カバー付き金利平価とカバーなし金利平価 | 計算式も詳しく解説

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このページでは外国為替レートのメカニズムの理論のひとつ、カバー付き金利平価説(CIP)」カバーなし金利平価説(UIP)」を解説しています。

カバー付き金利平価説(CIP)理論と計算式

カバー付き金利平価の理論は計算もありますがそれほど難しくはありません。

カバー付き金利平価(CIP)とは

カバー付き金利平価(CIP|Covered Interest Parity)とは、以下の説です。

将来の為替予約をして為替リスクをヘッジしている投機家が多ければ、あなただけが為替リスクをヘッジしながら(カバーしながら)2国間の金利差を利用して儲けることはできない。
なぜなら皆が先渡取引(フォワード)で為替予約することにより、フォワードの為替レートが変動してしまい儲けの余地がなくなってしまうからだ。

カバーの在り/なしとは、つまり将来の為替予約をしているかどうかということです。

カバー付き金利平価の計算式

i-i*t+1-

iは国内金利、i*は外国金利、t+1は1年後の先渡レート、tは直物レートです。

左辺は内外の金利差を表わし、右辺は現在と将来の為替レートの差を表わします。

つまり「金利差は必ず為替レートで調整されてしまうため、為替予約でヘッジしながら金利裁定で高い収益を得ることは出来ない」ということです。

カバー付き金利平価
カバー付き金利平価(CIP)によると、内外金利差と直物先渡レート差(直先スプレッド)が等しくなる。

為替リスクを回避しながら金利裁定をしても利益は得られない。

i-i=F(t+1)-St

自国金利-他国金利=先渡レート-直物レート

為替予約をすればノーリスクで儲けられる?
一般論として、為替予約を使えば、日本と米国の金利差を利用して、しかも為替リスクを完全に回避して、必ず儲けることができるかもしれません。

100円を運用するケースで、日本円の金利(運用利回りと同義)が1%、米ドルの金利が4%だとします。

直物レート(現在のレート)も先渡りレート(将来のレート)も1ドル=100円です。もし直物レート(現在のレート)と同じく1ドル=100円のレートで先渡り契約(将来の為替予約)をすれば、1年後の回収額は必ず1.04ドル=104円になります。

円の金利は1%ですから、運用資金100円の調達コストは101円です。104円と101円の差額3円が利益になります。

日本と米国の金利差を利用して、しかも為替予約を使って為替リスクを完全に回避して、必ず儲けることができるのです。
しかし、こんなうまい話があるのでしょうか?

カバー付き金利平価に言わせると「そんなおいしい話はない」
カバー付き金利平価(CIP)によると、「この前提がおかしい」と言います。儲けのポイントは、内外(日米)の金利差と、直物レートと先渡レートの差です。つまり、上のケースでは日本と米国の金利差が3%にもなるのに、「現在の日米間の為替レートと、将来の為替レートは1ドル=100円は全く同じ」

という仮定をしています。

カバー付き金利平価によると
「金利差があるのに、為替レートが変動せず放っておかれるのはあり得ない」
というのです。

カバー付きで金利裁定を投資家皆がやると・・・

モノの裁定取引と同じで、もしこれだけの金利差があれば、誰もが日本で円を調達し、円を売ってドルを買い、米国で運用します。(直物スポットの円安ドル高)

そして1年後、円を返済しなければなりませんからドルを売って円を買います。
為替リスクをヘッジするために、先渡し契約をあらかじめ結びます。

そこで皆が1年後にドルを売って円を買う先渡し契約を結ぶために、円高ドル安が起こってしまうのです。(先渡フォワードの円高ドル安)

為替レートの調整変動によるダブルパンチ
円をドルに替えて米国での運用を考える時、スポットの円安ドル高は、今両替によって手にするドルが少なくなることを意味します。
フォワードの円高ドル安は将来ドルを円に替える時に手にする円が少なくなることを意味します。

たとえばもう1つの例ですが、2017年現在中国での銀行預金金利は4~7%です。
日本人が円を売って人民元を買い、1年間中国の銀行に預金して1年後に元から円に換えようと思っても、先渡りレートは円高方向に調整されています。

このように、為替予約によってリスクヘッジして儲けることは出来ません。

皆が同じ事をするために、利ザヤが取りつくされてしまう合成の誤謬が起こるのです。

重要なのは「どの程度少なくなるのか」

投機家は金利差を求めて世界中投資先を探しまわります。
よい投機先が見つかれば、投機家は殺到して為替レートが調整されて利ザヤのチャンスがなくなってしまうまで続きます。

結局、「後発組は同じ取引をしても全く利益を得られない」ことになります。

せっかく良い金利差があっても、皆がやれば為替レートが調整されてしまうため、「行きが少なく帰りも少ない。金利差分は食いつくされる」わけです。

「ならば食いつくされる前に市場を常に監視して、裁定のチャンスがあればだれよりも早くモノにしてやろう」

と考えるなかれ。

個人投資家の入り込むチャンスはない?
たしかに、市場は多くの参加者がいて、金利差や為替レートなどお構いなして取引をすることもあるのです。

その時は微妙にずれが生じます。

そのずれはもちろんチャンスを狙っている投資家が殺到します。
そうしてずれは修正されます。

その時、誰が勝つかというと、証券会社、投資ファンド、投資銀行などのプロです。
彼らは人手ではなく、もはやロボットによって自動的に超高速でそのような取引をしています。

