経済成長で電機・自動車メーカーが世界を席巻したのも、今の中国・台湾・韓国の電機メーカーの強さも産業資本主義の賜物です。

3 ポスト産業資本主義
今の情報社会がポスト産業資本主義です。

商業資本主義も産業資本主義も、需要多過・供給不足の時代は良かったのですが、今は消費者の目が肥えています。
大量に安く作れば売れる時代ではなく、消費者個人のニーズを満たさなければなりません。

そこで必要とされるのは「今と未来の価格体系の差異を先取りしたサービス」です。

グーグルは、検索、地図、メール、広告掲載システム、サイトのアクセス解析サイト、動画配信サイトなど、驚異的に有益で使いやすいサービスを、無料で提供しています。

グーグル

従来なら「ITのライバル企業がサービスを切磋琢磨しならが価格競争をして徐々に値崩れを起こし、結果的に無料に近くなっていく」というプロセスを挟むのが普通でしたが、グーグルはあえて初めからサービスを無料で公開することで、その競争プロセスをすっ飛ばしています。

つまり、未来の価格体系を先取りしてしまうことで、顧客の獲得に掛かるはずの時間、サービス開発にに掛かるはずの時間を圧縮して、急成長しました。

このような時間移転ができるのは、商業や産業とは違って物理的な制約がない情報産業だからです。

情報産業では差異こそがますます価値を持ちます。
たとえば全く味も価格も変わらないリンゴを複数買うのはありです。
しかし、内容が全く同じ情報(本・DVD・スマホアプリなど)を複数買う人はいません。

食べ物や消費財のような実体はいくらあってもよいのですが、情報は絶対に一つで足りるのです。
新たに買う情報とは、今までとは違う情報です。
マイクロソフトのOSバージョンも、アップルの新型アイフォンも、従来品との差異があるから購入するわけです。

ポスト産業主義時代とは、「いかに情報の差異を生み出すか?」が利潤の源泉です。
情報の差異とは、人間の知能が創り出します。

だから、優秀なエンジニアやサイエンティストが重宝されます。
人間の知能を代替してくれる人工知能も開発する必要があります。

技術者集団であるグーグル、アマゾン、マイクロソフト、フェイスブックなどの情報産業は繁栄し、商業や産業に固執している企業は取り残されていくでしょう。

このように、コーポレートガバナンス論に加えて、情報社会の資本主義で生き残る条件を、実にわかりやすく解説しています。
経営者なら、難しい戦略の舵取りの前に読んでおいても損はないです。

会社はだれのものか」という、同じ岩井克人氏による古い本もありますが、「会社はこれからどうなるのか」の方が良いです。
「会社はだれのものか」よりも数年後に出ていて内容がより分かりやすく充実したということ、そして情報社会の企業の生存条件は「会社はこれからどうなるのか」でしか書かれていないからです。

「ユダヤの商法」藤田田

日本でマクドナルドを展開した男、藤田田氏による経営論。

エッセイ形式で、シンプルかつわかりやすいです。
たたき上げ経営者らしく、経営論がとても具体的ですぐに使える知識ばかり。
B2Cビジネスでは顧客の心を掴むヒントがたくさんあります。

ただし、藤田田さんが亡くなっていること、差別的な表現が含まれていることから今は絶版になっています。
知る人ぞ知る希少な名著ということで、中古本でも高額なのが難点です。

「チーズはどこへ消えた?」スペンサー・ジョンソン

環境の変化に対応することの重要性、変わらないことの危険を、ネズミの例え話でわかりやすく表現したエピソード。
小学生でも読めるほどの内容ですが、生き残るための本質をついています。

大谷翔平の愛読本。

「利己的な遺伝子」リチャード・ドーキンス

生物学者による、遺伝子が残っていくための仕組みを明らかにした衝撃の本。

企業経営はこれから生き残っていくビジネスを育むことが重要ですが、生物学の立場で生存競争の厳しい現実と、それでも子孫を残し続ける種の強かさを知れば多くの教訓が得られます。

ダーウィンは「強いものではなく、変化したものが残った」と言いました。
過酷な競争の中で、私たちは「どうすれば会社を潰さず生き残られるのか?」を考えます。
それには生き残ってきたものを観察して帰納的に分析することが意外と近道です。
生物学の本にもかかわらず、ベストセラーになり多くのビジネスパーソンにも読まれてきたのにはそのような理由があります。

たとえば多様性。
なぜ多様性を持つことが有利なのかといえば、そのほうが外部環境の変化に強いからです。

平均的な身長のカップルからでも、並外れて大きい・小さい子供が生まれることがあります。
私たち人間は一定の確率で平均外の子供が生まれるような遺伝子を持っているからです。

環境が今のままなら平均的な体型が有利かもしれませんが、もしかすると氷河期が再来して食料が足りなくなるかもしれません。
その時、小さな体であることは、それほど栄養を必要としない為に有利です。

逆に、大きな体を持つ外的が大量に現れた時、小さな体では戦うのに不利です。
大きな個体が有利でしょう。

このように、遺伝子の多様性は環境の変化に適応するためにとても有利です。

米ゼネラル・エレクトロニックは伝統的な名門ですが、巨大になり過ぎて不採算事業までも大量に抱え込む危機がありました。
その時にジャック・ウェルチが経営者として現れ、「選択と集中」で不採算部門に踏み込み大リストラクチャリングを行いました。
エジソンが電機事業で創業した会社が、今は金融、医療機器、エネルギーで強みを持っています。
時代の流れに沿って、大きな変化を続けているのです。

生物の生存競争の話は、ビジネスでも大いに役立ちます。

「人脈を広げる55の鉄則 」下村 澄

人付き合い本のロングセラーです。

孔子、老子、安岡正篤氏の名言も引用していて、ビジネスパーソンとして好かれる人、仕事ができる人になるためのコツを説得力を持って解説しています。

私は大学OBで物流関係の中堅企業の社長に勧められて読んだのですが、今でも思い出せるくらい習慣化している言葉が多くあります。

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