【為替レートの理論】相対的購買力平価とは。公式や計算をわかりやすく解説

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この記事では、購買力平価説(PPP)の理論、相対的購買力平価をわかりやすく解説します。

アキ

経済学の中村教授に伺っていきます!

アキ

中村教授

中村です。
購買力平価は、外国為替レートやマクロ経済を考える、重要な理論です。
難しい理論ではなく、身近なモノの価格が出発点なので、肌感覚で理解できるのではないかと思います。
相対的購買力平価とは、2国間の物価上昇率の比較で為替レートが決定されるとする説です。他の国よりもインフレ率が高い国があれば、その通貨は減価するので為替レートは下落すると考えられています。絶対的購買力平価は財・サービスの財バスケットを組みますが、相対的購買力平価は国全体の物価を比較する点が特徴です。
よろしくお願いします!

アキ

相対的購買力平価とは

中村教授

相対的購買力平価は絶対的購買力平価の欠点を補ってくれます。

絶対的購買力平価の問題

中村教授

絶対的購買力平価は、財裁定を前提にして、財バスケットを組んでモノの価格1
つ1つを2国間で比較するというものでした。
一見合理的なようですが……
穴もあるんですか?

アキ

中村教授

あります。

それは、財バスケットに組み入れられていないモノについては考慮しない点です。
特に、非貿易財については比較の対象にならないことです。

貿易財/非貿易財

貿易財とは、自動車や小麦のように、比較的自由に貿易できるモノ。

非貿易財とは、水道・電気などのインフラや医療サービスなど、提供場所を移動できないモノ。

中村教授

貿易財ならば財裁定が働いて為替レートが調整されるというのは分かりますが、経済活動は貿易財だけでなく、非貿易財もたくさん占めています。
絶対的購買力平価では貿易財のみを扱うのですが、電気代や水道代、電車の運賃や医療費など非貿易財が考慮に入れられないのは大雑把な気がしませんか?
たしかに…!

アキ

相対的購買力平価と物価上昇率

中村教授

その欠点を補うのが相対的購買力平価(相対的PPP)です。
これは絶対的購買力平価のように財バスケットなどを組みません。

より包括的な経済の動きで考えます。

中村教授

つまり2国間の物価上昇率(インフレ率)の差が為替レートに反映されるという考えです。
これも背景には一物一価の法則のように、2国間での購買力は等しいはずだという前提があります。

相対的購買力平価の計算式

中村教授

まずは式を見てみましょう。

⊿Pt=⊿St+⊿Pt*

  • ⊿Ptは自国の物価上昇率
  • ⊿Stは為替レート変化率(自国通貨減価率)
  • ⊿Pt*は他国の物価上昇率
⊿Ptと⊿Pt*が同じ、つまり2国間で同じ物価上昇率なら、為替レートは変わりません。
⊿Ptと⊿Pt*に差があるなら、購買力が一定にとどまるように為替レートは変わります。

「計算が面倒だ!」と言う方へ

教授、式がわかりません!
相対的購買力平価も、絶対に外せないポイントを教えてください!

アキ

  • とりあえず式があって、2国間で物価上昇率を比べます。
  • 片方インフレなら、お金の価値が下がりモノの価値が上がっており、片方デフレなら、お金の価値が上がりモノの価値が下がっている。
  • 価値の上がっている通貨と下がっている通貨がバランスを取るように、為替レートが後から調整される。

中村教授

という理解で良いでしょう。

物価上昇は為替レート

中村教授

誤解されやすいのですが、日本の物価が一定で、米国の物価は上昇した場合であっても、円は米国でモノを買う力(購買力)がなくなっていくのではありません。

そうではなく、以前と同じような購買力を保てるくらいまで為替レートが調整され、円高ドル安になるということです。

仮に米国の方が物価上昇が進んでいるのに為替レートがもし一定なら、米国から円でモノを買うにはどんどん不利になりますね。
しかしそのようなことは起こらず、やはり世界中でモノの購買力は同じということです。

うまいように、物価に合わせて外国為替レートが動くんですね!

