この記事はファイナンスに詳しい、元証券アナリスト村田さんプレゼンツです。
村田さん、よろしくお願いします!
アキ
アナリスト村田
今回は、ファイナンス理論を使って、わかりやすくDCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)、割引現在価値、そしてリスクプレミアムを解説します。
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株式投資、事業投資、M&Aで、現実的で厳密な企業価値を計算したい方には役立つ方法です。
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しかし、ポイントを押さえれば決して難しいものではありません……。
- DCF法の計算と割引現在価値
- DCF法の金利とリスクプレミアムでの割引率設定
- DCFと企業価値評価
DCF法とは
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単純に将来のキャッシュフローの合計で理論株価を求めるのではありません。
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- 1.保有してしている資産の価値
- 2.将来のキャッシュフロー
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しかし、実はこれだけではまだ不十分です。
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- 今と将来のお金の価値は違うかもしれない
- 将来のリスクは誰にも分らない
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もちろん、債券や不動産でも同じです。
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割引現在価値(ディスカウント)とは
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必要な要素は、ふたつです。
- 金利
- リスク
金利
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「今貰えるお金と、将来貰えるお金では、同じ額でも価値が違う」
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リスク
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株式なら企業の業績に左右されます。
債券なら、信用リスクがあります。
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もし変動が大きくリスクの高い企業なら、そのリスク分を上乗せ(リスクプレミアム)を支払う必要があります。
- DCF法とは、将来のキャッシュフローから理論価値を計算する方法
- キャッシュフローは将来貰うため、時間とリスクの価値を現在価値に割引く
- 割引計算は、金利とリスクプレミアムを使う
DCF法と割引計算
アナリスト村田
DCF法は、金利とリスクで将来のキャッシュフローを現在価値に割引く方法ですが、まずは金利を使ってディスカウントするプロセスを見てみましょう。
割引率を金利で設定し割引計算をしてみる
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DCF法とNPV(正味現在価値)
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「将来の収入や投資額をひっくるめた、正味(ネット)の投資の価値」がわかります。
もしネットプレゼントバリュー(NPV)がゼロなら投資による収支はゼロ、プラスなら投資すれば利潤が出る、マイナスなら損失です。
株式投資や事業投資を考えるとき、その投資が生み出す本質的な価値と、投資コストを比較します。
ネットプレゼントバリュー(NPV)は、表面的な額の収支だけではなくて時間も加味した本質的な価値を評価できるのです。
NPV=将来のキャッシュフローCFの総額の現在価値―投資コスト
このように考えれば、この投資案件は決して収支ゼロではありません。
ネットプレゼントバリュー(NPV)を計算してみましょう。
将来のキャッシュフローを現在価値に割り戻すと収支はマイナスになります。
これが上場企業だとすると、時価総額が500万円で企業価値は436.9万円であるので割高です。
このような場合は、差額の−63.1万円がNPVです。
NPV=(1年目の収入の現在価値)+(2年目の収入の現在価値)+・・・+(5年目の収入の現在価値)−500
=(95.2+90.7+86.4+82.3+78.4)−500
=−67.1
DCF法の割引率の設定
アナリスト村田
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たとえば銀行預金の金利や、安全とされる10年物国債の利回りなどは1年後増える利回りを表します。
またその企業のリスク(ボラティリティ)に応じて、最低でもそれを加味した分以上は割引いて考えます。
もちろん、国によっても変わります。
日本のような成熟した先進国なら急成長は難しいため金利は低くなる傾向があります。
当然、割引率も低くします。
中国やインドのように急成長している国なら、金利も割引率も高く設定します。
シンプル!DCF法での理論株価の計算式
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時間とリスクを気にしなければ、企業価値はこのような式になります。
ファイナンス理論を使い、時間とリスクを考慮に入れて、「割引」と「株価変動のリスク(ボラティリティ)」の考え方を加えれば、こうなります。
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株価が下がる条件は、「金利が高くなり、その企業のボラティリティが上がること」です。
