キャラクター紹介とお問い合わせはこちら。

リスクと不確実性の経済学。経済学者に学ぶビジネス・投資でリスクを克服する意思決定。

coins-1726618_640

Pocket

中村教授

経済学の中村です。
ビジネスや投資に役立つリスク不確実性について解説します。
中村教授、よろしくお願いします!
投資でもビジネスでも、将来は不確実で何が起こるかわかりません。
何がリスクなのか?も曖昧でわかりづらい時があります。

アキ

中村教授

その通りです。
なので投資やビジネスは慎重になります。

中村教授

しかし、経済学やこと金融の世界では、「不確実性」の意味は大きく分けてふたつだけです。
たったふたつでいいんですか?

アキ

中村教授

そうです。
投資やお金の貸し借りなどの金融取引で見れば、ふたつです。
  • 借り手の返済能力と意思
  • 貸し手の財務能力

中村教授

たとえば銀行が融資する時、不確実性に対してはこのふたつを意識しています。
銀行は借りたお金が返ってこないリスクをいかに減らすか? が仕事でプロですから、その方法はとても参考になります。
そういえば、銀行の業務ってあまり知らないことばかりです!
お金の貸し借りだけではないんですね。

アキ

中村教授

そう。
融資よりもむしろ、リスクや不確実性に備える具体的な業務の例が面白いかもしれません。
銀行の例をもとに、リスクをひも解いてみましょう。

中村教授

それぞれのリスクをまず理解し、きちんと対処できれば、失敗する確率を大きく下げることができます。
世界的投資家のバフェットの発言です。

リスクは、自分が何をしているのかを理解していない時に起こる。
ウォーレン・バフェット

  • リスクや将来の不確実性は何か?
  • リスクにどのように対処すれば良いのか?

中村教授

リスクにはこれが大切ですね。

リスクと不確実性の意味

中村教授

不確実性とは、将来何が起こるかわからないことです。

中村教授

ただ、これは当たり前すぎる話です。
むしろ問題は、将来が不確実なことによって、どんなクリティカルな影響があるか?です。
将来が不確実だからと言って、全てがリスクではないですもんね。

アキ

中村教授

そう。
火事、台風、地震、貿易摩擦、取引先の倒産、恐慌など、可能性としては何でもあり得ます。
影響がないものもあれば、ビジネスに直撃するものもあります。

中村教授

銀行にとってリスクになりうるのは、このような不慮の出来事によって借り手が将来返済できなくなる、貸し手が急にお金が必要になるという事態です。

中村教授

先ほどのおさらいになりますが、クリティカルな問題とは
  • 借り手の返済能力と意思
  • 貸し手の財務能力

中村教授

の2つにまとめられます。

中村教授

ところで経済学では、市場の失敗という用語があります。
市場の失敗は、売り手と買い手のマッチングが問題で、取引が正常に行われなくなることです。

中村教授

そして、不確実性が起こす市場の失敗には、信用リスク(貸倒リスク)と流動性低下があります
これが先ほどの銀行が注意するポイントふたつですね?

アキ

中村教授

その通りです。
銀行は、不確実性によって起こってしまう信用リスクと流動性の低下について、様々なシステムで対処しています。
その備えを知れば、ビジネスや投資でも役立てられる……

アキ

不確実性と「情報の非対称性」

教授、別の記事では「情報の非対称性」について伺いましたが、不確実性とは違うんですね?

アキ

中村教授

全く違います。
情報の非対称性は、あくまでも「今の情報を持っているか?」「相手を知っているか?」という問題です。
不確実性は、あくまでも将来のことです。
よくわかりました。
ということは、今どれだけ情報を持っていても、将来の不確実性がある以上、リスクは残ってしまうんですか?

アキ

中村教授

その通り。
融資のケース

中村教授

仮に「情報の非対称性」が解決して、貸し手が借り手について十分な情報を得ることができたとしましょう。
 

今のところ、借り手に所得はしっかりあり、これからも会社勤めが順調にいけば給与は十分上がっていって、浪費癖も無く健康状態も良いらしい。
 
「これならお金を貸しても大丈夫そうだ。」
 

しかし、それはあくまでも今のところの話で、将来に何が起こるかはわかりません。
事故や事件に巻き込まれたり、急に体調を崩すかもしれません。
今の情報の問題が解決しても、将来のことはわからない。
 

中村教授

将来の不確実性が、問題なのです。

不確実性と信用リスク

中村教授

信用リスクとは、貸した相手が将来返済できなくなって、貸し倒れてしまうリスクです。
銀行は、この信用リスクを少しでも減らすために血眼で努力をしているわけです。

中村教授

銀行が信用リスクに対処する方法には、主に3つのポイントがあります。
  • 監視
  • 融資条件
  • 担保

不確実性を防ぐ!監視

中村教授

銀行がいざ融資をする審査の時は、しっかりと調査をして融資を決定します。
しかし、それはあくまでもその時点の話で、将来が不確実でリスクがあることに変わりはありません。

