「会社を売却したい」
そんな時は、まず何を知っておくべきなのか、何に気をつければよいのかわからないものですよね。
そこで、今回はM&A事情に詳しいアナリスト村田さんが解説していきます。
アキ
アナリスト村田
会社売却や事業承継は、経営者の高齢化などが進む中、待った無しの課題です。
それでも、社長にとっては何から取り組めば良いのかわからないのが実情。
そこで、中小企業のオーナー経営者が事業承継・会社売却をする前に知っておくと役立つ5つのポイントを紹介します。
- 会社の売却先
- 売却価格の決定方法
- 査定されるポイント
- 相性の影響
- 事業の継続性
目次
今や事業承継の方法はM&Aが主流に
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それができなければ廃業・・・。
しかし近年は事業承継の手段としてM&A(事業売却)が注目されており、件数も年間数1,000件規模です。
M&Aや会社売却と言えば「乗っ取り」「身売り」というネガティブなイメージは今は薄れています。
今は、経営者の高齢化が進み、少子化による跡継ぎ不足。
そんななか事業を続けるには「親族への承継が当たり前」という理想論にとらわれず、親族で無理なら他の選択肢も選ばざるを得ないという切実な事情があるのです。
なにせそうでなければ廃業しかなく、従業員の雇用も危ぶまれ、取引先や顧客も困ってしまうからです。
廃業を選ばず、M&Aなど事業承継の選択肢を探るのは、オーナー経営者の英断。
今はそのような時代です。
ただし、M&A(事業売却)による事業承継には課題が山ほどあります。
従業員の雇用、取引先との関係、相手探し、仲介業者探し、企業価値算定、債務・・・
非常に労力を使う事業承継で、正直失敗することもないわけではありません。
そこで次からは、これだけは知っておくと良い、事業承継で失敗しないためのポイントを紹介します。
事業承継の価格とは?企業価値計算の3つの方法
アナリスト村田
つまり、「会社が何円で売れるのか?」という企業価値です。
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- 資産評価(コスト・アプローチ)
- 同業比較(マーケット・アプローチ)
- キャッシュフロー(DCF法)
資産評価(コスト・アプローチ)
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資産の欄
バランスシートの「資産欄」には、現金や売掛金、固定資産、貸付金といった資産項目が並んでいます。
純資産の欄は主に自己資本なので良いとして、負債欄には銀行からの借入金や取引先からの買掛金などが並んでいます。
これらの項目を精査して、会社全体の資産価値を分析するわけです。
例えば「資産」の欄のうち、現金や有価証券などはそのまま資産として計上できそうです。
しかし、貸付金については相手が役員のような個人であると全額が返ってくるか疑問です。
また、生産設備やソフトウエアなどについても、それが現在どのような価値なのか、バランスシートの簿価とは切り離して慎重に見極める必要があるでしょう。
このように、資産については項目と額面をそのまま受け止めるのではなく、1つひとつ価額をチェックしていきます。
負債の欄
次に「負債」の欄。
ここには長期借入金や買掛金、未払い給与などのように、負債性が高い項目が並んでいます。
これらも精査し、価額を改めて整理します。
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企業価値計算にはさまざまな方法がありますが、これは1つの基本的な流れとして覚えておいて損はありません。
同業比較(マーケット・アプローチ)
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上場企業であれば市場の株価が参考になりますが、非上場の場合は株価がつかないのでそうはいきません。
そこで、上場している類似企業や他の売却事例を参考に、売上規模や利益率などをもとに「自社の規模ならどれくらいだろう」と企業価値を計算します。
キャッシュフロー(DCF法)
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キャッシュ・フロー法)とは、将来得られるであろうキャッシュ収入をもとに企業価値を計算する方法です。
将来のキャッシュフローを現在の価値に割引いたときの価値を求めます。
割引率には銀行からの借入金利の利率やリスクプレミアムが上乗せされることが多いです。
DCF法は、バランスシートだけでは判断しきれない、将来の収入を盛り込めるという特徴があります。
例えば、資産はほとんど抱えていないものの、利益を出し続けている企業の場合は、稼ぐ力の評価を買収価格に反映できるため有利です。
