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【USJ値上げ理由?】購買力平価説(PPP)とは | 一物一価とわかりやすい為替レートの経済学

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中村教授

購買力平価説一物一価の法則をわかりやすく解説します。
外国為替レートの変動を説明するもっとも有力な理論のひとつです。
中村教授、よろしくお願いします!
購買力平価という言葉は外国為替レートの動きだけでなく、物価や企業の価格戦略でも目にする言葉なので、気になっていました!

アキ

なにか、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)の入場料の値上げにも関わっているとか……?

アキ

中村教授

そう。
モノの価格、つまり経済の物価の動きと為替レートの関係を計算するのが購買力平価です。
金利で為替レートを計算する金利平価も重要ですが、順番に解説しましょう。
  • 購買力平価説の理論的解説
  • 購買力平価説と一物一価の法則
  • 金利平価説と裁定取引
  • 金利平価と為替レートの関係

購買力平価と為替レート

中村教授

購買力平価の意味と、為替レートとの関係を見ていきましょう。

購買力平価説の意味とは

中村教授

購買力平価(PPP|Purchasing Power Parity)とは、モノの価格に焦点を当てて為替レートを説明する理論です。

中村教授

金利や金融政策などのアプローチとは違い、主に「モノの価格とモノの移動」、つまり貿易による為替レートへの影響を考えるアプローチです。

購買力平価説と一物一価の法則

中村教授、購買力平価が成立するには、一物一価の法則がポイントだそうですね。

アキ

中村教授

そうです。
一物一価の法則について少し触れましょう。
購買力平価によると、同じモノの価格は、世界中で同じになります。
(財・サービスのことをまとめてモノと呼ぶことにします)
世界中で価格が釣り合うように、為替レートが調整されるからです。

中村教授

たとえばコーラは世界中で全く同じ品質のものが販売されていますが、それは「世界で価格が大きく違うわけではなく、為替レートで調整してみれば世界中で同じ価格に収束するはずだ」という考えです。

中村教授

日本では1本100円、米国で1本1ドルだとすれば、1ドル=100円です。
これは円、米ドルの購買力が等しい(平価)状態です。

中村教授

このように世界中で同じモノの価格が等しいことを、「一物一価の法則」と言います。

「一物一価の法則」は成り立つ?成り立たない?

一物一価の法則は納得できました!
ただ、私も海外旅行に行ったとき、日本と現地で同じものの価格が違うこともあった気がします。
この一物一価は常に成り立つモノなんですか?

アキ

中村教授

良い質問です。
たしかに、モノの価格は世界中で他国にはお構いなしに変わります。
また、為替レートはすべてのモノの価格のためにバランスをとって調整してくれるわけではありませんから。

中村教授

裁定取引という重要な言葉があります。

購買力平価と裁定取引

中村教授

裁定(さいてい)の考え方はシンプルです。
安いところでモノを仕入れて、高く売れるところで売り、その値ざやを稼ぐことです。

中村教授

もちろん金利でも良いです。
銀行が儲けられるのは、預金金利と貸出金利の利ザヤがあるからです。

中村教授

いわば差異を利用する取引です。
裁定は必ず儲かりますから、プロ投資家が資金を運用する時に重宝する必須の手法です。
「必ず儲かる」に惹かれますが……
例えばどのように使うのですか?

アキ

裁定取引の具体例、貿易財のコーラ

中村教授

先ほどのコーラの例を使いましょう。
コーラが日本では1本80円、米国では1本1ドル、為替レートは1ドル=100円だとしましょう。
この時、日本円と米ドルではコーラの購買力が違います。

 

1ドルでは1本しか買えないのに対し、100円では1.25本分買えます。

中村教授

為替レートから考えれば1ドルと100円は同じ価値のはずなのに、実際は購買力にずれがあります。
円の方が、買う力が強いのです。

購買力平価と裁定取引

中村教授

購買力に差異がありますから、裁定取引のチャンスがあります。
この場合は、購買力の高い円を手にいれ、日本で80円でコーラを1本買い、米国で1ドルで売れば80円分の利益が出ます。
これに多くの人が気が付くとどうなるでしょうか。
いつかは儲けのチャンスが消えていくんですか?