全く同じキャッシュフローならば、金利が低く、信用リスクが低い日本株は、理論株価は高いです。
金利と信用リスクの高い中国では、株価はそれほど高くなりません。
DCF法とリスクプレミアムの計算
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リスクとは価格変動
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ですから、まっとうに考えれば株式投資や事業投資のリスクは、企業が思うような業績を残せず利益を生み出せないことがリスクになるはずです。
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しかし、ほかにも多くのリスクがあります。
- 流動性リスク(売りたいときに売れるかどうか)
- 元本割れリスク
- 破産リスク
- インフレリスク(価値が損なわれる)
- 価格変動リスク
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リスクとはボラティリティ(価格変動)
実際、株式投資を考えるほとんどの方が株価の上下に主な関心があるのではないでしょうか。
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こう考えられている理由はボラティリティが高いほど株価が値下がりする可能性も高いからでしょう。
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常に株価が上昇方向に動いてくれるならよいのですが、上がり一辺倒などあり得ませんから。
DCF法で計算するリスクと任天堂
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しかし7月に世界各国で「ポケモンGO」を配信し、その人気ぶりに火が付き業績に期待が集まり、一気に投資家の資金が流入、取引が急激に増えました。
株価を見ても一目瞭然です。
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投資家のリスク回避的姿勢がリスクプレミアムを要求する
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回避的というのは、「必ずしもリスクの低いものを好む」ということではなく、「リスクの度合いに応じたリターンを要求する」ということです。
「リスクがあるところに投資しているのだから、相応のリターンをよこせ」
これがリスクプレミアムです。
1年間の値動きの平均値が100円の銘柄が2つあった時、値動きの小さい方は「99円辺りで買っても良い」と思う投資家が多く、値動きの激しい方は「95円くらいでなければ買いたくないと思う投資家が多い」というようなことがあり得ます。
これも先ほどの時間に関する割引率計算と同様、企業の生み出すキャッシュから、リスク分を割引くのです。
95円の銘柄は、99円のに比べてリスク分を多くを割引かれてしまいました。
企業からしてみればこの余分に支払った(投資家から受け取るはずものを受け取れなかったのだから支払ったと同じ)4円がリスクプレミアムです。
投資家にとってみれば、この多めに4円要求することがリスクに対する備え(ヘッジ)になります。
アナリスト村田
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リスクプレミアムとβ(ベータ)で割引計算する方法
アナリスト村田
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見慣れない用語ですが、中身は簡単です。
ベータとは、市場平均の株価の変動に対して、個別企業の株価がどれだけブレがあるかという指標です。
日経平均と全く同じように動く企業は「ベータが1」、ソフトバンクや任天堂のように日経平均よりも値動きが激しいなら「ベータは1より高い」、NTTのように緩やかなら「ベータは1より低い」と言います。
リスクは価格変動のことですから、このベータに応じて、リスクプレミアムを計算します。
DCF法のメリットとデメリット
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DCF法のメリット
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金融取引の最大の特徴とは、時間とリスクを伴う点にあります。
時間については、それを数値化し将来のキャッシュを適正に現在価値に落とし込むと、より株価(債券、不動産も)が現実的になります。
企業が将来永遠にキャッシュを生み続けるからと言って企業の潜在価値が無限大になるわけではありません。
キャッシュの額を一定とすれば、物価上昇や経済成長が早く、割引率が大きければ株価は下がります。(現金の価値が減ってゆくため)
景気が悪く、割引率が下がれば株価は上がります。(現金の価値が相対的に高くなるため)
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DCF法のデメリット
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株式投資家とDCF法
アナリスト村田
むしろ財務諸表分析に労力を注ぐべきでしょう。
投資は、株でも事業でも将来の利益の評価が命です。
しかし、投資である以上、投資の利回りやリスクなどを数字で測るとより具体的な運用の話ができます。
初心者の方は、「どこかで参考になるかもしれない」と気に留めておく程度で、まずは利益を重視するの企業価値評価を理解してから、次のステップとしてこのような考えを応用できると良いと思います。
- DCF法とは、将来のキャッシュフローを現在価値に割引く理論価格の計算方法。
- 割引計算には、金利とリスクプレミアムを使う。
- 株式だけでなく債券や不動産でも使える。
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