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実際はどれかの方法だけが使われると言うよりも、
これら3つの観点から総合的に判断して、あとは交渉で会社の価値が決まります。
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ただ、私の専門で気合が入りすぎてしまい分量が長いのと、やや専門的な内容です。。
会社売却時の査定(デューデリジェンス)の方法
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先ほどの企業価値もそうですが、それに加えて気になるのが以下のポイントです。
- 事業
- 法務
- 財務
会社事業の継承
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特に、以下の問いかけが大切です。
「事業そのものに継続性があるのか」
「ほかの会社に売却して統合したときに、相乗効果を発揮できるのか」
「事業は世の中から必要とされているか」
売却を検討している経営者の中には、売却益を得るのが目的の人もいるかも知れませんが、中には「雇用やサービスを止めたくないのでなるべく事業を継続させたい」という人も多いでしょう。
基本的に、長く続けてきた事業は世の中から必要とされている事業なので、ぜひ続けるべきです。そして、継続して採算が取れる持続可能な事業であれば、買収したいと考える会社はあるでしょう。また、やりがいを感じて後継者が現れる可能性も高いです。
法務の健全性
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また、買収によって利益相反などのトラブルを生まないかもポイントです。
例えば、買収した後で実は買収先の会社で違法すれすれの事業をしていたのが発覚したというケースもあり得ます。
そのような事実が後に発覚しないように、法律的な観点から会社をチェックすることがあるのです。
もっとも、ほとんどの会社が真っ当な事業をしており、法的に怪しいケースは稀です。
ただ、買収や後継者への継承という大きな取引をする以上、念のため健全性を確認するようになっています。
財務の状態
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もし事業が順調で、持続性が高いなら企業価値を高く見積もってくれる可能性が高いでしょう。
一方、債務多過であったり、慢性的な赤字だと、買収元も後継者も慎重になるでしょう。
ただし、債務があったり赤字だからM&Aは絶対にダメということではなく、M&Aなどで相乗効果を発揮すれば十分に魅力的と評価される可能性もあり、将来性を見込んで話が進むケースもあります。
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M&Aでの売却先企業との相性
アナリスト村田
あなたの会社が、事業性が高く、法的にもちろん問題がなく、財務も健全で魅力的だとしても、だからと言って「ぜひ会社を売却したい!」という買い手と巡り会えるとは限りません。
なぜなら、売却するあなたの会社と、買収する会社との相性があるからです。
あなたが事業の継承を考えているということは、従業員の雇用継続、技術の継承、取引関係の継続、顧客へのサービス維持などな理由があるはずです。
そういったオーナー社長の思いや希望について、理解してもらえる買い手がいれば問題ありません。
しかし、M&Aはいわば結婚です。
単純な事業承継ならまだしも、事業統合の場合はどうしても相性の問題があります。
売却金額、従業員の扱い、事業の方向性など、すり合わせが必要な項目は山のようにあのです。
そして、M&Aは手続きが完了すれば終わりではなく、「PMI」(Post Merger Integration)という統合プロセスがあります。
相性がよければこの統合がうまく行きやすいですが、相性が悪ければ苦労する可能性があるのです。
経営者不在での事業の継続
アナリスト村田
経営者であるあなたは、事業においてもキーパーソンであるはず。
例えば、このような状況だとあなたが経営者を退いた時、事業が継続できるか心配です。
- あなたが会社の内情に熟知している唯一の人物で事業に不可欠
- 技術的も知識もあなたがもっとも優れた人材である
- あなたの人脈によって会社が成り立っている
アナリスト村田
実際、ここが一番の悩みのタネかもしれません。
アナリスト村田
アナリスト村田
課題があっても、良い相談相手を見つければ良い買い手とマッチングできるかもしれません。
「会社を売りたい」M&A・会社売却の相談は誰にすべき?M&A仲介会社の特徴
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