アキ

中村教授

そうです。
それには為替レートが関わります。
  1. 皆、コーラは円で買った方が安いですからドルを円に替えてコーラを日本で買う。
  2. 次に、米国で売った方が安いですから米国で売り、売り上げでドルを手に入れる。

中村教授

通貨の動きを見れば、ドルを売って、円を買うという流れになっています。
これで円高ドル安が起こります。

中村教授

このような裁定取引は、利益のチャンスがなくなるまで続きます。
利益のチャンスとは、円とドルで購買力に差異がある状態です。

中村教授

円高ドル安の流れが続き、1ドル=80円にまでなれば、購買力が完全に一致するので利益のチャンスはなくなります。
1ドルは80円に相当し、1ドルでは1本、80円では1本が買えて購買力も等しいからです。

中村教授

購買力平価の意味は、こうまとめられます。
  • 短期的には財の価格が異なる状態は生じる可能性がある
  • しかし差益を狙った裁定取引によって為替レートが調整される
  • よって、長期的には一物一価の法則が実現される

中村教授

つまり、世界中で同じモノの価格は同じになるよう、為替レートは調整されるということです。
なるほど!
裁定取引で貿易はごく当たり前に行われるので、購買力平価は為替レートの変動を説明する有力な説のひとつなんですね。

アキ

購買力平価の計算と具体例−USJ値上げ理由

中村教授、この購買力平価説がUSJや東京ディズニーリゾートの値上げにも関わっているそうですね。

アキ

中村教授

その通りです。
たしかに、USJは2010年ころから毎年のように値上げを繰り返しています。
2010年は6100円だったのが、2017年は税込み7600円です。
(参考) ユニバーサル・スタジオ・ジャパン WEBチケットストア

中村教授

ちなみに東京ディズニーリゾートは、7400円です。
(参考) 東京ディズニーリゾート 公式パークチケット

中村教授

値上げの理由は、「購買力平価で計算すると日本のテーマパーク価格は安すぎる」からです。
安いんですか?
だんだんと上がってきて、少し高いかなーという気がしていましたが……

アキ

中村教授

いえ、それでも世界的に見れば安いほうです。
下は、アメリカディズニーワールドのチケット料金です。

ディズニーワールドHP

 

ディズニーワール価格

(画像・参考) ウォルト・ディズニー・ワールド フロリダ

中村教授

閑散期で102ドル、通常時で114ドル、混雑時で122ドル。

1ドル=107円で日本円に換算すれば、順番に10914円、12198円、13054円です。

知りませんでした!
ということは、購買力平価で計算すると日本の7000円台と比べても3000〜5000円くらいの差があるんですね。

アキ

米国の方がサービスもスケールもずば抜けていればこの価格差でも納得なのですが、それどころか日本は社員の接客、清潔さ、快適さ、サービスの質などでは負けていないはずです。
私もテーマパークは大好きなんですが、いつも気づいたら夢中になって、あっという間に閉園なんて時ばかりです。

アキ

中村教授

そのような魅力を考えれば日本のテーマパークは高品質なのに明らかに割安ですから、まだまだ値上げの余地があることがわかります。

中村教授

購買力平価を使えば、このように別の国で通貨が違ってもサービス価格の比較ができます。

(参考文献)「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」 森岡毅

(※価格は2017時点)

購買力平価は成り立つ?必要条件

中村教授

ただし、もちろん購買力平価が成立するために必要な条件があります。

購買力平価と貿易財・非貿易財

中村教授

上の例の場合、コーラは貿易可能な財、つまり貿易財でした。

中村教授

しかし、中には貿易が不可能な財、非貿易財もあります。
移動不可能な不動産や電気、水道、電車の運賃などです。

中村教授

一物一価の法則は、貿易財について成り立つものです。

中村教授

さらに、それが貿易制限や非常に高い運送コストなどがない場合に限られます。
非貿易財は考慮されていないので、正確性に疑問が残ります。
理論には、必ず成り立つので100%信じるのではなく「ただし」にも注意ですね。

アキ

中村教授

そうです。
特に海外事業やFXなどの投資に関わる場合はより注意です。

中村教授

ところで、貿易財、非貿易財の話はこちらの記事でで、相対的購買力平価と絶対的購買力平価という考え方を知ればより深く理解できます。
pc-cafe-paper 【計算付】絶対的購買力平価と相対的購買力平価とは | やさしい物価と為替レート
中村教授、ありがとうございました!

アキ

物価と為替レートが関係するのって、海外旅行でも感覚的に理解できる気がするので、今回の購買力平価の話は身近だった気がします。
みなさんはこの購買力平価、どのように感じましたか?

アキ

購買力平価説のまとめ
一物一価の法則によって、世界中で同一のモノの価格は同じである。
一時的に価格差がある場合は、財裁定によって為替レートが調整されるため、一物一価が成り立つ。
結果としてどの通貨でも買う力が同じになることを購買力平価(PPP)と言う。
参考になった本。

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