中村教授
どちらも競合他社に優位性を発揮するために重要なポイントです。
目次
規模の経済とは
中村教授
生産量の増大に伴い、原材料や労働力に必要なコストが減少する結果、収益率が向上すること。
スケールメリットを活かした企業活動を指す。
【引用】コトバンク https://kotobank.jp/word/規模の経済-2671
規模の経済性(Economiesofscale) 規模の経済性とは、事業規模が大きくなればなるほど、単位当たりのコストが小さくなり、競争上有利になるという効果。
【引用】グロービス知見録 MBA経営辞書「規模の経済性」
https://globis.jp/article/1825
規模の経済の例
中村教授
1人で1個作るのと、10個作るのではどちらが効率的でしょうか。
もちろん時間がかかるのは後者ですが、ケーキ1個当たりの時間でみると、当然後者の方が早いはずです。
これは材料を買ったり、デザインを考えたり、ホイップクリームを混ぜたり、盛り付けをしたり、などあらゆる仕事を10個分まとめて同時にできて効率的だからです。
これは規模が増えれば増えるほど、追加的費用が徐々に下がっていく(費用逓減)効果があるためです。
事業の場合は店舗や広告費、人件費、物流費などの固定費率を下げ、原材料費や促販費(インセンティブ)などの変動費率を上げれば利益が出やすくなります。
範囲の経済との違い
中村教授
規模の経済はあくまでもひとつのことをより大きな規模で行う時に使いますが、範囲の経済は別々の複数のことを同時に行うことを言います。
例えば医薬品を開発していれば、食品や化粧品など、別のことにも応用が効きますし、食品や化粧品などで培った知見が医薬品にも生きる可能性があります。
これは医薬品ひとつだけに集中していた時よりも開発が効率的なので、効用が大きい=良いと言えます。
同業ではなく、関連したビジネスを次々と買収するソフトバンクや日本電産のような企業が、範囲の経済性を追求している企業です。
規模の経済とコスト優位
中村教授
費用とは、「売り上げを実現するためのあらゆるコスト」を指します。
製造コスト、原材料費、研究開発費、物流費、促販費、広告費など……
この話のポイントは、「ライバルも自社と全く同じ製品を作って同じやり方で売る」ことです。
顧客からすればどちらを買っても得られる価値は同じです。
ふつう、ライバルどうしで価格は同じになります。
コスト優位は低価格でシェア増加
中村教授
多少の違いはあっても顧客からすれば大体同じようなものとしか映らないわけですから、価格は横並びになります。
そして何社も全く同じものを提供しているのであれば、シェアは全社で均等になります。
その時、もし自社だけ、同じシェアを保ち製品の品質を保ちながら、その製造コストや広告費などを安く抑えられることができたとしたらそれはコスト優位です。
おそらくその企業は、他社よりも少し安い価格を提示しても、まだ利益を出せる水準にあるでしょう。
顧客からすれば同じ製品が安く買えるわけですから自社の製品が市場シェアを増やすのは目に見えています。
コスト優位と競争の現実
中村教授
しかし、現実に同じ製品を自社だけ安いコストで作るということが本当に可能でしょうか。
低コストは真似される
たとえば原材料、人件費、物流費などどれをとっても、どの企業もなるべく安い場所で原材料を知りたいと思うに違いありません。
もしある1社だけが安く仕入れているなら、他のライバルもその情報をなんとしても突き止めて同じところから仕入れるはずです。
人件費の安い中国に工場を作っていて成功している企業があれば、当然ライバルも真似します。
人件費の安いカンボジアで作っているところがあればそれも真似するはずです。
高級イメージも真似できる
高級車市場でもそれは同じで、メルセデスの高品質で贅沢感を与えるブランドイメージも、その車の質や、広告やそのディーラーの丁寧な教育された接客によって作り上げられています。
これはコストがかさみます。
どこのメーカーも同じように研究開発費やプロモーション費用や接客担当の教育費や人件費がかかるのです。
結論は、「どこかの企業だけが有利な条件で安価な資源にアクセスすることは出来ない」ということです。
「規模の経済」はコスト優位の唯一の戦略
中村教授
それは非常に単純ですが、規模の経済です。
規模の経済のしくみ
中村教授
全体的な平均費用が下がります。
原材料を仕入れる時も、大量一括購入によって他社よりも有利な条件で買い付けることができます。
なんて単純な戦略なのだろうと思います。
しかし、実際のところ、競争の激しい業界にあってはこれしかないのです。
コンビニ業界でも、2016年、シェアでセブンイレブンやローソンの後塵を拝していたユニーとファミリーマートが合併して業界2位になりました。
仕入れ価格や物流コストや広告費を相対的に下げる狙いでしょう。
2017年4月、石油元売り大手のJX(ENEOS)と東燃ゼネラル(エッソ、モービル、ゼネラル)が合併しました。
出光と昭和シェルも合併しようと試みています。
どんなビジネスでも、決定的な差別化を図ることが難しい場合、これらの例が示すように、規模を追い求めるしかありません。
シェア争いに躍起になるのは、確実に固定費を下げる良い方法がそれしかないからです。
単純な話ですが、経営資源にアクセスできる力はどの企業もほとんど一緒なわけですから、どこかの企業だけが独占的にコスト優位であることを許してはくれません。
ファストリが低価格路線で成功してきたのは(最近は苦戦気味ですが)、まず店舗の広さも店舗数も図抜けていてシェア=規模が大きいからという点を見逃してはいけません。
しまむらは1428店舗(2020年2月)ですが、ユニクロは2196店舗(2020年1月)です。
投資すべきは価格競争でない事業
中村教授
顧客のロイヤリティが得られないのは辛いのです。
むしろ初めから大量のシェアを抱えていて誰もそこに参入しようと思わないくらいの顧客をホールドしている寡占企業が望ましいです。
(あるいは「将来的に市場シェアを席巻するのが確実」と見込める企業)
やはり世界最高の時価総額グループであるアマゾン、グーグル、フェイスブック、マイクロソフト、アップルはその点でも間違いなく優れているのです。
どれだけ優秀な人材の確保に人件費を費やしても、市場規模が超巨大なので、人件費などの相対的な固定費率は下がります。
ですので利益が出やすい体質なのです。
- 同じ仕事を今よりもより大きな規模で行うことで、効率的に費用を抑える戦略。
- 高シェアの企業は相対的に広告費・人件費などの固定費率を下げられるため競争でコスト優位。
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