金利平価説とは | 高金利通貨の運用と為替レートへの影響

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このページでは金利平価説についてわかりやすく解説します。
金利平価説とは外国為替レートの動きを説明する有力な理論です。

金利平価説とは、
「世界中の投機家がより高い利回りを求めて世界中の通貨で資産運用をしても、為替レートの変動を考慮に入れれば結局はどこでも運用益は同じに収束してしまう」
ということです。
  • 金利平価説の理論的解説
  • 金利平価説の計算
  • 金利平価説と金利裁定
  • 金利平価と為替レートの関係

金利平価説と為替レート

為替レートのメカニズムを説明する非常に重要な理論なので詳しく解説していきます。

金利平価説と購買力平価説の違い

購買力平価「2国間で同じモノの価格が違っても、裁定取引などで為替レートが調整され、結局は為替レートを加味すれば2国間で同じ価格になる」ということでした。

つまり、モノの価格と貿易から為替レートを考えるアプローチです。

いっぽう金利平価説とは、金融からのアプローチです。

「2国間で金利が違っていても、投機的行動によって為替レートが変動するため、結局は運用益が均(なら)されてしまうのでどの通貨で運用しても収益率は同じ」

ということです。

金利平価説が有力な理由

金利とは、その通貨の価値を反映する最も基本的な指標です。
金利には、投資として利益を得るという面と、必要な資金を調達するためのコストという面があります。

為替レートはまさに複数の通貨間の価値を反映したものです。
つまり金利は、為替レートに大きな影響を与えるのです。

金利平価説と為替レート

世界の金利は、ある秩序に沿って動いています。
そして金利は、数ある説の中でも為替レートに影響を与える主力な要因です。

日本銀行の金融政策決定会合、米FRB(Federal Reserve Board:連邦準備制度理事会)、ECB(European Central Bank:欧州中央銀行)の金融政策が市場で注目され、利上げをするのかしないのかが大きな焦点になっています。
そしてその結果次第で、為替レートは大きく動きます。

補足
金利の本質
金融取引とは、異時点間にわたるお金の取引です。
そして、金利は現在のお金の価値と、将来のお金の価値との差異のことです。
金融取引は、その差異を求めて行われます。

同じ100万円であっても、現在の価値と、将来の価値は必ずしも同じではありません。
つまり、借りるときの100万円の価値と、返す時の100万円の価値は同じではなく、差異があるということです。
差異の分は上乗せして返さなければなりません。

上のケースでは、利子の5万円こそが、その差異だということです。
差異こそが利潤の源泉であり、金銭的な差異を求めて行う取引が金融取引だというわけです。
そしてその差異は、利子という形式で現れます。

金利平価説と投機家の行動

世界中には無数の投機家がいて、資産を運用して利益のチャンスを探し回っています。
投機家が考えることは、「最も利益率が良く、かつ安全な投資先は何か」ということです。

金利平価と投資家の競争

同じような安全度の投資先があれば当然利回りが高い方が良いです。
安全かつ高利回りという投資先はすぐに売り切れてしまうので、常に新たなチャンスを探すのです。

魅力的な投機先が現れては資金が殺到し、また別のものが現れては殺到し、という状況ですから、厳しい競争にさらされています。

(画像)ニューヨーク証券取引所(NYSE)

金利裁定と裁定取引

通貨も投機先ですから、その国の通貨の金利が投機に影響します。
安全かつ高利回りであればその通貨は買われ高くなるでしょうし、低い信頼度かる低利回りであれば、通貨は売られ安くなるでしょう。

たとえば円よりも米ドルの方が高い利回りで運用ができるのなら、円を売ってドルを買い高い収益を狙います。

これは金利差を利用する取引で、「金利裁定」と言います。

購買力平価との違い
購買力平価(PPP)は、「2国間で同じモノの価格が違うなら、値ざやを狙う財裁定がなされ、為替レートはそれに合わせて変動して、結局は2国間での購買力は均衡する」ということでした。