アキ

中村教授

そうです。

実際、日本政府と日本銀行は円安政策を進めていますが、日本はバブル崩壊以降、物価はほぼ変わっていません。
一方で、中国や、東南アジア諸国はインフレです。

中村教授

その結果、日本がアジア諸国から円でモノが買えなくなったかというとそうではありません。
物価上昇率の差を調整するように、円高アジア通貨安になり、購買力は大きく変わらずに来ました。

 

教授、物価と言えば、黒田日銀総裁はインフレ目標2%を掲げていますよね。

物価と為替レートの関係について、教えていただけますか?

アキ

中村教授

では金融政策と物価上昇、その狙いをお話しましょう。

金融政策の円安誘導の式

 

相対的購買力平価―日本がインフレになった場合
2013年4月から日本政府と日本銀行は金融緩和を継続してインフレを目指しています。
この狙いは、インフレを起こして円を相対的に安くし、輸出企業への追い風をつくることです。
この狙いを式で表すとこのようになります。


⊿Pt=⊿St + ⊿Pt*
↑=⊿St + →
⊿St=↑

⊿Stは自国日本の減価率ですから、これがプラスということは円安ドル高になるということです。
これなら日本のグローバル企業は有利になります。

相対的購買力平価―日本のデフレが続く場合
しかし、今のところ思うような結果が出ていません。
2016年、日本の消費物価指数は前年比マイナス0.1%、米国はプラス1.3%です。
金融緩和で日本国内に出回るお金の量は増えてはいますが、インフレは起きていません。

今後もこの傾向が維持されれば式、からこのようになります。


⊿Pt=⊿St+⊿Pt*
-0.1=⊿St+1.3
⊿St=-1.4

 

⊿Stは自国通貨減価率なので、それがマイナスということは毎年1.4%ずつ円高ドル安になっていくということです。
つまり、狙いの円安とは逆に働くということです。

中村教授

相対的PPPによれば、国内の物価が上がる、もしくは外国の物価が下がり、相対的に日本の物価上昇率が高くなければ円安にはなりません。
国内政策に限って言えば、インフレが起こらない限りどうにもならないのです。

中村教授

相対的PPPによると、日本の場合、20年間物価は上がっていませんから、円高になりやすいのです。
為替レートを予想したいなら、物価の動きを注視することは欠かせません。
相対的購買力平価ポイント
相対的購買力平価(PPP)によると、物価上昇率の差を相殺するよう、為替レートが調整される。

⊿Pt=⊿St+⊿Pt*

自国の物価上昇率=為替レート変化率(自国減価)+他国の物価上昇率

相対的購買力平価まとめ

中村教授

相対的購買力平価のまとめに入ります。

2国間の物価を比較するために、経済全体の物価の動きである物価上昇率(インフレ率)を比較します。
絶対的購買力平価のような、貿易財のみに依存しないため経済の動きをより包括的に見られます。

インフレ率を使った投機チャンスの見つけ方

2国間で物価上昇率が大きく違うのに為替レートが据え置きであれば、あとで調整されること可能性があります。
FX取引では、ファンダメンタルズ分析で活用できます。

相対的購買力平価の注意点
経済全体の動きを見ると、通貨の相対的な価値の変動だけでなく、その国特有の事情にも影響されてしまいます。

たとえば2014年に日本は物価上昇しましたが、これは経済が強くなったり、お金の価値が下がったというよりも、消費増税の影響です。

中村教授

このように、物価上昇率だけでなく、その国特有の事情を見ながら判断するのが良いでしょう。

絶対的購買力平価と相対的購買力平価のどちらを重視すべき?

絶対的購買力平価」と「相対的購買力平価」がありますが、どちらを重視するのが良いんですか?

アキ

中村教授

どちらも一長一短です。
相対的購買力平価は国全体の物価を比較しますが、個別の財・サービス価格が均一に動くわけではないので、信頼しすぎるとミスリードを起こします。
あなたの判断で、どちらも使い分けるのが良いでしょう。
ありがとうございました!

アキ

相対的購買力平価まとめ
  • 一物一価の法則世界中どこでもモノの価格が同じに収束する
  • 相対的購買力平価とは、物価上昇率が違えば、2国間通貨が減価・増価して為替レートが調整される考え

 

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