為替リスクをヘッジする「為替予約」のわかりやすい仕組み

Pocket

このページでは為替リスクをヘッジ(回避)する為替予約の方法を解説します。

  • 「米国ドルやユーロに投資をしたいが、もし急な円高になって円で換算したときの資産価値が減ってしまうのは困る」
  • 「わが社は米国にモノを売って、1年後にドル建てで納金される約束だが、その間に円高が進んだら損をしてしまう」
  • 「米国の金利が高いので、低金利の日本円を調達して米国債に投資したいが、円高になったら困る」

このような、為替レートに関する悩みは多くの企業や投資家が抱えるものです。

金利平価説によると、「どこの国で運用しても、金利裁定によって為替レートが調整されるため、結局収益率は同じになる」はずです。

金利平価説については、こちらの記事で詳しく解説しています。

compass-paper 金利平価説とは | 高金利通貨の運用と為替レートへの影響

しかし、こういう疑問が思いつかないでしょうか?

「いくら為替レートが調整されると言っても、もし予想外に変動したらどうするのか?」
「それで利益が出るならよいが、損をする危険もあるではないか」

特に投資家はリスク回避的な生き物です。

為替リスクをなるべくヘッジしたいです。

そこで為替リスクをヘッジする方法について解説します。

為替予約とは

為替予約とは、将来の為替取引と、現在の取引を同時にすることで、為替レートの変動によるリスクを抑える方法です。
為替リスクと、リスクヘッジの方法について見ていきましょう。

為替取引には、今の為替レートで今行う直物取引(じきもの|スポット)と、決まった為替レートで将来に行う先渡取引(さきわたし|フォワード)があります。

直物取引は今の時点で今の為替レートで通貨を交換する取引で、一般的なものです。
先渡取引は、例えば1年後に、今から予め決めておいた為替レートで取引の予約をするというものです。

この、直物取引と将来の先渡取引を同時に行うことで、為替レートの変動リスクを抑えることができます。

為替予約の方法と計算

為替予約の方法を順番に解説します。

為替予約と事業会社

たとえば直物レートで1米ドル=100円で、1万円の家電を日本から米国に輸出する場合。
今すぐの納金=直物取引(スポット)であれば米国現地での売り上げは1ドルで、円換算すれば100円です。

しかし商品の受け渡しも代金支払も1年後だとすると、その間に為替レートが変動するかもしれません。
為替が変動したからと言って、それに応じてドル建ての金額が上がったり下がったりするわけではありません。

もし1年後に1ドル=120円になれば売り上げは120円になり20円が差益となります。
1年後に1ドル=80円になれば売り上げが80円になり20円が差損になります。
このように売り上げが変動することは為替リスクです。

しかし今と同じレート1ドル=100円で1年後に為替交換をする先渡取引をすれば、売り上げの100円は保証されます。

為替予約と金融取引

同じように、金利差を稼ぐ投資・運用でも予約を使います。

たとえば直物レートで1ドル=100円、日本での金利が1%、米国での金利が4%だとします。
日本で100円を1年間運用すれば1円の収益、米国で1ドルを1年間運用すれば4セントの収益です。
もし日米でリスクが同じだとして、これだけ収益率が違えば、日本円を米ドルに替え、米国で運用した方が良いでしょう。

日本円を持っている人は、米ドルでの運用をすると同時に、為替リスクをヘッジしたいと考えます。

直物取引で100円を1ドルに替え、1年後に金利4セントを得て、元本と合わせて計1.04ドルになります。

もし為替予約をしておらず、1年後の為替レートが1ドル=80円になれば、資産の価値は1.04×80=83.2ドルになり、16.8円の損失です。
1年後の為替レートが1ドル=120円になれば1.04ドル×120=124.8ドルになり、24.8円の利益です。

しかし、もし直物レートと同じ、1ドル=100円のレートで先渡り契約をしていれば、1年後の収益は必ず1.04ドル=104円になります。

日本と米国の金利差を利用して、しかも為替リスクを完全に回避して、必ず儲けることができるのです。

しかし、こんなうまい話があるのでしょうか?

それについては、金利平価説のページで解説しています。

為替予約の実務

実際、為替リスクをヘッジするという方法を使って資金を国際間で運用したり、事業をする参加者は実際にかなりの数に上ります。
そして、そのような投資家や企業の行動は、現実に為替レートにかなり影響を及ぼしています。

(画像)トウキョウフォレックス上田ハーロー 為替ブローカー業務を行う

直物取引・先物取引のポイント
  • 直物取引(スポット) 今の時点で今の為替レートで通貨を交換する。
  • 先渡取引(フォワード) 今から予め決めておいた為替レートで将来の取引を予約する
Pocket

コメントを残す