金利の場合はどうでしょうか。
2国間でリスクは同じなのに金利が違うなら、利ザヤを狙って投資家はそのチャンスを狙います。

つまり、金利の安い国で資金を調達し、金利の高い国で投資するのです。

たとえば円は低金利、ドルは高金利であれば、日本で安く資金を調達し、米国で高い利回りで運用します。

金利裁定の取引

金利裁定の動きをより詳しく見ていくと、購買力平価と同じことが起こっていると分かります。

1 低金利の円を調達し外貨に両替
円は世界的に見ても低金利です。
ドルは比較的高金利ですから、日本で安く円資金を調達し、米国ドルで高い利回りで運用します。

この時、円を売って、ドルを買いが起こります。
一時的に円安ドル高になります。

2 運用が終わり、ドルを円に替えて円を返済
その後、ドルの資産運用が終われば、最初に資金調達のために借りた円を日本の銀行に返さなければなりません。

運用はドルでしていましたので、ドルを売って円を買います。
円高ドル安になります。

世界中の投資家は利益のチャンスを見逃しませんから、多くの投資家が同じようなことをするはずです。

円とドルで金利差が開き、裁定運用を開始しようと思っている時は、円からドルに替えますが、皆同じことをしているのですでに円安ドル高になっています。
(少し専門的なことを付け加えて言えば、皆がドルを買えば、米国債の価格が上がるため利回りが下がり、ドル運用が魅力的でなくなります。)

円安なので、円から替えられるドル建て額はそれほど多くはなくなります。

裁定運用が終わり円を返そうとする時は、ドルから円に替えます。
この時もやはり皆同じことをするので円高ドル安になっています。
ドル安なので、ドルから替えられる円建て額はそれほど多くはなくなります。

金利平価説まとめ

高い金利の通貨ドルを狙って金利裁定を行っても、裁定には外国為替の両替が必ず必要で、為替レートが動いてしまう。
為替レートの調整分を差し引けば、運用利回りは結局自国通貨のみでの運用に落ち着いてしまう

これが金利平価説です。

金利平価説を一言で定義するとこういえます。
「2国間で金利が異なる場合でも、金利裁定が行われ為替レートが調整されることで、2地域間での運用の収益率は等しくなる」

条件には、リスクなど金融資産の質が同じこと、資金移動が自由なこと、投資家のリスク許容度が同じことなどがあります。

私たちが最も注目するのは円/米ドルです。
これらの条件はほぼ満たしているため、金利平価が成り立ちやすい状況です。

金利平価説によると為替で儲けられない?
ということは、この説によれば、「金利差を利用して儲けることは出来ない」ということになります。
ただし、それでは話は終わりません。

実際に為替変動によってビジネスや資産運用でリスクにさらされることもあります。
また、金利裁定だけでは説明できない動きは現実にあります。

次以降のページでは、より詳しく解説しています。
金利平価の考えは為替レートを理解するうえで非常に重要なので、ぜひ読んでみてください。

金利平価説のポイント

金利平価説によると、2国間で金利が異なる場合でも、金利裁定が行われ為替レートが調整されることで、2地域間での運用の収益率は等しくなる。

金利平価説の活用

金利平価説をどのように活用すればよいのかを解説します。

金利を測る基本的な指標

金利を考えるうえで最も基本的な指標は、長期金利です。
つまり、10年物国債の利回りです。

10年物国債は、しっかり元本や利子が支払われるか(貸し倒れリスク)、もし資金が必要になって売りたいときに誰か買い取ってくれるか(流動性リスク)、他に安全で高利回りの商品が現れないか(金利リスク)などをもとに、投資家の売買によって日々調整されています。

日本国債は数ある投資先の中でも、最もリスクの低いものだと考えられています。
この利回りを基本に、他の投資先を比較します。

10年物国債の利回りは次のようになっています。(2017年11月時点)

日本 0.025%
米国 2.4%
(参考)楽天証券HP:https://www.rakuten-sec.co.jp/ 2017.11.10

為替レート
1ドル/113.558円
(参考)Yahoo!ファイナンス:http://finance.yahoo.co.jp/ 2017.11.10

米国利回りの方が高いのに円が全て米国債に向かわないのは、「米国債には上記のようなリスクがある」こと、あるいは「為替レートが調整されれば今の金利差水準が適正だ」と投資家が考えているからです。

参考になった本。
初心者にもわかりやすく書かれています。

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