この記事では、WACC(ワック、加重平均資本コスト)について解説します!
アキ
(Weighted Average Cost of Capital|有利子負債・株主資本の税引後加重平均コスト)
$$WACC=\frac{資本×CAPM+負債×負債コスト(1−tax)}{資本+負債}$$
WACCはよりシビアに企業収益の実力を測る指標らしいです。
最近新聞などで聞くようになったので、気になっていました。
アキ
村田さん、よろしくお願いします!
アキ
アナリスト村田
WACCは最近になって、やっとよく聞くようになりました。
ですが、本当はもっと知られても良い資金効率の指標だと考えています。
WACCはどのような方に役立ちますか?
アキ
アナリスト村田
- 本質的な資金調達のコストを知りたい経営者
- ROEやPBRより優れた経営指標を知りたい投資家
- 戦略的に企業価値を高めたい財務担当者
アキ
アナリスト村田
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目次
WACCとは
アナリスト村田
アキ
アナリスト村田
WACCは経営者が資金効率を計算する、あるいは投資家が企業価値を評価する時などに使います。
アナリスト村田
WACCを使うメリット
アナリスト村田
企業価値とは、どうやって測られるかわかりますか?
きっと、企業が今持っている資産と、将来の稼ぎの合計だと思います!
アキ
アナリスト村田
リターン(稼ぎ)は良い観点ですが、もうひとつ考えるべきポイントがあります。
アナリスト村田
アキ
アナリスト村田
企業の利益、そして企業の価値は、コストとリターンの差から生まれます。
アナリスト村田
WACCは資金調達のコストの指標なんですね。
アキ
アナリスト村田
ちなみにコストもリターンも、それぞれの要素をさらに分解していけば……
経営をより効率的にするためには何がドライバーなのかがわかります。
WACCとコーポレートファイナンス
アナリスト村田
アナリスト村田
- 株主からの出資:自己資本
- 銀行・債権者からの融資・社債発行:負債
アナリスト村田
- 自己資本なら、株主に還元しなければならない、配当金や自社株買いの費用
- 負債なら、銀行や債権者に支払う支払利息
アナリスト村田
アキ
WACCの計算
アナリスト村田
WACCの計算式です。
アキ
アナリスト村田
$$WACC=\frac{資本×CAPM+負債×負債コスト(1−tax)}{資本+負債}$$
アナリスト村田
アナリスト村田
資本と負債
アナリスト村田
アナリスト村田
それらは「資金調達」と言えるのかどうか、アナリストで意見の分かれる項目もあります。
自己資本でも、新株予約権(ストックオプション)や、包括利益なども人によって扱いの方法が分かれます。
CAPM(資本コスト)
アナリスト村田
たとえば自己資本が100で、毎年株主還元が10なら、CAPM=10/100=10%です。
アナリスト村田
アキ
負債コスト
アナリスト村田
これはイメージしやすいのではないでしょうか……。
バランスシートの有利子負債額を見て、損益計算書の営業利益から差し引かれている支払利息を見ます。
有利子負債額が100で、支払利息が5なら、負債コスト=5/100=5%です。
利率は当該企業のものがわからなくても、同業他社の基準がわかれば、規模などから推測することができます。
アナリスト村田
つまり利息が多ければ、それだけ利益は減ります。
法人税は利益に対して課税されるもので、利益が減れば法人税も減ります。
WACCの計算では節税になれば資金調達のコストが下がったことを意味するため、あえてTAX=法人税率を差し引いています。
つまり株主資本の調達コストと、負債の調達コストはこうやって計算するわけですね………!
アキ
アナリスト村田
トレーダー朝倉
こっからは俺も興味あるんで、参戦させてもらいますよ。
村田さんの話の時はよく登場しますね。
アキ
トレーダー朝倉
アナリスト村田
資金調達のコストを測るとき、株主資本は株主資本、負債は負債と分けないのはなぜかわかりますか?
あえて、資金調達総額のWACCを使うと、内訳が見えなくなるので不便だとは思いませんか?
普通は売上でも、客単価×客数×購入回数というように分解していくのに。
アキ
WACCが優れている理由
アナリスト村田
繰り返しになりますが……
経営で重視すべきは、企業全体のリターンとコストの差です。
コストは資本と負債で分かれますが、負債コストがいくら低くとも、資本コストがものすごく高ければ、資金効率が良いとは言えません。
逆もしかりです。
アナリスト村田
財務の小細工は一切通用しません。
トレーダー朝倉
「財務戦略」なんて聞こえはいいけど、実際は企業のオメカシにすぎないケースはよく見る。
企業はそんな財務のテクニックで経営指標をよく見せようとすることがあるんですか?
