利子の意味と本質は「時間とリスクの価値」投資家が解説!

コインと時計

このページでは金融や投資に役立つ利子の本質をやさしく解説します。

利子とは、今借りたお金を将来返す時に、借り手が元本に上乗せして払うプレミアムです。

  • なぜ利子が発生するのか
  • 利子の意味は何か
  • どのように利子率が決まるのか

この知識は事業や投資など金融取引の基本ですが、意外と理解すると奥が深いことに気が付きます。

利子と金融取引

利子は金融取引の時に生じますが、金融取引は必ず異時点間にわたります。

異時点間にわたる取引とは、現在のお金と、将来のお金を交換する取引です。

  • 借り手は、将来100万円の元本に利息5万円を上乗せして返済する義務(債務)を、現在100万円で売る
  • 貸し手は、将来100万円の元本に利子5万円を上乗せして返済してもらう権利(債権)を、現在100万円で買う

このように、借り手と貸し手で、現在の100万円と将来の100万円に利子5万円を付けて交換する取引です。

金融取引は双方に取引利益がある
一見すると、借り手は利子を上乗せしなければならず、不公平なように思えます。

それでもなぜこのような金融取引が成立するかといえば、借り手と貸し手の双方にとって取引利益があるからです。

双方とも、利子の金額は得と思うから取引する。
ということは、利子の金額5万円は、双方にとって異なる価値だということです。

借り手 事業での利潤10万円>利子5万円
借り手は、時間をかければビジネスを成功させ利潤を10万円にできると思うから、利子5万円は安い。
あるいは、今すぐ住宅や車が手に入るという権利は5万円追加で払っても惜しくない。
貸し手 他の取引での収益3万円<利息5万円
貸し手は、お金が余っていて自分では何かビジネスをしたくはないが、お金は効率よく殖やしたいと思っています。

自分で手元にお金を置いたままにすれば1円も増えませんからよい案ではありません。
あるいは他の人に貸すなどの運用方法では5万円以下の利潤しか得られないと思えば、あえて一番収益性の高そうな利子5万円の取引を選びます。

このように、お互いに取って得があるから取引が発生するのです。

利子の本質的な意味は「異時点間の価値の差異」

同じ100万円であっても、現在の価値と将来の価値は必ずしも同じではありません。

つまり、借りるときの100万円の価値と、返す時の100万円の価値は同じではなく、差異があるということです。

差異の分は上乗せして返さなければなりません。
利子が5万円なら、それこそが現在と将来の価値の差異だということです。

差異こそが利潤の源泉であり、金銭的な差異を求めて行う取引が金融取引だというわけです。
そしてその差異は、利子という形式で現れます。

マイナス金利は貨幣が負担だということ
ちなみに、マイナス金利はこの逆です。
貸し手が「余っているお金を今あなたに貸す代わりに、将来余分に利子を払ってもらう」ではなく、「保管料としてお金を支払ってもいいから将来までお金を預かってほしい」ということです。

今お金を持つことが負担になるだというわけです。
なんとも不思議な現象ですね。

貨幣の貸し借りとは、現在の貨幣と将来の貨幣とを交換する取引であり、借り手が橋手に支払いを約束する利子とは、現在の貨幣の価値と将来の貨幣の価値とのあいだに存在する差異の別名なのである。
その意味で、利子とは、現在と将来というふたつの時間の間の差異から生み出される差異にほかならず、いわば時間そのものの価値であるということができるのである。

(引用) 「ヴェニスの商人の資本論 (ちくま学芸文庫)」岩井克人著 ちくま学芸文庫 1992.6.26

つまり、利子とは「2つの時点の間の、貨幣の価値の違い」なのです。

その価値の差異を穴埋めするのが利子です

経済成長著しい国ならお金が将来どんどん殖えていくことが予想されますから、価値の差異は大きいでしょう。

経済成長が停滞している国なら、今のお金の価値も将来の価値も変わらないと思われますから、差異はほとんどありません。
今の日本が低金利なのと経済成長がゆっくりなのは、表裏一体です。

利子率が決まるメカニズム

利子が異時点間のお金の価値の差異だと考えると、利子率がどのように決定されるのかが分かってきます。

  • 銀行が大企業に土地建物を担保に10億円融資する
  • アルバイト従業員が消費者金融にて無担保で10万円借りる
  • 個人が住宅ローン3000万円を借りる

これらは状況によって利子率は大きく異なります。

銀行の利ザヤの仕組み

銀行は、お金を調達して誰かに貸し出します。

そこで利ザヤが生じますが、その仕組みを紹介します。

資金調達コスト

調達の方法は主に個人、法人からの預金です。
そして預金にはごくわずかながら利子が付きます。

この支払利子こそが銀行にとっての資金の調達コストです。
お金を仕入れるコストと言っても良いです。

たとえば預金金利が年0.1%なら、銀行は100万円の預金を引き受けるために、年間1000円を預金者に支払います。
この1000円が、100万円の預金に対する調達コストです。

また、銀行経営にも普通の企業と同じようにコストがかかります。
土地建物の購入レンタル費、人件費、事務処理費、などです。
そしてもし融資先が倒産してしまった場合は、貸した金が返ってこないので、その分はあらかじめ見込んで利子率に上乗せしています。

銀行の収入とは、企業や個人などに貸したお金の利息収入です。

つまり、資金の調達コストに加え、銀行の運営コストを賄い、それでも上回る収入を得られるような利子率を設定しています。

利子率と信用・時間

利子率を決める要素、信用と時間についてくわしく見ていきましょう。

リスクプレミアム

信用度と利子率
一般に、借り手は信用リスクの低い方が利子率は低く、信用リスクの高い方が利子率は高いです。
信用リスクが高ければ、融資が回収できなくなった時を見越して銀行の損失を抑える必要があります。

つまり、銀行が「こっちは危ない相手に融資をしているのだから、その分高い金利をよこせ」と、信用リスクに応じてリスクプレミアムが上乗せされるのです。

借り手も自分のような信用リスクを抱えているところには低い金利で融資してくれる銀行がないことを知っているので、高い金利の条件を呑まざるを得ません。

時間と利子率
また、短期よりも長期の方が利子率は高くなります。
短期よりも長期の方が、将来満期までの間に何があるかわからずリスクが高くなるためです。

イールドカーブという言葉があります。
これは満期の長さに応じて利回りがどれくらいになるのかを現した曲線ですが、一般的に右上がりになっており、短期よりも長期の方が利回りが高くなりやすいことを示しています。

このように、時間とリスクに応じて利子率は決められます。

「利子とは」まとめ
  • 利子は、異時点間の価値の差異
  • 利子率は信用と時間に応じて決まる

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