中村教授
ビジネスや投資に役立つリスクと不確実性について解説します。
投資でもビジネスでも、将来は不確実で何が起こるかわかりません。
何がリスクなのか?も曖昧でわかりづらい時があります。
アキ
中村教授
なので投資やビジネスは慎重になります。
中村教授
アキ
中村教授
投資やお金の貸し借りなどの金融取引で見れば、ふたつです。
- 借り手の返済能力と意思
- 貸し手の財務能力
中村教授
銀行は借りたお金が返ってこないリスクをいかに減らすか? が仕事でプロですから、その方法はとても参考になります。
お金の貸し借りだけではないんですね。
アキ
中村教授
融資よりもむしろ、リスクや不確実性に備える具体的な業務の例が面白いかもしれません。
銀行の例をもとに、リスクをひも解いてみましょう。
中村教授
世界的投資家のバフェットの発言です。
リスクは、自分が何をしているのかを理解していない時に起こる。
ウォーレン・バフェット
- リスクや将来の不確実性は何か?
- リスクにどのように対処すれば良いのか?
中村教授
目次
リスクと不確実性の意味
中村教授
中村教授
むしろ問題は、将来が不確実なことによって、どんなクリティカルな影響があるか?です。
アキ
中村教授
火事、台風、地震、貿易摩擦、取引先の倒産、恐慌など、可能性としては何でもあり得ます。
影響がないものもあれば、ビジネスに直撃するものもあります。
中村教授
中村教授
- 借り手の返済能力と意思
- 貸し手の財務能力
中村教授
中村教授
市場の失敗は、売り手と買い手のマッチングが問題で、取引が正常に行われなくなることです。
中村教授
アキ
中村教授
銀行は、不確実性によって起こってしまう信用リスクと流動性の低下について、様々なシステムで対処しています。
アキ
不確実性と「情報の非対称性」
アキ
中村教授
情報の非対称性は、あくまでも「今の情報を持っているか?」「相手を知っているか?」という問題です。
不確実性は、あくまでも将来のことです。
ということは、今どれだけ情報を持っていても、将来の不確実性がある以上、リスクは残ってしまうんですか?
アキ
中村教授
中村教授
今のところ、借り手に所得はしっかりあり、これからも会社勤めが順調にいけば給与は十分上がっていって、浪費癖も無く健康状態も良いらしい。
「これならお金を貸しても大丈夫そうだ。」
しかし、それはあくまでも今のところの話で、将来に何が起こるかはわかりません。
事故や事件に巻き込まれたり、急に体調を崩すかもしれません。
今の情報の問題が解決しても、将来のことはわからない。
中村教授
不確実性と信用リスク
中村教授
銀行は、この信用リスクを少しでも減らすために血眼で努力をしているわけです。
中村教授
- 監視
- 融資条件
- 担保
不確実性を防ぐ!監視
中村教授
しかし、それはあくまでもその時点の話で、将来が不確実でリスクがあることに変わりはありません。
そのため、一度融資をしたからと言って安心せず、その後も相手の財務状況を監視(モニタリング)し続けます。
銀行口座の入出金や、企業の財務状況は定期的に確認し、融資先に訪問して問題がないかチェックします。
中村教授
たとえば最近は健康診断の結果が良好なら保険料を下げる生命保険や、「保険料は走る分だけ」という自動車保険がありますが、「保険に加入したから、あとは荒い運転をしても良いんだ」というモラルハザードを防ぐためにチェックをしている意識を植えつける有効な仕組みです。
銀行でも保険でも、金融は取引成立の後こそ重要です。
リスクに備えた融資条件
中村教授
中村教授
やむを得ずリスクの高い相手に貸す場合は、条件を厳しくするでしょう。
ただしあまりに条件が厳しいと誰も借りてくれなくなり銀行の儲けもないので、いくらかは譲歩した条件になります。
このように、貸し手がリスクに見合っただけの対価を得ようとすること、これをリスク回避的であると言います。
(単に「リスクを避けようとする」という意味ではありません。
国債の利回りを見ると、よくわかります。
担保は一番シンプルなリスク回避
中村教授
年収300万円の人が住宅ローンを組めるのは、住宅が即担保になるからですね。
中村教授
中村教授
これは銀行に限った話ではなく、投資でもビジネスでもこれらのポイントに注意すれば、将来の不確実性に対処できる可能性が高くなります。
中村教授
ただ、それでも貸し倒れてしまうケースがありそうな気がします。
銀行は他にもリスクに備える術を持っているんですか?
