マネタリーアプローチとは | 金融政策の貨幣供給量からわかる為替レート

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このページでは、外国為替レートの変動を説明する理論のひとつ、マネタリーアプローチを解説します。

  • マネタリーアプローチの意味
  • マネタリーアプローチと貨幣供給量
  • マネタリーアプローチと為替レート

これらを解説します。

マネタリーアプローチとは、「マネタリーベースや流通現金など中央銀行による貨幣供給の面から外国為替レートへの影響を考える理論」です。

ほかのページで紹介しているのは購買力平価金利平価でした。
どちらも国内外の物価の差、金利の差異が為替レートに反映されるという考え方です。
特に金利平価では金融政策の在り方が問題でした。

マネタリーアプローチは、色々ある金融政策のうち、貨幣供給量を重視します。

マネタリーアプローチと貨幣供給量

金融政策には金利と同じく重要なもの、つまり市中に出回るお金の量(貨幣供給量)の管理があります。

マネタリーアプローチと中央銀行

中央銀行は経済状況に応じて世の中のお金の量貨幣供給量を最適化しようとします。
具体的には、マネタリーベースの量を管理します。

マネタリーベースとは世の中に出回るお金(流通現金)と、市中銀行が中央銀行当座預金に保有する預金量(日銀当座預金)の合計のことです。

これは世の中に出回るあらゆるお金の源になるものです。
私たち家計や企業が直接保有するお金ではありませんが、銀行が自らの裁量で誰かに貸したりと、比較的自由に動かせるお金です。

これがなければ銀行が融資できず、企業や家計の経済活動がままなりません。

この貨幣供給量が、どのように為替レートとかかわるのでしょうか。

マネタリーアプローチと貨幣数量説

マネタリーベースが為替レートを考える時に重要なのは、通貨の価値はその量によって左右されるからです。

たとえば世の中に純金と通貨しかないとします。
純金は通貨によって値段が決められます。

純金の量は同じまま、もし通貨の量だけが減れば、相対的に通貨の価値は増え、純金の値段は下がります。
物価が下がるということです。

もし通貨の量が増えれば、相対的に通貨の価値は減り、純金の値段は上がります。
物価は上がります。

フィッシャーの交換方程式
アーヴィング・フィッシャーという大物の経済学者がいました。
フィッシャーは利子など金融の分析に大きな功績を残し、現代の金融・ファイナンスの形成に多大な影響を与えました。
フィッシャーの「交換方程式」です。

要するに、
「貨幣供給量は物価に影響する。ただし、貨幣が普及するスピードや経済取引の量によっては物価への影響度合いも変わる。」
ということです。

  • M・V=P・QMは「ある期間中のある時点における流通貨幣(通貨)の総量」です。
  • Vは「貨幣の流通速度」です。
  • Pは「ある期間中のある時点における物価水準」です。
  • Q は「取引量」です。
(参考)
ウィキペディア 「フィッシャーの交換方程式

マネタリーアプローチと金融政策

2国間でこのように通貨量が変わり物価が変わると、購買力平価を保つために為替レートも調整されます。

相対的購買力平価によれば、もし一方の国がよりインフレ率が高ければ、その国は通貨価値が下落しますから、為替レートでは自国通貨が減価するはずです。

 

中央銀行の金融政策で、他国よりも多いペースで貨幣供給量を増やす政策をとれば減価します。
他国よりも貨幣供給を引き締め気味であれば、増価します。
もし2国とも同じような金融政策ならば為替レートは変化しません。

マネタリーアプローチが意味することはシンプルです。
「為替レートは、貨幣供給など金融政策が物価に影響し、物価の変動は為替レートに影響する」

ということで、つまり金融政策を見ることは為替レートを読むうえで、実に役に立つ可能性を秘めています。

日本銀行の金融政策は為替の円安誘導

2013年の就任以来、黒田東彦日銀総裁は異次元の金融緩和を継続しています。

これは公定金利を下げ、国債価格を維持して長期金利が上がりすぎないようコントロールし、同時に金融機関の保有する国債と現金を交換することで、市中に出回る貨幣量を増やそうという政策です。

狙いは物価上昇と、その結果としての円安にあります。
2015年末には米国の景気回復を受けて米FRBのイエレン議長が利上げを決断したため、円安方向に振れました。

日本では貨幣供給が増えるため相対的に円の価値は減り、米国では利上げで銀行への預金や金融資産への投資が増えることから市中での貨幣供給は減り相対期にドルの価値が上がるとの予想があったためです。

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