プロは設備投資に金をかけ、巨額のマネーを安全に運用しているのです。

個人が対抗するチャンスはありません。

カバー付き金利平価のポイント

カバー付き金利平価(CIP)によると、内外金利差と直物先渡レート差(直先スプレッド)が等しくなります。
利ザヤのチャンス、為替リスクを回避しながら金利裁定をしても利益は得られません。

i-i*t+1-

自国金利-他国金利=先渡レート-直物レート

カバーなし金利平価説(UIP)理論と計算式

次は、為替リスクをヘッジしないケース、カバーなし金利平価を見てみましょう。

(画像)ニューヨーク証券取引所(NYSE)

カバーなし金利平価(UIP)とは

カバーなし金利平価(UIP|Uncovered Interest Parity)とは、以下の説です。

為替ヘッジをせずに現在から将来にわたって外国為替取引をする場合、直物と期待為替レートの差は内外金利差に等しくなる。

カバーなし金利平価の計算式

ii*=E(St+1)-St

iは国内金利、i*は外国金利、E(St+1)は1年後の直物レート、Stは直物レートです。

左辺は内外の金利差を表わし、右辺は現在と将来の期待為替レートの差を表わします

つまり「内外の金利差は市場参加者の期待をもとに為替レートに反映される」ということです。

カバーなし金利平価は為替リスクをヘッジしない

さきほどのカバー付き金利平価(CIP)は、あくまでも「為替リスクをヘッジするため、為替予約でカバーをする」ものでした。

しかし中には、為替ヘッジはしなくても良い、あるいは回避しようがないということもあります。

たとえばカバー付き金利平価では為替予約で利益額が確定しますので、自分の都合の良いように為替が動いたとしても予約しておいた額以上には儲ける可能性はありません。
ですが、「為替リスクを冒してでも為替差益を狙いたい」というリスクテイクしたがる投資家もいます。

他にも、マイナーな通貨で、為替予約がそもそも不可能な場合もあります。
その場合は為替リスクをまともに被ることになります。

ヘッジをするかどうかは投資家のリスク許容度しだい
投資家は、自分の予想する為替変動率に基づいて、「これくらいなら許せるかな」と考え取引します。

たとえば上では中国の銀行金利が4~7%と言いましたが「将来それほど元安円高にならないだろう」と考えれば、ヘッジも何もせず円を元に替えて中国に預金することもアリなのです。

このように、カバーなし金利平価によると「ヘッジをせずに現在から将来にわたって外国為替取引をする場合、直物と期待為替レートの差は内外金利差に等しくなる」と言います。

内外金利差は期待によって説明できる

その「将来それほど元安円高にならないだろう」という考えこそが、期待為替レートです。

金利や為替レートを精密に計算してリスクヘッジしながら利益を得る機関投資家と違い、これは個人の主観の要素が強いです。

リスクはもちろん高いのですが、もし読みが正確ならば他の参加者よりもはるかに多くの為替利益を得ることができます。

実際、ジョージソロスが利益を得たのは彼の鋭い読みで利益を得ました。

カバーなし金利平価のポイント
カバーなし金利平価(UIP)によると、直物と期待為替レートの差は内外金利差に等しくなります。
為替リスクを回避しないためリスクは高いですが、その分リターンを得ることもあります。

ii*=E(St+1)-St

自国金利-他国金利=1年後の期待レート-直物レート

為替ヘッジをせずに現在から将来にわたって外国為替取引をする場合、直物と期待為替レートの差は内外金利差に等しくなります。

結局、カバー付き金利平価とカバーなし金利平価で儲かるの?

カバー付き金利平価は、昔から国際経済学で為替レートの動きを説明する定番中の定番です。

一方、カバーなし金利平価はカバー付き金利平価と比べるとアバウトです。
経済学者の間では、まだ信頼される仮説には至っていません。

そもそも論ですが、膨大な市場参加者の期待為替レートを正確に集計することが困難ですから。

リスクは儲ける可能性も意味する

しかしながら、投機利益を得るという点では、リスクが高い分だけその可能性もあります。

この金利平価の式が成り立たないことの理由として、

「高いリスクを払っているのだからリスク・プレミアムの分だけ収益があるべきだ」
「そのリスク・プレミアムがこの式には加味されていないのだから、金利裁定を得られるのは当然だ」

という考えがあります。

先渡プレミアム・パズル
いずれにしても、金利平価は成立するから誰かが利益を他の人よりも得ることは出来ないはずなのに、高いリスクを払って儲けている人が現実にはいて、金利平価と矛盾します。

その理由を説明しきれないことを、先渡プレミアム・パズルと言います。

カバー付き金利平価、カバーなし金利平価などはもっともらしい理論で、とくにカバー付き金利平価は幅広く支持されていますが、巨大で不思議な外国為替市場は、説明しきれないことも起こります。

それは、個人にもチャンスがあるということです。

特に理論と現実の為替レートが大きく乖離しているときなどは要注意でしょう。
市場を注視して、あなたなりの気づきがあればそれは優位かもしれません。

参考になった本。
初心者にもわかりやすく書かれています。

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