アキ
中村教授
信用リスクを防ぐ完璧な方法です。
それは債権を証券化して誰かに売却することです。
アキ
中村教授
アキ
不確実性リスクを完璧にゼロにする
中村教授
つまり、貸付の本質は、将来元本と利息を要求する権利を得るために、今借り手にお金を支払う手続きです。
中村教授
そしていつか元本と利息を返済してもらう権利のことを、債権と言います。
また、その債権を証明するための書類が債券と言います。
債券とは株式や小切手のような有価証券です。
アキ
中村教授
その通りです。
不確実性に対処する具体例とは
中村教授
その代わり、私は利息として500円上乗せして返済すると決めます。
年率250%なので、なかなか悪くない取引です。
中村教授
- 私は、1週間後に元本1万円+利息500円を得る債権を、今1万円でアキさんに売ります。
アキさんは、1週間後に元本1万円+利息500円を得る債権を、今1万円で私から買います。
アキ
中村教授
そしてアキさんが、信用リスクをゼロにしたいならどうすれば良いでしょうか。
アキ
中村教授
- 私が1週間のうちにお金を浪費しないよう、監視する。
- 研究室の高価そうな書籍を担保に取る。
中村教授
返済されないリスクはゼロにはなりません。
結局、将来は不確実です。
ではどうすれば?
初めから貸さないというのがベストに思えてしまいます。
アキ
中村教授
貸し借り無しにしてしまえば良い。
中村教授
中村教授
その債券を村田さんやなど誰でも良いので、売る。
売った時点でお金が入るので、アキさんは1週間後まで信用リスクを心配する必要は無くなります。
でも、村田さんが買うメリットがあるでしょうか?
アキ
中村教授
たとえばアキさんが1万円で買った債権を、9800円などディスカウントすれば良いのです。
アキさんは200円の損ですが、すぐに確実にお金が入る代わり、信用リスクを確実にゼロにできるので良いでしょう。
中村教授
中村教授
9,800円ではなくいくらになるかは、アキさんと村田さんが合意できる落とし所で決まります。
中村教授
その場合はアキさんはノーリスクで200円得したことになりますね。
アキ
中村教授
国債や社債が取引されるのも、債権ディーラーが職業として成り立つのも、全ては世の中の需給のバランスで金利が上下するからです。
債権の譲渡は有効なリスク管理
中村教授
債権の売買は、金融業界では実は当たり前に行われています。
中村教授
ずっとMBA銀行のままだと思っていました!
アキ
中村教授
銀行は融資業務に集中するために、リスク管理は専門の子会社や管理会社に債権を渡して、管理を任せてしまうのです。
よくできているシステムですね。
アキ
中村教授
これは金融業界が不確実性を全て解明するのは不可能だと認めている裏返しです。
だから、リスクを回避するための仕組みが発達しているわけです。
リスクを回避する証券化
中村教授
安全という意味です!
アキ
中村教授
では、証券は英語でなんと言うかわかりますか?
(画像)野村證券HP https://www.nomura.co.jp/introduc/company/
同じなんですか?
アキ
中村教授
証券とは、自由に売買できるもの。
つまり融資ではなく債権の売買が安全なのは、つまり信用リスクをゼロにしてくれる安全な手続きだと言う意味そのものです。
中村教授
よくできていますね。
アキ
不確実性と投資・ビジネス
中村教授
中村教授
リスクは相手の返済能力と返済意思が問題です。
中村教授
それでも信用リスクはゼロにはなりませんが、証券化で第3者に売却してしまえば完全に信用リスクを消せます。
中村教授
- 投資のリスクが何か
- 対処できるリスクとできないリスクは何か
- できることはどうすれば対処できるのか
アキ
「債権を証券化して、自由に売買する」仕組みは目からウロコと言う感じでした。
銀行で住宅ローンを借り手も、その貸主が別の組織に債権を譲ってしまうことがあるなんて少し意外でしたが……
アキ
皆さんはどう感じましたか?
アキ
- 将来の不確実性のリスクは借り手の返済能力・意思と貸し手の財務能力
- 不確実性のリスクを埋めるために銀行は監視・条件設定・担保で対処する
- 証券化によって貸し手は信用リスクをゼロにできる
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