企業価値とは何か。意味や計算をファイナンス理論で解説。

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企業価値の意味や評価・計算方法をわかりやすく解説します。

企業価値の考え方を理解すれば、経営者やビジネスパーソンとして「投資家の目線」を取り入れることができます。

ビジネスは利益を出すことが究極目的です。
正しい企業価値は、リターンとコストのバランスを考える事です。

よって、正しい企業価値を理解すれば事業価値にも応用できるので、経営のキモがわかります。

また、最近は経営者の高齢化や人手不足を背景にM&Aや事業継承で、非上場企業の企業価値も注目されています。

今、正しい企業価値の考え方を身につけることは必ず役に立ちます。

  • 企業価値の意味は?
  • 企業価値の向上方法は?
  • MBAビジネススクールで教える計算方法は?

「企業価値」という言葉が流行って、経営者もビジネスパーソンも投資家も「企業の価値を上げよう」という風潮は良いものだと思います。

しかし、この企業価値、非常に誤解されています。

中には、「こんな単純な会計数値を組み合わせただけの指標を企業価値なんて呼んで経営判断してしまったら、かえって逆効果になる」と思うものもあります。

そこで、

  • 企業価値についてのよくある誤解
  • 正しく役に立つ企業価値とは
を解説します。

企業価値の意味

まずは企業価値の意味についてエッセンスを解説します。
企業価値の評価方法については後でくわしく解説します。

企業価値は、2つの要素に分けられます。

  • 企業の保有資産
  • 将来のキャッシュフロー

順番に解説していきます。

企業価値と企業の保有資産

企業は様々な資産を保有しています。
資産は在庫、不動産、工場、特許、投資している株や債券、子会社の株などを示します。

バランスシートという会計上の帳簿には、資産の品目も価格も記載されています。

しかしここで、ある乖離があります。

企業価値と株価(時価総額)

企業が抱える資産の価値と株価は必ずしも一致しません。
短期的に株価は上下しますが、資産価値はそうそう変わるものではないからです。

極論すると、120億円の不動産を所有している企業を、株式市場の暴落に引きずられて100億円で買えてしまう場合もあるのです。

100億円の現金保有していて実質無借金の企業が、90億円の時価総額(市場で企業を変える値段)をつけていることもあります。

ですので、会社が出しているバランスシートや株価を丸ごと信じ込んで、「帳簿上の資産の総額が現在の価値だ」と考えてはなりません。

会計や株価は、必ずしも現在の資産の本当の価値を反映するわけではないからです。

企業価値で、資産価値を分析するときは単にバランスシートだけを見てもダメで、中身の時価も考える必要があります。

企業価値とキャッシュフロー

ふたつめの将来のキャッシュフローとは、「企業が稼いだ自由に使える現金」のことです。

経営者にとっても、株主にとっても、リターンがすべてです。
コストはキャッシュ(現金)で支出するのですから、その見返りは必ずキャッシュ(現金)でなければなりません。

だから将来稼ぐ自由にできるキャッシュフローが重要なのです。

補足
もちろん、仕入れ先に払わなければならない買掛け金(かいかけ)や、工場を修理・拡大するための設備投資や、銀行に払う利息などがあります。
それらのコストをすべて差し引いて残った、現金は企業の内部に留保してもよし、投資家に配当金として還元してもよいものです。

その残った自由にできる現金が、最も重要な「実質的リターン」です。

現在保有する資産の話でも触れましたが、このキャッシュフローとは会計の「純利益」とは別です。

やはり会計の「純利益」も、実際の現金の動きを反映しているわけではありません。

会計ルールでは、まだ入金されていないが発注を受けた商品を今年の売上高に含めることもできます。
また、まだ払っていおらずいつか仕入れ先に支払う買掛金も、今年払ったかのように計上できます。

黒字倒産の企業は、発注は受けて売上は計上して帳簿では利益が出ているのに、取引先からの入金が遅くて運転資金が尽きてしまうから起こるものです。

ビジネスパーソンも投資家も、企業価値と聞いて、このような会計上の「利益」と、実質的な収入である「キャッシュフロー」のどちらが良いでしょうか?

