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銀行業の未来と仮想通貨Jコイン

ビル

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このページでは、銀行の仮想通貨への対応と、Jコイン構想について投資家がやさしく解説します。

ビットコインなどの非管理型仮想通貨が普及していくにつれて、銀行主導の管理型仮想通貨を巡る議論も急速に深まっています。

それにはいくつかの背景があります。
1つは消極的な理由で、銀行にとって、自分達の顧客が失われるかもしれないという危機感です。
もう1つは積極的理由で、仮想通貨やブロックチェーンが魅力的であるということを認めたうえで、それを自社のサービス改善に応用しようという理由です。

仮想通貨参入の消極的理由

別のページでも解説したように、ブロックチェーンに支えられる仮想通貨は、安全かつ安価です。

また規制や金融政策などのしがらみを受けづらいです。
そこは利用者にとって、確かに魅力です。

一方で銀行は決済システムなどの構築にもメンテナンスにも非常にコストがかかりますから、コスト面では圧倒的に不利です。

このままだと銀行は顧客を奪われてしまいます。
銀行は長年の低金利で本業である金貸しは儲かっていません。
たとえば1億円貸しても儲けは50万円も行けば御の字という具合です。

活路である個人向け銀行カードローンも、多重債務者の増加を受けて金融庁から見直し圧力が強まっています。
このままでは「国内で銀行業そのものの存在意義が問われる」との思いから、やむを得ず仮想通貨にも参入しようという考えがあります。

2017年9月にJPモルガンCEOのJamie Dimon氏は、「ビットコインは詐欺」と発言していますが、これは「自身が類似サービスをやりたいのでそっちを使ってほしい」という危機感の裏付けです。
「ビットコインは詐欺、取引行えば即解雇する-JPモルガンCEO」 ブルームバーグ

管理型の活路

非管理型の仮想通貨は、安全かつ安価とはいっても、法定通貨のように法律による裏付けはありませんし、なんとなく怪しいと思う人もいるはずです。
価格の変動リスクもあります。
そこで、いつも使っている銀行が発行している電子マネー的仮想通貨であれば、安心で、円を裏付けにしているため価格が変動する心配もなく需要を見込むことができます。

日本銀行も仮想通貨の動向を細かく見守っています。
皆が非管理型の仮想通貨を使うと、金融政策が効かなくなることを恐れているのでしょう。

確かに円が仮想通貨に代替されてしまえば、日銀が金利を上げたり下げたり、国債を買い入れて世の中にお金を供給する、という政策が無意味になります。

仮想通貨参入の積極的な理由

銀行も、ブロックチェーンはイノベーションに期待しているという背景があります。

ブロックチェーンは銀行にコストメリット

危機感ばかりでなく、銀行が創意工夫し大きな技術改善に活用しようという動きもあります。

ブロックチェーンは安全かつ安価ですが、それを銀行が活用することができればメリットがあります。
現状ではどうしても大規模な情報設備が必要ですが、銀行主導のブロックチェーンを活用して金融機関どうし、あるいは企業間で決済システムを共有できれば、コストも安全性も改善できる可能性があります。

ただし、そのための研究開発にはどうしてもお金がかかるので、銀行が連合になり仮想通貨の研究開発を進めています。
日本経済新聞の記事で、「Jコイン構想」が報じられました。

邦銀に口座があれば、円と等価で交換できる電子マネーのような仮想通貨です。
邦銀どうしであれば、別の銀行の人や企業と決済できます。

(参考)日本経済新聞「邦銀連合で仮想通貨」2017.9.17朝刊

どこか一行だけが発行するなら現行と同じ管理型ですが、多くの邦銀が連合を組んで発行するなら非管理と近くなりそうです。

もしこれがブロックチェーンの技術を応用して、大規模な情報システムもコンピューター設備も削減できるなら、コストを大幅に下げることになり、利用者にとってメリットが広がります。
電子決済が広がれば利用者や企業どうしの決済の仕組みもより便利になります。

そして、邦銀の仮想通貨の利用が増えると銀行側にとって、取引データを集められるというメリットがあります。
現状、日本の決済は現金が50%です。

しかし仮想通貨での電子決済が広がれば、毎回銀行を介すわけですから銀行にビッグデータが蓄積されます。
それを応用すれば顧客の行動をもとに、消費行動を分析してよりよいサービスを提供することが可能になります。
融資の審査にも参考にできるかもしれません。

銀行主導の仮想通貨の意味

非管理型の仮想通貨ビットコインやイーサリアムなどが広がることは、金融政策の無効化を意味します。
金融政策は、直接的には法定通貨である円にしか影響を及ぼすことができないからです。

銀行にとっても、顧客が流失してはジリ貧です。
仮想通貨の普及は業界全体にとって危機です。

しかし銀行主導のJコインのような構想が実現すれば、これは円の裏付けがあり銀行を介する取引であることから、銀行業も存在意義が維持できるし、金融政策の影響力も維持できます。

ただし、銀行連合が管理者であり、仮想通貨は円によって裏付けされているため、ビットコインのような仮想通貨とは性格が違います。
この点は注意すべきです。
重要な違いとして、ブロックチェーンのみに支えられる非管理型と比べ、銀行型はサービスの自由度や価格はどうしても劣る可能性があります。
それを上回る魅力を出せるかどうかが銀行型にとっては勝負です。

もっとも、非管理型はその匿名性からマネーロンダリングや脱税などの違法行為にも使われる恐れがあります。
そうした点から、普及と同時に当局からの監視の目も厳しくなります。
2017年9月には中国で3つの仮想通貨取引所が営業停止に追い込まれることになりました。

しがらみのない非管理が良いのか、それとも信頼感のある銀行主導のような管理型が良いのか、それぞれ一長一短です。
いづれにしても、銀行が非管理型仮想通貨に替わりうるサービスを提供できなければ、未来は尻すぼみです。

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