このページでは、ビジネスや投資に役立つ「金融取引とは何か」ついてやさしく解説します。
金融取引とはなにか
金融取引とは、お金を出す方とお金を受け取る方の、資金の異時点間にわたる交換取引です。
たとえば
- 誰かがある時お金を借りてから、将来のある時に返す約束をする
- コンビニでコーヒーが買いたいが持ち合わせがないため友人から借りて明日返すと口約束をする
- 信用金庫で住宅ローンを組む
- 企業が社債を発行して40年間かけて返済する
これらはすべて、金融取引です。
金融取引の特徴
金融取引には、必ず満たす条件があります。
- 信用に基づく
- 異時点間にわたる
- 貸倒れリスクが伴う(以後「信用リスク」)
お金の貸し借りの場合を考えてみると、まず信用のない相手にはお金を貸しません。
踏み倒される恐れがあるからです。
そしていったん貸した後、必ず返済まである時間を置きます。
そもそもすぐに返済できるのなら、わざわざ利子まで払ってお金を借りる必要はありません。
そして、このように時間を置くと、その間に予測不能なことが起こることがあります。
本当は返すつもりだったのに交通事故で急な出費が必要になった、会社が倒産して収入のあてがなくなったなど。
こうして返済ができなくなることが信用リスクです。
コンビニに行って現金でコーラを買う場合、現金の支払いとコーラの引き渡しは同時です。
現金とコーラを交換するわけですから、コンビニにとって未払いリスクはありません。
客が現金を支払いさえすれば信用は要りません。
このような即時決済の場合、難しいのは「商品を開発して人気商品を店頭に並べ、客を呼び、販売にこぎつけられるかどうか」です。
お金の取引が困難なわけではありません。
取引をにこぎつけるまでが大変で、取引が済んだらあとは安心です。
金融取引のポイントは、異時点間にわたる取引であるため将来の信用リスクが付きまとうということです。
逆に言えば、この将来の不確実性を減らせれば有利に立てます。
金融取引のメリットとリスク
ではリスクのある金融取引にもかかわらず、なぜ取引は行われるのでしょうか?
そのメリットを説明する例として、このような話を聞いたことがないでしょうか。
ビジネスアイデアがあるのに、それを実現するお金がなく、実行に移すことができずに困っています。
お金さえあれば、すぐにでも実行して、利益を得ることができると考えています。
一方、お金が余っている武田君がいます。
大量に手元にお金があって、当面使い道はありません。
そのお金を元手に何か自分でビジネスをやってお金を殖やせばよいのですが、自分では実行する手間も労力も払えません。
だからお金は手元に保存しています。
このままでは、この二人は不満を抱えたままチャンスを逃してしまい、社会としては機会損失です。
ところが、両者が巡り合うとどうでしょうか。
ビジネスのアイデアはあるがお金の足りない清友君が、お金が余って使い道も決まっていない武田君にお金を借り、将来利子もつけて返済すると約束すれば、双方にとって嬉しいことでしょう。
清友君は欲しかったお金と、ビジネスをすることで、支払い金利を上回る分の利益を得られます。
武田君はお金を塩漬けにしてお金を殖やすチャンスを逃すところだったのが、お金を貸すことで利子までついてお金が返ってきます。
このように、金融取引は社会的な課題を解決し、人の役に立つものなのです。
たしかに、金融取引にはこのように意義があります。
一般的に、所有している遊休資産(使用していない資産)を他人に貸付れば、お互いに利益があります。
一方で、先ほど述べたように信用リスクもあります。
繰り返しますが、金融取引の特徴は、信用に基づくこと、必ず異時点間にわたること、リスクが伴うことです。
これが金融取引を難しくする理由で、また同時に、金融取引が社会で大きな意義を持つ理由です。
金融取引がわかると、なぜ金融機関の役割と意義を説明できるだけでなく、給与が高いのか、清潔で無害なコマーシャルしか流さないか、店舗ビルがあれほど立派なのかということまでわかるようになります。
信用が第一であるため、信頼のおけるイメージが重要なのです。
情報の不完全性とは
ではここからは、金融取引を難しくさせ「市場の失敗」の原因になる、情報の不完全性についてやさしく解説します。
経済活動は、金融取引だけでなくビジネスでも投資でも取引です。
取引を行わせるために営業、マーケティング、プロモーションがあります。
しかし、それらがうまくいかない、取引が生まれないのは「情報の不完全性」が理由です。
このような市場の失敗を防ぐには、「情報の不完全性」の正しい理解が欠かせません。
もしお金の貸し借りで、あなたが貸し手なら、不安は尽きません。
- 借り手は信用できる誠実な人物か
- 急に借り手がリストラに遭って収入が途絶えないか
- 今は自分にお金に余裕があるが、急にそのお金が必要になったらどうしようか
借り手のことをよく知っており、将来起こることも予測がつくなら不安は減りますが、そういうケースはなかなかありません。
このように、現在から将来にわたって、必要な情報が不十分であることをまとめて
情報の不完全性といいます。
そして、この情報の不完全性があるために、「取引のリスクよりも取引のメリットが少ない」と感じてしまえば金融取引は行われず、「市場の失敗」になってしまいます。
対処可能なリスクか、不可能なリスクか
金融取引は、異時点間にわたるためにさまざまなリスクが生まれます。
リスクですぐに思いつくものは、貸したお金が期日までに返ってこないこと、つまり貸し倒れリスク(信用リスク)です。
非システマティックリスクとシステマティックリスクの違い
また、どれほど優良な相手を選別しても避けられない問題もあります。
信用リスクは厳密に言うと、個別リスク(非システマティックリスク)であって、市場リスク(システマティックリスク)ではありません。
個別リスクは個人的理由に関するリスクで、たとえば「その人が特別に怠慢だから貸し倒れが起こった」などです。
市場リスクは、個人の優劣にかかわらず、市場全体の理由に関するリスクで、例えば借金をしたのがどれだけまともな人であっても、日本全国を襲う不況があって、皆が貸し倒れた、などです。
市場リスクは個人情報をどれだけ調べても防ぐことができません。
ほかにも、お金に余裕があってどこかに貸したが、後で急にお金が必要になるリスクもあります。
いったん貸した後で、貸し手にすぐに急な出費が必要になることもあり得ます。
その時に、貸したお金が必ずすぐに返ってくるとは保証できません。
借り手が「満期はまだ先だと思って、既に設備の購入に充ててしまって今すぐには現金化はできない」ということもあるでしょう。
4つの情報の不完全性
このように、金融取引にはいろいろな不安があります。
全ての理由は、情報が不完全だからです。
情報が不完全であることで、「市場の失敗」が起こります。
この情報の不完全性は、4つに分けられます。
これらの違いを理解し、解消することが金融取引のリスクを減らします。
経営や投資のリスクも同じで、事業、株、不動産などどのような投資でも大いに役に立ちます。
- 金融取引とは、異時点間にわたり、信用リスクを伴い、最終的には信用に基づく。
- 異時点間にわたるために、利子と信用が必要
- 情報が不完全であるため、「市場の失敗」が起こる
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