現実的なのはキャッシュフローです。
ですので「未来に稼ぐキャッシュ」が企業価値の2つ目です。

ここまでのポイント
  • 企業価値は、キャッシュをベースに考える。
  • ひとつ目は現在の資産の時価
  • ふたつ目は将来のキャッシュフロー

企業価値の計算

企業価値の計算方法を解説します。

ここが企業価値の核心です。

 

1つ目の今保有する資産の価値については比較的理解しやすいと思います。

しかしキャッシュフローについてはやや解説がいるので、もっと深く考えてみましょう。

 

企業価値とリターン・コスト

シンプルで根本的な問題で、キャッシュフローが何かというと、リターンとコストとの差です。

企業価値を生むのは、リターンがコストを上回る時だけです。

とても当たり前の話をします。
単純化するため、ほかの条件は一切抜きです。

日給5000円で、交通費が往復6000円かかるならそのバイトの価値は明らかにマイナスですね。

バイトをするなら、日給は交通費を上回らなければなりません。
同じ条件で交通費が1000円なら、バイトの価値は4000円です。

これと全く同じで、企業活動も投資も、リターンが常にコストを上回る必要があります。

企業活動のリターンとコストとは何か。
それがROICWACCです。

くわしく解説するとやはり本が書けてしまうくらいですがとても重要なので、エッセンスだけを解説します。

企業価値とROIC(投下資本利益率)

リターンのROICとは、「企業が投資した資金に対して、どれだけキャッシュフローが稼げたのか」を示します。

下ではふたつのポイントを解説していますが、やや専門的なので大枠を知りたいという方は読み飛ばしてください。

重要なのは、会計上の「利益」ではなく、実際に投資した額と手元に残ったキャッシュを比べれば、その企業の資金効率がよくわかるという点です。

1 遊休資産を除いて考える
遊休資産とは、その名の通り、事業とは直接関係なく保有している資産のことです。

歴史ある企業なら営利目的でない博物館や、従業員の保養施設、社長の趣味の絵画、普段全く売買しないし今後も動かないであろう持合い株などでしょうか。

 

このように、事業に使われていない資産もバランスシートには記載されています。

資産効率を考える時、これらも含めて考えてしまうと、
「これだけたくさんの資産があるのに、リターンのために有効活用できていない、非効率だ」
となってしまいます。

 

これは資格勉強で、勉強時間ではなく勉強期間だけで効率的かどうかを判断するようなものです。
「1年のうち100時間で合格する」のと、「1ヶ月300時間かけて合格する」
時間を効率的に使ったのは、間違いなく前者です。

 

経営も同じです。
あらゆる事業に関係ない資産までも含めてしまうと、本当の稼ぐ力とは言えません。
ですので、なるべく企業の事業目的の資産だけを考えます。

 

2 利益をキャッシュフローで考える
今までの繰り返しですが、リターンを単に「純利益」としてしまうと会計の誤差も含んでしまう問題があります。

 

そこでNOPLAT(ノプラット)という指標を使います。

NOPLATとは、簡単に言うと「純利益ではなく、企業の手元に残ったキャッシュフローの額」です。

 

計算は複雑なのですが、考えはシンプルです。
企業価値を測るときは、会計上の利益よりも、実体のあるキャッシュの稼ぎが大切なので、キャッシュフローを分析しようという考えです。

 

この2つのポイントを守るだけで、かなり高品質なリターンが計算できます。

企業価値とWACC

コストのWACC(ワック)とは、「企業が抱えている資金を調達するためにかかるコスト」です。

企業の資金調達(コーポレートファイナンス)の方法には、主に2つがあります。

  • 株主からの投資(エクイティファイナンス)
  • 社債を発行して買ってもらう、銀行融資に頼るなどの借金(デッドファイナンス)

