購買力平価説(PPP)とは | 物価と為替レートで経済がわかる | USJ値上げ理由は購買力平価

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このページでは、為替レートの変動を説明する有力な理論のひとつ、購買力平価説一物一価の法則をわかりやすく解説します。

購買力平価と為替レート

購買力平価と、為替レートの関係を見ていきましょう。

購買力平価説とは

購買力平価(PPP|Purchasing Power Parity)とは、モノの価格に焦点を当てて為替レートを説明する理論です。

金利や金融政策などのアプローチとは違い、主に「モノの価格とモノの移動」、つまり貿易による為替レートへの影響を考えるアプローチです。

購買力平価説と一物一価の法則

購買力平価によると、同じモノの価格は、世界中で同じになります。
(財・サービスのことをまとめてモノと呼ぶことにします)
世界中で価格が釣り合うように、為替レートが調整されるからです。

たとえばコーラは世界中で全く同じ品質のものが販売されていますが、それは「世界で価格が違うわけではなく、為替レートで調整してみれば世界中で同じ価格に収束するはずだ」という考えです。

日本では1本100円、米国で1本1ドルだとすれば、1ドル=100円です。
これは円、米ドルの購買力が等しい(平価)状態です。

このように世界中で同じモノの価格が等しいことを、「一物一価の法則」と言います。

「一物一価の法則」は信頼できる?

とはいえ、「一物一価の法則」が常に成り立つのか疑問に思うかもしれません。
たしかに、モノの価格は世界中で他国にはお構いなしに変わります。
また、為替レートはすべてのモノの価格のためにバランスをとって調整してくれるわけではありませんから。

裁定取引と一物一価の法則
裁定(さいてい)の考え方はシンプルです。
安いところでモノを仕入れて、高く売れるところで売り、その値ざやを稼ぐことです。

もちろん金利でも良いです。
銀行が儲けられるのは、預金金利と貸出金利の利ザヤがあるからです。

いわば差異を利用する取引です。
裁定は必ず儲かりますから、プロ投資家が資金を運用する時に重宝する必須の手法です。

裁定取引の具体例コーラ
ある例を考えます。
コーラが日本では1本80円、米国では1本1ドル、為替レートは1ドル=100円だとしましょう。
この時、日本円と米ドルではコーラの購買力が違います。

1ドルでは1本しか買えないのに対し、100円では1.25本分買えます。
為替レートから考えれば1ドルと100円は同じ価値のはずなのに、実際は購買力にずれがあります。
円の方が、買う力が強いのです。

購買力平価と裁定取引

購買力に差異がありますから、裁定取引のチャンスがあります。
この場合は、購買力の高い円を手にいれ、日本で80円でコーラを1本買い、米国で1ドルで売れば80円分の利益が出ます。
これに多くの人が気が付くとどうなるでしょうか。

皆、コーラは円で買った方が安いですからドルを円に替えてコーラを日本で買います。
次に、米国で売った方が安いですから米国で売り、売り上げでドルを手に入れます。
通貨の動きを見れば、ドルを売って、円を買うという流れになっています。
これで円高ドル安が起こります。

このような裁定取引は、利益のチャンスがなくなるまで続きます。
利益のチャンスとは、円とドルで購買力に差異がある状態です。
円高ドル安の流れが続き、1ドル=80円にまでなれば、購買力が完全に一致するので利益のチャンスはなくなります。
1ドルは80円に相当し、1ドルでは1本、80円では1本が買えて購買力も等しいからです。

購買力平価が意味することは、以下のようにまとめられます。

  • 短期的には財の価格が異なる状態は生じる可能性がある
  • しかし差益を狙った裁定取引によって為替レートが調整される
  • よって、長期的には一物一価の法則が実現される

ということです。

つまり、世界中で同じモノの価格は同じになるよう、為替レートは調整されるということです。

これは為替レートの変動を説明する有力な説のひとつです。

購買力平価の実例ーUSJはなぜ値上げをしたか?

2010年ころから毎年のように値上げを繰り返しています。

2010年は6100円だったのが、2017年は税込み7600円です。

(参考) ユニバーサル・スタジオ・ジャパン WEBチケットストア

ちなみに東京ディズニーリゾートは、7400円です。

(参考) 東京ディズニーリゾート 公式パークチケット

値上げの理由は、「購買力平価でみると日本のテーマパーク価格は安すぎる」からです。

下は、アメリカディズニーワールドのチケット料金です。

ディズニーワールドHP

 

ディズニーワール価格

(画像・参考) ウォルト・ディズニー・ワールド フロリダ

閑散期で102ドル、通常時で114ドル、混雑時で122ドル。

1ドル=107円で日本円に換算すれば、順番に10914円、12198円、13054円です。

これほどの差があります。

米国の方がサービスもスケールもずば抜けていればこの価格差でも納得なのですが、それどころか日本は社員の接客、清潔さ、快適さ、サービスの質などでは負けていないはずです。

そう考えれば日本のテーマパークは高品質なのに明らかに割安ですから、まだまだ値上げの余地があることがわかります。

購買力平価を使えば、このように別の国で通貨が違ってもサービス価格の比較ができます。

(参考文献)「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」 森岡毅

購買力平価の成立に必要な条件

ただし、もちろん購買力平価が成立するには必要な条件があります。

貿易財と非貿易財

上の例の場合、コーラは貿易可能な財、つまり貿易財でした。

しかし、中には貿易が不可能な財、非貿易財もあります。
移動不可能な不動産や電気、水道、電車の運賃などです。

一物一価の法則は、貿易財について成り立つものです。
さらに、それが貿易制限や非常に高い運送コストなどがない場合に限られます。
非貿易財は考慮に入っていいないということは、正確性に疑問があるということでもあります。

購買力平価説のまとめ
一物一価の法則によって、世界中で同一のモノの価格は同じである。
一時的に価格差がある場合は、財裁定によって為替レートが調整されるため、これは成り立つ。
結果としてどの通貨でも買う力が同じになることを購買力平価(PPP)と言う。

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