アキ
アナリスト村田
アキ
アナリスト村田
本来は本業の稼ぎこそが企業価値を高める唯一のことのはず。
しかし投資家からのプレッシャーやコーポレートガバナンスを巡る様々な利害関係によって、小手先の財務テクニックを使うことはまだまだあるのです。
トレーダー朝倉
まあ、最近は外国人投資家も増えて来て最適化はされて来ているけど
アキ
CAPMは企業全体の資金調達コストがわからない
アナリスト村田
アナリスト村田
たまに「リキャップSB」や「転換社債」といった商品で負債比率や自己資本比率を調整する企業も良く見かけますが、これはあまり本質的ではなく、何と言っても本業が大切です。
トレーダー朝倉
そんな見せかけの数字には意味がない。
CAPMは実力以外の要因で上下することがある
アナリスト村田
ちょっと専門的になりますが、CAPMを減らすためには、市場の株価変動(ボラティリティ)が減る、個別銘柄の株価変動(ベータ:β)が減る、リスクフリーレートが減る、といった要因があれば良いのです。
アナリスト村田
アナリスト村田
当たり前だけど、でも大変そうな話ですね。
アキ
WACCとROIC
アナリスト村田
あとひと踏ん張りです。
ここでROICという指標も紹介しましょう。
ROAは単純に対する売上を計算するのに対し、
ROICは遊休資産を除いて純粋に事業に投資した額に対しての現金収入を厳密に計算します。
ROIC(Return on Invested Capital|投下資産利益率)
$$ROIC=\frac{NOPLAT}{投下資産}$$
アナリスト村田
売上高、営業利益、ROA、ROE、ROICと色々ありますが。
アキ
アナリスト村田
ROEは自己資本に対するリターンなので、同じく自己資本を調達するコストであるCAPMがふさわしいです。
トレーダー朝倉
アナリスト村田
ROICとWACCの比較がふさわしいですね。
アナリスト村田
企業経営者は絶対にROIC>WACCとなるよう努力しなければなりません。
アナリスト村田
その儲けの中からそのお金を出してくれた人にはそれなりの見返りを上乗せして返して、再度に手元にいくら残ったのか。
アナリスト村田
トレーダー朝倉
まとめ
WACCは、資金調達コストの総額に注目することで、ごかましが効かないものだとわかりました。
WACC、経営でも投資でも便利そうですね!
アキ
アナリスト村田
- WACCとは企業の負債・資本総額の調達コスト
- WACCはCAPMと違い総合的な資金調達がわかる
- ROIC(リターン)とWACC(コスト)の差が企業が生んだ価値
アキ


アキ
アキ
某有名流通メーカーや自動車関連メーカーなど・・・東証一部上場企業でも導入している企業さんもあるほど。
私も移動中や寝る前など合間時間に使っています。
アキ
よかったら試してみてください。
アキ
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補足1−意外だけど理にかなっている? WACCからCAPMを逆算するアプローチ
アナリスト村田
実はCAPMはWACCから逆説的に計算することができます。
アナリスト村田
CAPM=リスクフリーレート+βi×マーケットリスクプレミアム(%)
アナリスト村田
アナリスト村田
A社は株主資本コストが8%、負債コストが5%だとします。
総資産は1億円で、資本負債比率は50:50です。
この時、CAPMだけ見れば8%ですが、実際資金の調達源である半分を占める負債は5%のコストで済んでいます。
つまり、これは100万円を負債で借りるのに年間5万円の利息がかかるということです。
この場合、株主資本コストはそのまま8%とするのではなく、まずはWACCを計算します。
(計算がややこしくなるので負債の(1-tax)は無視します)
$$WACC=\frac{資本×CAPM+負債×負債コスト(1−tax)}{資本+負債}$$
$$WACC=\frac{5000万円×8%+5000万円×5%}{5000万円+5000万円}$$
$$WACC=6.5%$$
これが資産全体の資金調達コストです。
この計算方法が一般的です。
アナリスト村田
先ほど言った通り、CAPMには弱点もあるからです。
つまり、市場の株価次第で、本業の実力に関係なくCAPMが変動することがある、財務比率や発行する株式・社債の種類でごまかしが効いてしまう・・・
これでは企業総体の実力がわかりません。
そこで、逆算の方法を使います。
つまり先に全体のWACCを計算してしまう。
すると、WACC=6.5%だということはわかる。
うち株主資本の比率は50%で、この調達費用もWACCにしたがって6.5%と考えてしまうわけです。
すると、株主資本5000万円の費用調達コストは5000万円×6.5%=325万円となります。
トレーダー朝倉
アナリスト村田
アナリスト村田
逆に、株主資本コストは一見高いが、負債コストが極端に低く、実はコスト優位な企業だという可能性はないか。
アナリスト村田
これがファイナンスの面白いところです。
トレーダー朝倉
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