当然どちらもお金を出してもらって終わりではなく、見返りとして配当金や利息などを支払わなければなりません。

この支払は企業からすれば「資金調達のコスト」と考えられます。

理想は、「負債であれ、資本であれ、どんな形であっても、有利な条件で資金を集められるほど魅力的な企業になる」です。

たとえば支払利息は少なくても、株主への還元が多ければ、それは良いとは言えません。

良い企業の基準は、

出資や融資などの形式はどうであれ、調達したお金総額にどれだけのコストがかかっているか

で計算します。

WACCとは、「この資産全体を調達するためにかかった総コスト」を表します。
ごまかしがきかない、最も合理的な指標です。

企業価値の計算まとめ
  • 企業価値はリターンとコストの差
  • リターン=ROICとは、手元に残った自由にできるキャッシュ
  • コスト=WACCとは、負債か資本かは問わず資金総額の調達にかかるコスト

一般的な企業価値の評価方法と問題

ここまで解説してきたキャッシュ重視のアプローチとは別に、有名な企業価値の評価方法も紹介します。

しかし、それらは課題も多く、あくまで参考として考えることをオススメします。
企業価値はキャッシュを軸に考えれば大きな間違いを防ぐことができます。

コスト・アプローチ

コスト・アプローチ(ネットアセット・アプローチ)とは、財務諸表のバランスシートを見て、「企業が今保有する資産」だけをみて企業価値を計算する方法です。

バランスシートの資産欄には、資産価値を計算しやすい項目が多いのはたしかです。
バランスシート

「流動資産」として、現金以外にも商品・半製品・原材料などの在庫があり、これは一定の資産価値を持ち推定しやすそうです。

「固定資産」として、有形のものなら工場・建物・機械などがあり、これには時価がつきます。
無形のものなら、特許や子会社のブランド価値(のれん)などもあり、これも価値が推定できそうです。

また、投資用の株・債券などのわかりやすい有価証券もあり、時価を測るのが簡単です。

このように、企業が保有する資産項目は計算するのが比較的簡単です。

たしかにコスト・アプローチはある意味では有効かもしれません。

実際に、もともとバリュー投資で有名なバフェットの師であるベンジャミン・グレアムが似たアプローチで成功しました。

 

しかし問題点は、今の資産のことしかフォーカスしていないことです。

これまで解説してきたグローバルスタンダードの企業価値とは、「今の資産」と、「これから稼ぐ現金」の合計でした。
そして、むしろ将来の現金こそが企業価値の大きな部分を占めます。

しかし、このアプローチでは将来のキャッシュフローを完全に無視しているのはいただけません。

たとえば創薬ベンチャーや医療系メーカーのベンチャーなどは、研究開発に多額の資金を投じており、新薬の開発に成功するまではずっと赤字です。

そーせいグループ(東証マザーズ4565)もサイバーダイン(東証マザーズ7779)も構造は同じです。

芽が出るまでは資産価値がマイナスであることもしばしばです。
しかしいったん軌道に乗れば、業績の伸びに大きな期待ができます。

コストアプローチでは、これらの「将来性はあるが今は資産価値が低い企業」は切り捨てることになってしまいます。

赤ん坊を見て、「今はまだ経済力がないから、この子はダメだ」というようなものです。
ビルゲイツも孫正義も、皆はじめは赤ん坊からスタートしたというのにです。

マーケット・アプローチ

マーケット・アプローチとは、同じような事業の競合他社と自社を比較して、企業価値を推定する方法です。

上場企業であれば市場の株価が参考になりますが、非上場の場合は株価が日々つかないのでそうはいきません。

そこで、上場している類似企業を参考に、売り上げ規模や利益率・シェアの割合までを見て、「自社の規模ならどれくらいだろう」と企業価値を計算します。

同業他社を参考にする方法は、企業価値評価に限らず多くの場面で使われますが、これも問題を含みます。
自社と完全に合致する事業構造・多角化の具合の企業など存在しません。
また、自社ならではの特殊な事情は考慮されません。

よく投資の世界では市場平均を上回ったかどうかで善し悪しが判断されますが、
市場平均を上回ったからと言って、目標に達しなかったことが許されるわけではありません。

この比較型のアプローチは、キャッシュを分析しようとしてどうしてもわからない部分ができてきた時の最後の手段でいいと思います。

インカム・アプローチ(DCF)