そのため、一度融資をしたからと言って安心せず、その後も相手の財務状況を監視(モニタリング)し続けます。
銀行口座の入出金や、企業の財務状況は定期的に確認し、融資先に訪問して問題がないかチェックします。

中村教授

少しズレるのですが、監視と似ているので紹介しましょう。

たとえば最近は健康診断の結果が良好なら保険料を下げる生命保険や、「保険料は走る分だけ」という自動車保険がありますが、「保険に加入したから、あとは荒い運転をしても良いんだ」というモラルハザードを防ぐためにチェックをしている意識を植えつける有効な仕組みです。

銀行でも保険でも、金融は取引成立の後こそ重要です。

リスクに備えた融資条件

中村教授

融資条件とは、融資額、返済期間、金利です。

中村教授

銀行はリスクに備えてなるべく少額、なるべく短期、金利は多めに設定したいものです。
やむを得ずリスクの高い相手に貸す場合は、条件を厳しくするでしょう。

ただしあまりに条件が厳しいと誰も借りてくれなくなり銀行の儲けもないので、いくらかは譲歩した条件になります。

リスクプレミアム
信用リスクに備えるために、返済能力の低そうな相手には利子率を高めに設定します。
このように、貸し手がリスクに見合っただけの対価を得ようとすること、これをリスク回避的であると言います。
(単に「リスクを避けようとする」という意味ではありません。
イールドカーブ
利回り曲線」などと呼ばれますが、融資期間が短いほど利子率が低く、期間が長いほど利子率が高くなる現象を呼びます。
国債の利回りを見ると、よくわかります。

担保は一番シンプルなリスク回避

中村教授

個人事業主が銀行から借り入れるにはまず不動産など資産があるか聞かれます。
年収300万円の人が住宅ローンを組めるのは、住宅が即担保になるからですね。

中村教授

将来の不確実性に担保する上で、もっとも原始的で簡単な方法です。

中村教授

この監視・条件・担保の3つが銀行が不確実性と信用リスクに対処する方法です。
これは銀行に限った話ではなく、投資でもビジネスでもこれらのポイントに注意すれば、将来の不確実性に対処できる可能性が高くなります

中村教授

どれもどこかで聞いたことがあるような話でイメージしやすかったのではと思いますが、アキさんはいかがでしたか?
そうですね、意外と身近な話でわかりやすかったです。
ただ、それでも貸し倒れてしまうケースがありそうな気がします。
銀行は他にもリスクに備える術を持っているんですか?

アキ

中村教授

あります。
信用リスクを防ぐ完璧な方法です。
それは債権証券化して誰かに売却することです。
(聞きなれない単語が出てきたぞ…)

アキ

中村教授

ここからは少し耳慣れない単語が出てきますが、とても重要なのでよく聞いてください。
はい、心します!

アキ

不確実性リスクを完璧にゼロにする

中村教授

貸付とはつまり誰かにお金を貸す代わりに、将来に利息と元本を返してもらう約束をするということです。
つまり、貸付の本質は、将来元本と利息を要求する権利を得るために、今借り手にお金を支払う手続きです。

中村教授

そしていつか元本と利息を返済してもらう権利のことを、債権と言います。
また、その債権を証明するための書類が債券と言います。
債券とは株式や小切手のような有価証券です。

ということは、友人どうしのお金の貸し借りも、債券と元本・利息の交換なのですか?

アキ

中村教授

鋭い。
その通りです。

不確実性に対処する具体例とは

中村教授

たとえばアキさんから私が1週間1万円借りるとしましょう。
その代わり、私は利息として500円上乗せして返済すると決めます。
年率250%なので、なかなか悪くない取引です。

中村教授

この取引を分解してみると…
  • 私は、1週間後に元本1万円+利息500円を得る債権を、今1万円でアキさんに売ります。
    アキさんは、1週間後に元本1万円+利息500円を得る債権を、今1万円で私から買います。
融資ではなく、債権の売買と解釈できるわけですね。

アキ

中村教授

その通り。
そしてアキさんが、信用リスクをゼロにしたいならどうすれば良いでしょうか。
先ほどの銀行の監視が使えそうな気がします!