インカム・アプローチとは、将来のキャッシュフローをもとに企業価値を計算する方法です。
インカム・アプローチの代表であるDCF法(ディスカウントキャッシュフロー)は、さらに将来のキャッシュフローを現在の価値に割引いたときの価値を求めます。

※「割引」についてはこちらのページで

DCF法とは?割引率・ベータや計算式もわかりやすく解説

これはここまで解説してきた、将来のキャッシュに重きを置く方法と基本的な考え方は同じです。
問題点として、「将来の不確実性がある中で、どのくらい正確にキャッシュフローを予測できるのか」という疑問はあります。
しかし、キャッシュフローの予測も明らかに合理性があるのであれば、これは非常に有効なアプローチになります。

ROE・PER・PBRなどの指標

ROE・PER・PBRなどの会計指標は非常にわかりやすく便利です。

しかし、繰り返しですが「財務会計」は企業のキャッシュをベースに考えられたものではありません。

  • ROEは株主資本に対して「純利益」を求めます。
  • PERは「純利益」に対する株価を見て、「投資が何年で回収できるのか」を示し、割安度を測ります。
  • PBRは、株主資本に対して株価を見て、企業の清算価値を測ります。

ここで登場する「純利益」や「株主資本」が厳格に企業の現金価値を表すものならばよいのですが、残念ながらそうではありません。
会計のあいまいさは何度も指摘してきたとおりです。

このように、企業価値の評価や計算には様々な方法がありますが、実は非常に物足りないものばかりです。
全否定するわけではなく、ひとつの取っ掛かりとしての材料としては使ってよいとは思います。

堅実なのは、「キャッシュをベースにしたうえで、必要に応じて一般的な複数のアプローチや指標を組み合わせせる」です。

企業価値のまとめ

ざっとおさらいします。

企業価値のスタンダード

企業価値とは、「1 企業が今保有している資産の価格」と、「2 企業がこれから稼ぐ自由に使えるキャッシュフロー」の合計だと解説してきました。

ただし会計は誤差をはさむことが多いので、バランスシートなどを鵜呑みにするのではなく、

「1 企業が今保有している資産の価格」は、「工場や特許やブランド価値や保有株式など、あらゆる資産を今の値段にするといくらで売れそうか?」を考えればよい。

「2 企業がこれから稼ぐ自由に使えるキャッシュフロー」は、「純利益」ではなく、「ROICという現金のリターンと、WACCという資金調達コストの差で測る」

これがグローバルな投資家の間ではとてもスタンダードな企業価値です。

企業価値の誤解

よく新聞ニュースでは

  • 環境保護やフェアトレードだ
  • 従業員を家族のように大切にしているかどうか
  • 社会で愛されているか

これらは企業経営として大事ではないわけではありませんが、企業価値を考える時はいったん忘れてください。
これらが良いからと言って必ず企業価値が向上するわけではありません。

グローバルで適切な企業価値とは精神論ではなく、もっと具体的で数値化できるキャッシュです。

補足
繰り返しますが、「企業倫理的なことが重要ではない」と言いたいわけではありません。
これらは企業も社会の一員として当然守るべきマナーで、企業を見る時に重視するポイントです。
ただし、「企業価値」という時はあくまでも利益やキャッシュが重要です。

企業価値の理解はここで役立つ

では企業価値の考え方をいつ役立てればよいのかを紹介します。

企業価値と投資

株式投資にも色々なスタイルがありますが、インデックスファンドと、バリュー株投資について。

補足
インデックスファンドは、ファンドが勝手に分散投資をして、日経平均やTOPIXなどと連動して動く市場平均の銘柄です。
補足
バリュー株投資とは、企業価値をしっかり計算して、割安なタイミングで買って長期保有するスタイルです。
このバリュー投資方法は「企業の価値と株価は別で、株価は短期的に大きく上下することがある。
しかし長期的には必ず企業の本来の価値に収束していく」という前提です。

バリュー投資は「いつ株価が本来の価値にまで上がるか」までは断言できないので長期保有なわけですが、だからこそ投資の成功率を高めるためのポイントは適正で正確な企業価値評価です。

企業価値評価の計算方法や方法を間違っては致命傷になるので、この企業価値評価はしっかりと勉強してきました。

ただし、「学問的に正しい方法」とか業界の通例は自己満足で実務では意味がないことが多いです。

そこで、実際にファイナンスの専門家でもあり成功を収めたウォーレンバフェットや、企業価値の向上にシビアな米国をはじめ世界展開しているマッキンゼーアンドカンパニーなどのコンサルティング企業の方法が堅実なのではないかと思います。

企業活動や投資の本質は1000年経っても変わるものではないので、この先ずっと応用できます。

企業価値評価とビジネス

この方法を知っていれば、ビジネスでも投資でも大間違いを避けられ勝率は必ず上がります。

M&A・事業承継
M&Aや事業承継の時にも役立ちます。

上場企業の場合、時価総額=企業価値と言われることがありますが、株価は短期的に動き企業価値とは乖離してしまうことがあります。
また、時価総額だけではあなたの企業とのシナジー効果を正確には判断できないため、時価総額だけをあてにするのは危険です。

非上場企業の場合、日々株価がつかないため市場で適切な株価を判断する方法がありません。
似通った同業他社と比べる方法もありますが、自社の特殊性までは測ることができません。

この時でも、適切に株価を測る方法があれば役に立ちます。

このように、企業価値評価の考え方は経営の重要な局面でも役に立ちます。

企業価値の向上経営

上場企業の経営者は常に時価総額=株価 を高める方法を考えるものです。
また、事業の売却を考えている経営者も同じです。

それは間違ってはいませんが、企業価値を誤解していれば、いくら頑張っても価値が上がるどころか、経営資源の無駄遣い、あるいは逆効果になる場合もあります。

経営者・ビジネスパーソンならば「この事業投資は、どれだけのコストがかかって、どれだけのリターンを上げるのか」

どんな仕事でも「この選択には実はコストは何時間かかって機会費用はいくらで、それに見合った効果が期待できるのか」

M&A・事業を動かす関係者なら「適切な取引の落としどころはどう交渉すればよいのか」がわかります。

「リターンとコストの差のキャッシュフローが企業価値を高めるもので、それ以外は利益に結び付かない限り企業価値ではない」

ということを忘れないでください。

企業価値のまとめ
  • 企業価値は、資産とキャッシュフローのふたつ
  • 企業価値は、リターン(ROIC)とコスト(WACC)の差から生まれる
  • 様々なアプローチがあるが、キャッシュをベースに考えれば間違いが少ない

企業価値のこれから

ここからは、企業価値について役立つ出来事やニュースを、臨時で更新していきます。

日本経済新聞 日本版エグゼクティブ教育研究会 広告

経営の後継者人材育成という点で、一橋大学の伊藤邦雄教授のコメントです。

1990年代以降は、企業価値、つまり競争優位の源泉は、有形資産から無形資産へとシフトした。世界中の実証研究でも明らかなように、今では企業価値のほとんどは無形資産が占めている。そして、無形資産の中核的な存在は人材である。

たしかにバランスシートには、ブランド価値や人材の価値は載りません。
コカ・コーラやアップル社には他社が追いつくことのできない特権を持っています。
グーグルやフェイスブックにはデータセンタなどの有形資産よりも、優秀な頭脳が利益を生み出すビジネスをしています。

情報ビジネスで生存するための条件について、「差異こそが利潤である」と、経済学者の岩井克人氏がとても鋭く興味深い論考を展開しているので、ぜひこちらの記事もご覧ください。

「会社はこれからどうなるのか」資本主義で生き残るビジネスの条件

従来の商業・工業ビジネスでは問題なかった財務諸表ですが、いまの情報ビジネスでは根本的に企業の正確な価値を記述することは限界に来ています。

今の時代の企業価値は人材であり、社員が活躍できる環境としての会社組織です。
情報ビジネスで生き残るには、優秀な人材を集め、人材に投資することが唯一最大の武器です。

上で、さんざんマネーの点から企業価値を述べてきましたが、経営者は「人としての企業価値」を念頭におく必要があります。

 

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