アキ

中村教授

なるほど。
  • 私が1週間のうちにお金を浪費しないよう、監視する。
  • 研究室の高価そうな書籍を担保に取る。

中村教授

しかし、これらはリスクの可能性を下げる手段かもしれませんが、私が姿をくらましたり事故に遭う可能性は残ります。
返済されないリスクはゼロにはなりません。
結局、将来は不確実です。
中村教授がそうするなんて想像できませが、おっしゃっていることはわかります…。
ではどうすれば?
初めから貸さないというのがベストに思えてしまいます。

アキ


中村教授

いいポイントです。
貸し借り無しにしてしまえば良い。

中村教授

つまり、債権を誰かに売ってしまえば良いのです。

中村教授

債権を売るというと複雑ですが、アキさんは今、「私から1週間後に1万500円を受ける債権」を持っている。
その債券を村田さんやなど誰でも良いので、売る。
売った時点でお金が入るので、アキさんは1週間後まで信用リスクを心配する必要は無くなります。
確かに私は安心できますが……
でも、村田さんが買うメリットがあるでしょうか?

アキ

中村教授

あります。
たとえばアキさんが1万円で買った債権を、9800円などディスカウントすれば良いのです。
アキさんは200円の損ですが、すぐに確実にお金が入る代わり、信用リスクを確実にゼロにできるので良いでしょう。

中村教授

村田さんからすれば、1万円貸して1週間後には500円の利息しか貰えないところ、9,800円で貸して700円の利息があるので、多少リスクはあっても魅力的だと感じるかもしれません。

中村教授

まあ金額は一例です。
9,800円ではなくいくらになるかは、アキさんと村田さんが合意できる落とし所で決まります。

中村教授

貸したい人が多ければ、1万円の債権が1万200円で売れることもありますよ。
その場合はアキさんはノーリスクで200円得したことになりますね。
え、そんな夢のようなことがあるんですか?

アキ

中村教授

あります。
国債や社債が取引されるのも、債権ディーラーが職業として成り立つのも、全ては世の中の需給のバランスで金利が上下するからです。

債権の譲渡は有効なリスク管理

中村教授

「債権を売る」というのは、貸し借りという融資の関係を、権利の売買に変えてしまうような行為です。
債権の売買は、金融業界では実は当たり前に行われています。

中村教授

たとえば、アキさんがMBA銀行から住宅ローンを借りる場合でも、MBA銀行はローンの債権を関連会社に譲ってしまう、というこのはよくあります。
え、そうなんですか?
ずっとMBA銀行のままだと思っていました!

アキ

中村教授

銀行の融資の書類を注意深く読んでみれば、規約で書いてあります。
銀行は融資業務に集中するために、リスク管理は専門の子会社や管理会社に債権を渡して、管理を任せてしまうのです。
へー……
よくできているシステムですね。

アキ

中村教授

金融はなかなかアクロバットなスキーム(業務)ができます。
これは金融業界が不確実性を全て解明するのは不可能だと認めている裏返しです。
だから、リスクを回避するための仕組みが発達しているわけです。

リスクを回避する証券化

中村教授

ところで、セキュリティー(Security)はどのような意味でしょうか。
いくら私でもわかりますよ。
安全という意味です!

アキ

中村教授

その通り。
では、証券は英語でなんと言うかわかりますか?

nomura-securities

(画像)野村證券HP https://www.nomura.co.jp/introduc/company/

 

え、Securities…
同じなんですか?

アキ

中村教授

そう。
証券とは、自由に売買できるもの。
つまり融資ではなく債権の売買が安全なのは、つまり信用リスクをゼロにしてくれる安全な手続きだと言う意味そのものです。

中村教授

先ほどのアキさんが私にお金を貸しているケースでも、融資ではなく債権を村田さんと売買するのは、アキさんを安全にする手続き、つまり証券化そのものです。
はあ〜
よくできていますね。

アキ

不確実性と投資・ビジネス

中村教授

さて、いよいよまとめです。

中村教授

将来は不確実なため、リスクがあります。
リスクは相手の返済能力と返済意思が問題です。

中村教授

リスクに対処する手段は銀行は監視・条件・担保です。
それでも信用リスクはゼロにはなりませんが、証券化で第3者に売却してしまえば完全に信用リスクを消せます。

中村教授

今回は銀行の例でしたが、ビジネスでも投資でも、以下の3点を抑えて正しく対処すれば、リスクと上手に付き合うことができます。
  • 投資のリスクが何か
  • 対処できるリスクとできないリスクは何か
  • できることはどうすれば対処できるのか
中村教授、ありがとうございました!

アキ

今回の記事はボリュームがあり、専門用語もあってハードでした……。
「債権を証券化して、自由に売買する」仕組みは目からウロコと言う感じでした。
銀行で住宅ローンを借り手も、その貸主が別の組織に債権を譲ってしまうことがあるなんて少し意外でしたが……

アキ

でも、今回の学びで投資家の卵としてリスクとその対策を考える良いきっかけになりました!
皆さんはどう感じましたか?

アキ

リスクと不確実性のまとめ
  • 将来の不確実性のリスクは借り手の返済能力・意思と貸し手の財務能力
  • 不確実性のリスクを埋めるために銀行は監視・条件設定・担保で対処する
  • 証券化によって貸し手は信用リスクをゼロにできる

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。